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81 後輩の男の子
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私が婚約指輪をつけて行くと、エミリーがめざとくすぐに気がつく。
「わぁ、素敵なの贈ってもらったわね。でもブルーサファイアなところがあいつの貴方への執着を感じるわ」
彼女はそうニヤニヤと揶揄ってくる。
「……私が青い石がいいって言ったの」
「ええっ、本当? リリーが自分で選んだの?」
私は恥ずかしくてボソボソとそう告げ……こくん、と縦に頷くと彼女は驚いた。
「うわぁ……アイザックの緩みきった嬉しそうな顔が目に浮かぶわぁ」
「そ、そうかな」
「上手くいっているのね。安心した」
「うん、とても幸せだわ」
そう微笑んだ私を彼女はギューっと抱きしめ「リリー可愛い」とぐりぐりと頬を擦り寄せてくる。
そんなことをしながら騒いでいると、廊下から見知らぬ御令嬢が「リリー様、先程担任の先生が探していらっしゃいましたわよ。当番のことで御用があるとか……」と声をかけてきた。
そうだ、私は今週クラスの当番だった。
「ありがとう、すぐに職員室に寄るわ」
「お願いしますわね」
「なんの用事かしらね?」
「さあ? でも待たせたら悪いから行ってみるわ」
「待ってようか?」
「ううん、遅くなったら悪いし大丈夫。また明日ね」
「わかった。じゃあね!」
そう言ってエミリーと別れる。私は教室を出て、職員室に一人で向かう。
すると、廊下でうずくまっている男の子がいるのに気が付く。私は駆け寄って「大丈夫?」と声をかけた。顔をあげるとその子は……前に嫌な特進クラスの先輩に勉強しかできないと虐められていた眼鏡の後輩の男の子だった!
私はあの後も何度か図書館で彼を見かけて、声をかけたこともあったがいつも真面目に勉強をしていた。
「リリー……様。すみません、以前も助けていただいたのに」
「そんなこといいの。どうしたの?」
「なんだか、朝からずっと体調が悪くて」
「それは可哀想に。ごめんなさい、私の力では貴方を運べないからすぐに誰か呼んでくるわね」
私はそう言って、彼に背を向けて走り出そうとした。
「あなたは本当にお人好しですね」
背中から、さっき話していた彼とは全く違う声が聞こえてきた。背筋がゾクっと凍るような圧のある恐ろしい声だ。
おかしい。それはすぐにわかった。私は闘うための魔力は持ち合わせていないので、相手の魔力量や魔力の強さなどまったくわからない。そんな私でもこの人物はまずいとわかるのだ。自分の本能が彼から逃げろと言っている。
まさか……この人畜無害そうな男の子がずっと私を狙っていた魔法使いなのだろうか。
私は震える体でゆっくりと振り返った……その瞬間トンっと首を打たれ、私は意識を失った。
「おやすみなさい。私の女神」
♢♢♢
気がつくとそこは窓のない暗い部屋だった。しかもこの部屋には大きなベッドしかない。ここはどこ……? 私はどれくらい意識を失っていたのだろうか。
首が少し痛いが、見たところ他は何も怪我をしていないようだ。服もきちんと着ているし、乱暴された形跡もない……とりあえず良かった。
私の腕は後ろで拘束されていて動かない。これは……魔法なのだろうか。
すると、ガチャっと扉が開いて急に光が入ってくる。ずっと暗い部屋にいたため眩しくて目が眩む。
「起きたんだね。リリー、気分はどうだい?」
私を襲った男は、感情の読めない笑みを浮かべながらそんなことを聞いてくる。私はあの気弱な後輩の姿に騙されていた。今は態度のでかい嫌な男だ。
「最悪よ。あなたのせいでね」
キッと睨んでそう言った私を見てふふふ、と笑っている。なんなのこの男?気味が悪い。
「いいねぇ、その態度! こんな状況なのに泣きもしないなんて……それでこそ私の女神だ。素敵だよ」
男は私の頬をするりと撫で「これからは私とずっと一緒だよ」とニコニコと笑っている。
この男は狂っている。誘拐しておいて何がずっと一緒だ。
「勝手に触らないで!」
「リリー……覚えておいて。今日から私は君のご主人様だよ。だから君はもう私の物だ。いつ触れてもいいんだよ」
男が私にキスしようとするとバチバチっと音がしてお父様の氷の防御魔法が発動する。しかし、この男には効いていないように見える。だが、きっとお父様は追跡魔法もかけているはずだ……これで場所に気付いてくれる!
「んー……痛いね。この不愉快な魔法は君を愛するお父様かな? いや、父じゃないな……叔父か」
この男、うちの家の事情も知っているのね。
「でも、この程度の魔法じゃ君は守れない」
私の顔を固定し、無理矢理唇を奪われる。噛み付くように激しく吸いつかれる。
気持ち悪い……嫌だ。やめて。私はガリっと思い切り男の唇に噛みついた。
「――っ!」
男の唇が切れてポタポタと血が垂れる。それを無表情のままペロリと舐めた。
「痛い。悪い子にはお仕置きだ」
そう言って私の頬を平手でパンッと叩き「リリー、大事なご主人様を噛んじゃだめだろ?」とニコニコと笑っている。
この男は女にも容赦はない……怖い。思いっきり打たれて、頬がジンジンと痛くて涙が出そうになるのをグッと堪え睨みつける。こんな男の前で泣いてたまるか。絶対にアイザック達が助けに来てくれる。
「ごめんね……ついつい苛ついて叩いちゃった。でも躾は大事だから許してね。私は女神をなるべく傷つけたくないんだ。美しいままいて欲しいし、やっと手に入れたんだから殺したくもない。だから大人しくしてて」
そう言って私をぎゅうぎゅうと抱きしめ、髪にちゅっちゅとキスをしてくる。この男の考えていることがわからず、ガタガタと体が震えてくる。
「貴方は何がしたいの?」
「君の力を手に入れて、最強の魔法使いになる」
「最強になってどうするのよ」
「私は弱くて能力のない人間って嫌いなんだよね……反吐が出る。魔力のないやつを皆殺しにして、魔法使いだけの国を作ろうかな」
こいつ……本当に頭がいかれている。
「そのためには君が必要なんだ。協力してね」
私の首元のネックレスを引きちぎられ、婚約指輪も乱暴に奪われる。
「あの男……婚約者気取りで忌々しいことだ。リリー、これからは私が用意したものだけ身につけるようにね」
「嫌っ、返して!」
この男は無言でニヤリと気持ち悪く笑い、私の首元にナイフを突きつけ「死にたくないなら動くな」と髪を一束切り取った。
ザック……ザック……大事な指輪が。ごめんなさい。宝物が手元に無くなったことで、途端に弱気になる。このまま……誰も来なかったら私はどうなるのかな? 恐怖で体がガタガタと震え出す。
『リリー……愛してる。一生君を守るよ』
ザックの声が頭の中に聞こえてくる。
いや、泣いてはだめだ。彼は必ず助けてくれる。絶対に信じて待つんだ。
-------------
ここまでお読みいただきありがとうございます。
物語もようやく終盤です。
100話で終わる予定ですので、あと少しお付き合いいただければ嬉しいです。
「わぁ、素敵なの贈ってもらったわね。でもブルーサファイアなところがあいつの貴方への執着を感じるわ」
彼女はそうニヤニヤと揶揄ってくる。
「……私が青い石がいいって言ったの」
「ええっ、本当? リリーが自分で選んだの?」
私は恥ずかしくてボソボソとそう告げ……こくん、と縦に頷くと彼女は驚いた。
「うわぁ……アイザックの緩みきった嬉しそうな顔が目に浮かぶわぁ」
「そ、そうかな」
「上手くいっているのね。安心した」
「うん、とても幸せだわ」
そう微笑んだ私を彼女はギューっと抱きしめ「リリー可愛い」とぐりぐりと頬を擦り寄せてくる。
そんなことをしながら騒いでいると、廊下から見知らぬ御令嬢が「リリー様、先程担任の先生が探していらっしゃいましたわよ。当番のことで御用があるとか……」と声をかけてきた。
そうだ、私は今週クラスの当番だった。
「ありがとう、すぐに職員室に寄るわ」
「お願いしますわね」
「なんの用事かしらね?」
「さあ? でも待たせたら悪いから行ってみるわ」
「待ってようか?」
「ううん、遅くなったら悪いし大丈夫。また明日ね」
「わかった。じゃあね!」
そう言ってエミリーと別れる。私は教室を出て、職員室に一人で向かう。
すると、廊下でうずくまっている男の子がいるのに気が付く。私は駆け寄って「大丈夫?」と声をかけた。顔をあげるとその子は……前に嫌な特進クラスの先輩に勉強しかできないと虐められていた眼鏡の後輩の男の子だった!
私はあの後も何度か図書館で彼を見かけて、声をかけたこともあったがいつも真面目に勉強をしていた。
「リリー……様。すみません、以前も助けていただいたのに」
「そんなこといいの。どうしたの?」
「なんだか、朝からずっと体調が悪くて」
「それは可哀想に。ごめんなさい、私の力では貴方を運べないからすぐに誰か呼んでくるわね」
私はそう言って、彼に背を向けて走り出そうとした。
「あなたは本当にお人好しですね」
背中から、さっき話していた彼とは全く違う声が聞こえてきた。背筋がゾクっと凍るような圧のある恐ろしい声だ。
おかしい。それはすぐにわかった。私は闘うための魔力は持ち合わせていないので、相手の魔力量や魔力の強さなどまったくわからない。そんな私でもこの人物はまずいとわかるのだ。自分の本能が彼から逃げろと言っている。
まさか……この人畜無害そうな男の子がずっと私を狙っていた魔法使いなのだろうか。
私は震える体でゆっくりと振り返った……その瞬間トンっと首を打たれ、私は意識を失った。
「おやすみなさい。私の女神」
♢♢♢
気がつくとそこは窓のない暗い部屋だった。しかもこの部屋には大きなベッドしかない。ここはどこ……? 私はどれくらい意識を失っていたのだろうか。
首が少し痛いが、見たところ他は何も怪我をしていないようだ。服もきちんと着ているし、乱暴された形跡もない……とりあえず良かった。
私の腕は後ろで拘束されていて動かない。これは……魔法なのだろうか。
すると、ガチャっと扉が開いて急に光が入ってくる。ずっと暗い部屋にいたため眩しくて目が眩む。
「起きたんだね。リリー、気分はどうだい?」
私を襲った男は、感情の読めない笑みを浮かべながらそんなことを聞いてくる。私はあの気弱な後輩の姿に騙されていた。今は態度のでかい嫌な男だ。
「最悪よ。あなたのせいでね」
キッと睨んでそう言った私を見てふふふ、と笑っている。なんなのこの男?気味が悪い。
「いいねぇ、その態度! こんな状況なのに泣きもしないなんて……それでこそ私の女神だ。素敵だよ」
男は私の頬をするりと撫で「これからは私とずっと一緒だよ」とニコニコと笑っている。
この男は狂っている。誘拐しておいて何がずっと一緒だ。
「勝手に触らないで!」
「リリー……覚えておいて。今日から私は君のご主人様だよ。だから君はもう私の物だ。いつ触れてもいいんだよ」
男が私にキスしようとするとバチバチっと音がしてお父様の氷の防御魔法が発動する。しかし、この男には効いていないように見える。だが、きっとお父様は追跡魔法もかけているはずだ……これで場所に気付いてくれる!
「んー……痛いね。この不愉快な魔法は君を愛するお父様かな? いや、父じゃないな……叔父か」
この男、うちの家の事情も知っているのね。
「でも、この程度の魔法じゃ君は守れない」
私の顔を固定し、無理矢理唇を奪われる。噛み付くように激しく吸いつかれる。
気持ち悪い……嫌だ。やめて。私はガリっと思い切り男の唇に噛みついた。
「――っ!」
男の唇が切れてポタポタと血が垂れる。それを無表情のままペロリと舐めた。
「痛い。悪い子にはお仕置きだ」
そう言って私の頬を平手でパンッと叩き「リリー、大事なご主人様を噛んじゃだめだろ?」とニコニコと笑っている。
この男は女にも容赦はない……怖い。思いっきり打たれて、頬がジンジンと痛くて涙が出そうになるのをグッと堪え睨みつける。こんな男の前で泣いてたまるか。絶対にアイザック達が助けに来てくれる。
「ごめんね……ついつい苛ついて叩いちゃった。でも躾は大事だから許してね。私は女神をなるべく傷つけたくないんだ。美しいままいて欲しいし、やっと手に入れたんだから殺したくもない。だから大人しくしてて」
そう言って私をぎゅうぎゅうと抱きしめ、髪にちゅっちゅとキスをしてくる。この男の考えていることがわからず、ガタガタと体が震えてくる。
「貴方は何がしたいの?」
「君の力を手に入れて、最強の魔法使いになる」
「最強になってどうするのよ」
「私は弱くて能力のない人間って嫌いなんだよね……反吐が出る。魔力のないやつを皆殺しにして、魔法使いだけの国を作ろうかな」
こいつ……本当に頭がいかれている。
「そのためには君が必要なんだ。協力してね」
私の首元のネックレスを引きちぎられ、婚約指輪も乱暴に奪われる。
「あの男……婚約者気取りで忌々しいことだ。リリー、これからは私が用意したものだけ身につけるようにね」
「嫌っ、返して!」
この男は無言でニヤリと気持ち悪く笑い、私の首元にナイフを突きつけ「死にたくないなら動くな」と髪を一束切り取った。
ザック……ザック……大事な指輪が。ごめんなさい。宝物が手元に無くなったことで、途端に弱気になる。このまま……誰も来なかったら私はどうなるのかな? 恐怖で体がガタガタと震え出す。
『リリー……愛してる。一生君を守るよ』
ザックの声が頭の中に聞こえてくる。
いや、泣いてはだめだ。彼は必ず助けてくれる。絶対に信じて待つんだ。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
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