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だめだめ!心の声がそのまま口に出そうでした。いけないですね。深呼吸。深呼吸。

「えっと、まずは場所を変えましょうか。お怪我や体調などは大丈夫ですか?」

彼女を立ち上げようと支えると、倒れていたこともあって、本当に少し憔悴し足腰にあまり力が入らないようでした。私が日頃たくさんの水を井戸から店に運んでいる筋力があって、助かりました。彼女を支えつつ、お店の方に誘導します。
改めて、彼女を少し観察すると、私が一般市民のよく着る動きやすいワンピースに対して、彼女は所謂貴族と呼ばれる方々が着るドレスを着用しているようです。一目で分かりますし、周囲には護衛の方などもいらっしゃらないみたいなので、なんらかの事情で彼女一人で行動していた。ということは理解出来ましたが、詳しいことはわからないので、まずは事情だけーーーええ。事情だけ、聞きましょう。


お店に入り、花束を作る小さなカウンターに椅子を二つ用意します。

「花屋なので、狭くてすみません。」

と私が話すと、彼女は

「とんでもないです。こちらこそ、こんな夜遅くにすみません。」

と言ってくれました。この貴族の方は優しい方のようです。噂では、金に物を言わせて、横暴な態度をとる貴族の方もいると聞くので。


話がそれてしまいましたが、本来ならここで、警備兵の方を呼んで、彼女を保護してもらうのが一番だと思うのですが、先程の言葉が気になったので、お水を渡しつつ、話を聞いてみます。


「私の名前はミア・ハーミット。ミアと呼んでください。ここは私が働いている花屋クロノスタシアです。あの、先程お話しされたことは一体?」

私が話を切り出すと、彼女は水を一口飲み終えてから、ゆっくりと話し始めてくれたのです。






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