冥土の土産に一杯どうだい?

谷内 朋

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第二話

志半ばで夢を断たれた魂 -4-

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 驚くのそっちかよ……とは思ったのだが、ひとまずはスルーして画面に映し出されている犬に声を掛けた。

 「こんちわっすポロスさん、今お時間大丈夫っすか?」

 『大丈夫だよ、ちょうど茶屋でひと息付いてたとこなんだ。で、仕事中のはずなのにどうしたんだ?』

 「ちょこっとだけどオレの野暮用に付き合ってもらってもいいっすか?」

 あぁ良いよ。ポロスと言う名の犬は自身の画面上で【境界線】店内を見回している様で、なるほどねと頷いた。

 〈チョット!アタシヲ無視シテ話進メナイデヨッ!〉

 『百聞は一見にしかず。茶屋の団子、食べる?二十本ほどあれば足りるかな』

 そう言うやいなや、画面から皿に乗った串刺団子が画面から飛び出てきた。

 〈ヒエエェェーッ!!!何デェ!!?〉

 「あざーっす!ウラさん、あと十本分宜しくっす!」

 「承知」

 プルートーは残りの受け取りを先輩従業員のウラーノに任せて串刺団子をサアヤに差し出した。

 〈コノ団子美味イッスヨ〉

 〈今画面カラ出テキタヤツダヨネ!?食ベラレンノ!?〉

 〈食ベラレルカラ勧メルッス〉

 ホントナノォ?と疑いにかかるサアヤだが、“言語をフリーダムにする水”を飲み損ねているので逆に損をするのでは?と取り敢えず串刺団子を受け取った。

 〈……一体ドンナメカニズムデコンナ事出来チャッテンノ?〉

 サアヤは手にしている串刺団子をじっと見つめている。

 〈串刺団子ガソンナニ珍シイッスカ?〉

 〈違ウワヨッ!!!“アース星”地球ニダッテ団子クライアルワヨッ!!!〉

 〈“アー星”ノ人間ッテ何デ叫ブヨウナ話ルンカ?〉

 プルートーは仕事そっちのけで串刺団子を頬張っている。

 〈アーモウドウナッテンノヨココハ!!!画面カラ団子トカドウ考エテモオカシイデショ⁉〉
 
 〈オカクナイッ、人類ノコ力舐メチャイケナイッ。念通力ハ何ダッテ出来ルン、コンナノ訳ナイッ

 〈何ナノヨソノフワフワシタ理論……理解不能ダワ〉

 〈“アース星”ノ人類ハ何ダカンダト外ノ力ニ頼リ過ギナンス、何カガ無イト何モ出来ナイト思イ込ンデルカラ本来ノ力ヲ上手ク発揮出来ナインス〉

 疲れた時には甘い物とばかりプルートーは串刺団子をもさもさと食べている。サアヤも恐る恐る口に入れると懐かしい甘さが口いっぱいに広がった。

 〈美味シイ……〉

 〈イライラシテル時ハトニカク食ウッス、ソレデ八割解決ッス〉

 〈ソレデ解決シナカッタラ?〉

 〈寝ルッス!〉

 〈……〉

 キリッとした顔で答えるプルートーにサアヤは若干イラッとした。
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