巫女様と私

藤ノ千里

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2章 不思議な男の子

7話 内緒の事

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 窯の裏を通り、やはり観光用ではなさそうな道を通って、たどり着いたのは一つの建物だった。
 位置的に、儀式用の建物の裏。
 なのでわざわざ遠回りして来た事になる。
 意図は分からないけど、ずんずん歩く男の子に素直に着いて行った。
 そして見えてきた光景に、歓声を上げたくなるくらい高揚した。
「Warina Yu-de ra.」
「あれ見て良いんですか??」
 案内された先、その建物の近くには作業場のようなスペースには、2人の男性がいた。
 いて、組み立ててた。
 儀式用の壺を。
 思わず駆け寄って、まじまじと見てしまう。
 どうやら、元々割れている壺を組み立てて、継ぎ目を盛った接着剤で模様のようにして隠しているらしい。
 だからこんなに丈夫そうなのに、あんなに簡単に割れたのか・・・!
 あの派手な音も、バラけたときに破片同士がぶつかって立てた音なんだとすれば納得だ。
 それにこれなら壺を量産しなくて済むから、効率的というか画期的というか。
 あ、これって部外秘じゃないやつ?メモに書いてもいいやつ??
 振り返ろうとしたら、いつの間にか男の子は私の隣に立っていた。
 そして、メモを取り出そうとした私の手をそっと押さえる。
「Kore-a Yuma Sie-o shi-ma.」
 ニコニコだけど首を横に振られて、多分「駄目だ」と言われているようだ。
 当たり前と言えば当たり前。
 だってこれは彼らの観光業の一番の肝なんだから。
 え、でもそれなのに見せてくれたの?良かったの?
「Azuu Sia Wali, Kore Lun Raama-o Yan-o Tani Lun-denai...」
 壺を組み立てていたうちの、年上っぽい男の人は明らかに迷惑そうだ。
 でも、男の子はニコニコのまま返事をする。
「Yan-de. Mou Ni-o luan kiran.」
 会話の内容が分からないので首を傾げて見せると、男の子は宿の方を手で示した。
 もう戻る時間って事だろうか?
 歩き出した彼に、またまた着いて行く。
 でも、少し歩くと唐突に振り返るからびっくりしてしまった。
「Azuu.」
 胸元に手を当てながら、彼はそう言った。
「Azuu.」
 今度は先程よりしっかりと、そう言った。
 それだけで「アズー」と言うのが彼の名前なんだと、何となく分かった。
「アズー君?私は梨菜。り、な」
 真似っ子して胸元に手を当てると、彼は頷いた。
「Rina, Warina ne-de.」
「アズー君のお陰で凄く楽しかった、ありがとうございます」
 気持ちだけは伝わるだろうと、ニッコリと笑って見せた。
 そうしたらアズー君も、ニコニコしながら答えてくれた。
「Tani Yuman, Ni-ri Ura Wali-ri Sia Yuma-a ura-de.」


 宿の方に戻るとやけに機嫌の良い美子や隼君と合流できて。そこには広木先輩もいたけど、驚くくらい気にならなかった。
 多分私も機嫌が良かったせいだ。
 それに、先輩は興味が無いのかちょっと離れて着いて来たから、ほとんど3人+タナイさんの状態で村を見て回った。
 案内は、さっぱりした感じのボーイッシュな女の子だった。アズー君は、美子と合流した時には消えていた。
 女の子の案内で、村人の家や、集会所を見て周り、この村で行われる行事についても教えてもらい、服についても教えてもらった。
 アズー君に案内された所と違い、こっちは観光用のようでメモも写真も取り放題で、老若男女と写真を撮った。
 その後は、夕食だ。
 こっちも凄く興味深くて、キニータ族の食が意外と多種である事が分かった。
 それに、昔は蝙蝠を食べていたけど、国の法律で禁止されてしまったらしく、代わりに市場で鶏などの肉を買っているらしい。
 観光客向けの食事も市場からの食材で作ってもらったけど、私は現地の人と同じ物を食べる事にした。
 調理場はもちろん屋外。屋根があり大きな竈のようなものがいくつか並んでいるところで、年配のおばちゃんと子どもたちによって料理が行われていった。
 料理をしていると、村人もわらわらと集まって来る。
 中には食材を追加で持ってくるおじちゃんやお兄さんもいて、わっと歓声が上がった時には大きなナマズが持ち込まれた。
「メズラシイサカナ。ゴチソウ」
 なんてタナイさんも言ってたから、滅多に取れるものじゃないんだろう。
 一口だけでも食べれれば良いんだけど。
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