冥土の土産に一杯どうだい?

谷内 朋

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第二話

志半ばで夢を断たれた魂 -12-

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 「あぁ、どれもそれなりに厳しい選択肢ではあるけどよ」

 「そうなんだね、閻魔様も『いずれにせよそれなりのペナルティがあるだろう』って仰ってたし……取り敢えず①は外していい?」

 サアヤの言葉に従うかの様に『①直前世に戻って零からやり直す』の一文が消え、それを見ていたプルートーの表情が変わる。

 「マジっすか!?それが一番楽なんすよ!」

 サアヤの考えを改めさせようとする見習いをゾンは視線のみで制す。他の従業員たちは【顧客】の選択の顛末をただ黙って見つめていた。

 「プルートー、野暮な口出しはいけねぇや。しかしよぉサアヤ、千年は長ぇぞ」
 
 「そうなんだけど、同じ事二回やる方が嫌だな。身勝手を承知で言うと③が良いのよ」

 サアヤは『③【デスタウン】で修行魂となりその後転生。通常なら数百年前〜千年程度だが、ペナルティがある為最低千五百年はここに滞在する』の一文を指差して再びゾンの顔を見上げた。すると『②闇歩き千年刑の後転生。貴殿のペナルティではこれが通常の選択となる』の一文が消えてサアヤの進退が決定した。

 「これで契約書が完成した、もう一度よく読んで同意出来たら下にサインをしてくれ」

 「その前に一つ聞いてもいい?」

 「何でい?答えられる範囲内でなら構わねぇが」

 「これって選んだものがそのまま決定になるの?」

 いや。ゾンは首を横に振る。

 「選択するのは自由だが、それが必ずしも思い通りになるって意味じゃねぇ。魂の状態によっちゃサアヤが嫌でも①に行かなきゃいけねぇ場合もあるのさ」

 「あたしはラッキーだったけど嫌なのが残る場合もあるんだね」

 サアヤはゾンの説明に頷いた。

 「それでブチ切れた結果“悪徳化”しちまう魂も稀にいるのさ、おめえさんみてえにペナルティを背負った魂はどうしても“悪徳化”し易いんでな。選択肢を与えてるのはその為さ、こんな感じでいいかい?」

 「うん、ありがとう」

 サアヤは笑顔を向けてから紙に書いてある契約内容をじっくりと読む。

 「契約内容に同意します」

 「じゃサインしてくれ」

 サアヤはゾンからペンを受け取って下部の空白部分にサインをした。クロノスが別の【顧客】を担当していて不在の為、ゾンはそれをウラーノに手渡して内容を確認させる。

 「契約成立にござる、早速ではござるが修行魂としての“しきたり”に付いて説明させて頂くでござる。私に付いてきてくだされ」

 どうせなら『ござる』で締めようよ……サアヤはそう思いつつもウラーノに付いて別室に移動した。そんな二人に付いて行こうとする“ポッキー”をゾンがひょいと抱き上げる。

 「おめえさんはここで待ってな、戻ってきたら好きなだけ一緒にいられっから」

 「くぅ~」

 その言葉を理解したのか、“ポッキー”はサアヤが戻ってくるまでゾンの腕の中で大人しく待っていた。
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