冥土の土産に一杯どうだい?

谷内 朋

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第三話

【デスタウン】のお巡りさん ー9ー

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 が、そこは“死神部隊”上層部員、双子の鳩はすぐさま体勢を整えて不意打ちしてきた相手に抗議を始める。

 「「不意打ちなんて汚いじゃないかっ!!!」」

 「「それがグリムリーパーのやる事かっ!!!」」

 二人の言った通り、ススンが遥か下方で両手にピストルを持ち思いっきり仲間に銃口を向けていた。

 「……………………真面目にやれ…………………」

 「「あれ~?おっかしいな~。真面目にやってるのに~」」

 二人はすっとぼけているが目が泳いでいる。どうやらパクリの自覚はある様だ。

 「「でもこの技なかなかの優れものなんだよね~」」

 「「バレなきゃ大丈夫なんじゃな~い?」」

 「バレバレだからサー・グリムリーパーに銃口向けられてんでしょうが!!!」

 下層部員の燃料収集班の男性が上層部員である双子の鳩に突っ込みを入れる。
 
 「「え~っ?完全オリジナル技だよ~」」

 「「仲間に銃口向けるなんて心の侘しい男だよね~」」

 「開き直らんでください!!!今しがた『『バレなきゃ大丈夫』』的な事思いっきりぬかしてたじゃないですか!!!」

 「「う~ん、そうだったかなぁ?……うわぁっ!!!」」

 パキューーーン!銃声と共に二人は違う方向にパッと飛び立ち、代りに餌食となった“オジャマタクシ”がグエッ!と醜い声を上げて黒く光って弾け散る。直後黒い石ころになって落下していったが、燃料収集班が見事キャッチして無事に回収された。
 
 「……………………感謝するんだな……………………」

 ススンは何事も無かったかのようにサッとピストルをしまう。

 「「ただのこじ付けじゃないか!!!」」

 「「ったくえげつない男だよね~!」」

 完全に敵に背を向けている鳩の双子だったが、不意打ちを食らわしに背後に回っていたはずの“オジャマタクシ”たちは自動的に殲滅されていく。いずれも石に羽根が刺さっており、ディオスとムエルテの分身たちの功績であることがひと目で分かる。羽根彼らのお陰で戦場でもこうして遊んでいられる余裕もあるというもので、戦闘での双子の評価は最上級なのである。

 「はぁ~、戦場での活躍はいつ見ても素晴らしいよ」

 「ホントだよね、これで他の仕事もちゃんとしてくれたらレジェンドなんだけどなぁ」

 「まぁその分偉そうになさらないだけマシなんだけど……」

 「何でもそうだけど一長一短あるよね」

 「「「「……だよねぇ」」」」

 燃料収集班の四人組は半分遊びながら敵をバッタバッタとなぎ倒す上層部員を見上げていたら、またしても自動殲滅された“オジャマタクシ”の残骸がパラパラと降ってきた。

 「「「「おっとやべぇ、仕事仕事」」」」

 四人組は石ころを追って四方に散っていく。

 「「おーい、燃料は根こそぎ集めて居住エリアの修復に使うからねー!!!」」

 「「「「へ~~い」」」」

 「「だから僕らの扱い雑すぎなんだって!!!」」



 下では幸運の“迷い魂”を救出中のスミューチェとトート……のはずなのだが、骸骨からイケメンに変体中のトートは“迷い魂”の女性たちに惚れられて少々面倒な事になっていた。

 〈〈〈皆様速ヤカニコノ場ヲ離レマショウ!〉〉〉

 〈〈〈イヤァーーッ!私アノ方ガイイノ!!!〉〉〉

 下層部員たちの救出に不満たらたらの“迷い魂”に辟易とするトートだったが、“オジャマタクシ”殲滅に集中していて一切の無視を決め込んでいる。

 〈今ノ状況分カッテラッシャイマスカ?折角ノ幸運ヲ自ラ捨テルオツモリデスカ?〉

 〈離セ凡人!ドウセナライケメンニ抱カレタイニ決マッテンデショ!!!〉

 〈今ソレ選ンデル場合ジャナイデショウ!僕タチダッテ仕事ナンデス!〉

 下層部員たちは女性“迷い魂”の扱いに四苦八苦している。

 〈〈〈アノ方ニ抱カレナイナラ死ンダ方ガマシーーー!!!〉〉〉

 「……………………その言葉しかと聞いた………………放していい」

 「「「はっ!!!サー・グリムリーパー!!!」」」

 ススンに従い抱えていた“迷い魂”を手放すと、失言した彼女たちは悲鳴とともに落下、自ら幸運を手放したのだった。
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