冥土の土産に一杯どうだい?

谷内 朋

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第三話

【デスタウン】のお巡りさん -7-

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 〈皆様ー、少シ狭イデスガコノ中ニ入ッテクダサーイ!〉

 “死神部隊”たちは引き続き“迷い魂を先導し、【ガーフ】入り口前の橋の上に集合させる。

 〈コンナトコドウヤッテ歩クンダ?〉

 先頭にいた“迷い魂”が足元を見て怯えている。彼らには遥か下で赤光りしたマグマがふつふつと沸き上がり、所々黒く細い小規模な噴火をしているようにしか見えないからだ。

 〈ゴ心配ニハ及ビマセン、透明デスガチャント橋ガ架カッテオリマスノデ〉

 体を浮遊させていた“死神部隊”たちが透明な橋の上に着地して証明してみせると、“迷い魂”たちは戸惑いながらも彼らに付いて橋を渡り始める。

 〈何カ凄イ所ダナココ……〉

 〈サッキノ所ト違ッテアノ世ッポイゾ〉

 〈何カ地獄ッポクナイカ?〉
 
 〈ソンナ事無イダロ?俺タチハ世界ヲ救ウ為ニ命ヲ捧ゲタンダゾ〉

 〈ソウダゾ、人類ノ魂ヲエネルギートスルへカテ神様ノ贄トナルノニ地獄ニ落チル訳無イジャナイカ〉

 九万もいるとあちこちで私語が発生し、漏れ聞こえてくる内容に“死神部隊”下層部員たちは眉を顰めていた。

 「一体どんな信仰なんだよ……?」

 「へカテ神様が人魂をエネルギーに?考えられないわ」

 しかしそれを彼らに伝えたところで最早意味が無い。その前に【デスタウン】の者たちはこの世の事への口出しは一切無用という暗黙の了解があるのだ。
 
 「……………………手筈は整った様だな……………………」

 そこに現れたシルクハットに燕尾服姿の男性が浮遊した状態で現れる。物音一つさせなかったために“死神部隊”下層部員全員の表情が変わり、その場は一気に張り詰めた空気になった。

 「「「「「はっ!!!サー・グリムリーパー!!!」」」」」

 その場にいた下層部員全員が『サー・グリムリーパー』と呼ばれた男性に向け敬礼する。彼は服を着た人影の様な姿をしているので目鼻口が無く表情が全く分からない。

 「……………………挨拶はいい………………あとはあいつら・・・・の……………………」

 「「おっ待ったせーっ!!!」」

 間に沈黙を入れる話し方をする『グリムリーパー』の言葉を遮るような形でディオスとムエルテが登場する。

 「……………………またマスターの店で……………………」

 「「ん?ススンも来ればよかったのに」」

 「……………………」

 「「ススンって相変わらずシケシケだね」」

 「「うんうん。久し振りに凄い数の“迷い魂”だね、“オジャマタクシ”のお目見えは免れなさそうだから燃料収集の大チャンスだね!それにしてもあの二人おっそいなー」」

 と自分たちの事を棚に上げる鳩の双子。

 「俺らより先に出ておいてその言い草かよ……お待たせしました、グリムリーパー」

 ようやっとという程でもないがスミューチェとトートも集合し、二人は『グリムリーパー』ことススンに一礼する。

 「……………………うむ……………………」

 「では、一発かましてきます」

 「「「「「お願いします!!!層部長様!!!」」」」」

 トートはふわりと体を浮遊させ、集合体と化している“迷い魂”の頭上を飛んでいく。スミューチェは近くにいる下層部員に声を掛けた。

 「私たちは幸運の“迷い魂”を救出しましょう、皆さん抜かり無く」

 「「「「「「はっ!!!中層部長様!!!」」」」」」

 ディオスとムエルテも飛空の得意な下層部員を連れて飛び立っていく。

 「「僕たちは空中で“オジャマタクシ”を迎え撃つね、君たちは燃料収集宜しくー!」」

 「「「「へ~~い」」」」

 「「雑っ!僕らの扱い雑っ!!!」」

 兎にも角にも全員が配置に着き、その時が来るのを待っていた。
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