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第四話
有終の美を飾りたい魂 ―4―
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「ただいまぁ……あら?プルートーは?」
「お帰りなさぁいジョーヴェぇ、“マーケット”の方はどうだったぁ?」
ネプテューヌはジョーヴェを出迎えるも、後半の問いはスルーする。
「ほぼ元に戻ってたわ、“死神部隊”が集めた燃料が役に立ったって。今頃“チーム瓦版”が彼らの活躍を街頭上映してるんじゃないかしら?」
ジョーヴェは特に気にすることなく布製の鞄から食材をどんどん取り出していく。彼女が出してきた食材は鞄の容量よりも明らかに多い。
「買い過ぎなんじゃなぁい?」
「燃料での復旧は出来ても本当の復興は私たちがお買い物をする事だと思うの。どのみち何だかんだで食材なんてあっという間に無くなるし、百二十二年振りの【顧客】様もいらしてる事だしね」
「……………………ご無沙汰致しております……………………」
インズはジョーヴェに向け頭を下げる。
「いらっしゃい、“捜し人”と出会えましたか?」
「……………………あと一人を残すのみとなりました……………………ところで“死神部隊”とは?……………………」
「ここ【デスタウン】の治安部隊ですよ。“この世”から来られる魂からしたら送迎部隊と言った方が分かり易いでしょうね」
「……………………あのローブを着てた……………………」
はい。ヴィーンは頷いて残りのビールを飲み干した。
「それより飲んでみようぜ、“ディングバウ”」
「そうですね、インズさんも乾杯しましょう」
「……………………えぇ、是非……………………」
三人は真っ黒な酒の入った小さなグラスを掲げる。
「三人とも、“ディングバウ”は一気飲みしちゃダメよ」
「こんな臭ぇの一気飲み出来ねぇわ」
ヴィスキーオはグラスから一旦顔を外す。
「そう言ってだんだん調子付くのどこの誰?」
「今回はさすがに無いわ……んぐっ、喉が焼けるっ!」
ヴィスキーオは慌てて水を手に取り、一気に飲み干した。
「大袈裟ですね先輩、そこまでじゃないでしょ」
ヴィーンは“ディングバウ”をチビチビと飲み、“ディングバウ”をガシガシとかじる。
「確かに喉が熱くはなりますけど、アルコール度数が高いんだろうなぁくらいじゃ……」
「ええぇっ!!!俺おかしいのか!?」
「おかしくはないけどぉ……どっちかと言えば酒豪のアンタがねぇ……」
ネプテューヌはヴィスキーオの反応を意外そうに見つめている。彼はこれまで七百と数十年、どんな酒でも平然と飲んできたウワバミ男なのだ。
「反応そのものは珍しくないわよ、基本お冷とセットで出すもの。もう一杯いる?」
ジョーヴェは空になったグラスを指先でコンコンと突くと、あっという間に水が満たされていく。ヴィスキーオはためらい無くグラスを掴み、これまたあっという間に飲み干してしまった。
「はぁ~、これ着火できるよな?」
「うん、フランベなんかしたらとんでもない事になるわよぉ。試しにこれに息吹きかけてみてぇ」
ネプテューヌは白い頭の付いた小さな細い木の棒をヴィスキーオの口の前に出してきた。
「こうか?……うおっ!」
ヴィスキーオは言われた通り棒に息を吹きかけると、白い頭の部分が見事に着火した。
「お帰りなさぁいジョーヴェぇ、“マーケット”の方はどうだったぁ?」
ネプテューヌはジョーヴェを出迎えるも、後半の問いはスルーする。
「ほぼ元に戻ってたわ、“死神部隊”が集めた燃料が役に立ったって。今頃“チーム瓦版”が彼らの活躍を街頭上映してるんじゃないかしら?」
ジョーヴェは特に気にすることなく布製の鞄から食材をどんどん取り出していく。彼女が出してきた食材は鞄の容量よりも明らかに多い。
「買い過ぎなんじゃなぁい?」
「燃料での復旧は出来ても本当の復興は私たちがお買い物をする事だと思うの。どのみち何だかんだで食材なんてあっという間に無くなるし、百二十二年振りの【顧客】様もいらしてる事だしね」
「……………………ご無沙汰致しております……………………」
インズはジョーヴェに向け頭を下げる。
「いらっしゃい、“捜し人”と出会えましたか?」
「……………………あと一人を残すのみとなりました……………………ところで“死神部隊”とは?……………………」
「ここ【デスタウン】の治安部隊ですよ。“この世”から来られる魂からしたら送迎部隊と言った方が分かり易いでしょうね」
「……………………あのローブを着てた……………………」
はい。ヴィーンは頷いて残りのビールを飲み干した。
「それより飲んでみようぜ、“ディングバウ”」
「そうですね、インズさんも乾杯しましょう」
「……………………えぇ、是非……………………」
三人は真っ黒な酒の入った小さなグラスを掲げる。
「三人とも、“ディングバウ”は一気飲みしちゃダメよ」
「こんな臭ぇの一気飲み出来ねぇわ」
ヴィスキーオはグラスから一旦顔を外す。
「そう言ってだんだん調子付くのどこの誰?」
「今回はさすがに無いわ……んぐっ、喉が焼けるっ!」
ヴィスキーオは慌てて水を手に取り、一気に飲み干した。
「大袈裟ですね先輩、そこまでじゃないでしょ」
ヴィーンは“ディングバウ”をチビチビと飲み、“ディングバウ”をガシガシとかじる。
「確かに喉が熱くはなりますけど、アルコール度数が高いんだろうなぁくらいじゃ……」
「ええぇっ!!!俺おかしいのか!?」
「おかしくはないけどぉ……どっちかと言えば酒豪のアンタがねぇ……」
ネプテューヌはヴィスキーオの反応を意外そうに見つめている。彼はこれまで七百と数十年、どんな酒でも平然と飲んできたウワバミ男なのだ。
「反応そのものは珍しくないわよ、基本お冷とセットで出すもの。もう一杯いる?」
ジョーヴェは空になったグラスを指先でコンコンと突くと、あっという間に水が満たされていく。ヴィスキーオはためらい無くグラスを掴み、これまたあっという間に飲み干してしまった。
「はぁ~、これ着火できるよな?」
「うん、フランベなんかしたらとんでもない事になるわよぉ。試しにこれに息吹きかけてみてぇ」
ネプテューヌは白い頭の付いた小さな細い木の棒をヴィスキーオの口の前に出してきた。
「こうか?……うおっ!」
ヴィスキーオは言われた通り棒に息を吹きかけると、白い頭の部分が見事に着火した。
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