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本編
9 ※ひとつに②
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楽しかった宴は終わり、私は夫婦の寝室にいる。身体を磨き上げ、髪には香油を塗り可愛い夜着も着たので完璧だ。
扉がノックされ、少し緊張したエルベルト様の声が聞こえてきた。
「……俺だ。入ってもいいか?」
――来た! その声に身体が跳ねる程驚いたが、なるべく冷静を取り繕った。
「は、はい」
この状況は何もなかった初夜と全く同じだと気が付いて、私はまたガチガチに緊張してしまった。駄目なのに……同じ間違いを繰り返したくないのに。そう思えば思うほど、体は強張った。
エルベルト様は私の隣にふわりと座り、肩をそっと抱き寄せた。彼は初夜の時とは全く別人のように優しかった。
「パーティー楽しかったか?」
「は、はい。皆さんにお祝いしていただけて嬉しかったです」
「よかった。俺も楽しかったし、君のドレス姿とても綺麗だった」
彼は目を細め、私の髪をそっと撫でながら頬やおでこに軽いキスを沢山された。すると自然と身体の力が抜けてきた。
「でも今夜の君が一番美しい」
「……っ!」
「そして……可愛い」
彼は私にちゅっと唇にキスをして、優しくベッドに寝かせた。熱っぽい彼の瞳に見下ろされて、胸がドキドキとうるさく音を立てる。
「クリスティン、愛してる。君の嫌がることは決してしないから」
「はい」
「好きだ……大好きだ」
そのまま深く濃厚なキスを何度もされ、ふわふわしてきたところで夜着の上から身体をなぞられた。
「ひゃあ……ん」
「可愛い。この夜着も似合ってる」
「は……恥ずかしいです」
「恥ずかしくない。綺麗だ。全部見せて」
ちゅっちゅ、とキスをされながらあっという間に脱がされてしまった。無骨なようで彼は指先が器用らしい。
ずっと話しかけてくれていたのに、急に彼の声が聞こえなくなった。私は不安になってそっと目を開けた。すると彼は私をジッと眺めたまま……固まっていた。
今の私は一糸纏わぬ姿なのだ。それを見下ろされているということに、恥ずかしくなって全身が真っ赤に染まる。
「や……そんなに見ないでください」
私が両手で胸を隠すと、ハッと彼の意識が戻った。彼の頬も赤く染まっている。
「綺麗すぎて見惚れた」
「え……?」
「柔らかい胸も細い腰も、そしてピンクに染まった白い肌もどれも美しい」
その褒め言葉を受け止めるには、初心者の私にはキャパオーバーだった。だって、まるで恋愛小説の台詞だ。
「ずっと君に触れたかった」
「可愛い」
「好きだ」
私はそのまま彼に身を任せ、全身愛された。気持ち良くて、恥ずかしくて……嬉しいのに苦しい。エルベルト様の熱が私にも伝染して、おかしくなりそうだ。
「怖……い」
初めての感覚に、恐怖心が出てくる。私はまた怖いと言ってしまったと慌てて口を手で塞いだ。しかし、彼は私の手を握って優しく落ち着かせてくれた。
「大丈夫だ、俺に任せて。けど、本当に嫌ならやめる」
「嫌……じゃないの。変な感じがして怖いだけ。こんな……怖がってばかりで……子どもでごめんなさい」
私の目からポロリと涙が溢れた。彼は涙を指でそっと拭い優しく微笑んだ。
「君は子どもなんかじゃない。初めてが怖いのは当たり前だ」
「エルベルト様……」
「でもこれからすることは、幸せなことだ。言葉だけじゃ足りないんだ。君に愛を伝えさせて欲しい」
私はもう怖くなくなっていたので、愛おしい彼に自分の全てを任せた。
「ここも……愛したい」
エルベルト様は私の足を開いて、秘部に顔を埋めて熱い舌で舐め続けた。
「やぁっ……! そんなところいけませんっ……ああんっ」
「どうして? ちゅっ……じゅる……濡れてて……ピンクですごく綺麗」
「綺麗なんかじゃ……な……」
「……綺麗だよ。そのまま気持ちよくなってくれ」
長い時間かけてとろとろに蕩けさせられ、太くて長い指を三本受け入れた後に、やっと一つになれた。
「エルベルトさまぁ……!」
「ああ、クリスティン……クリスティン!」
もちろん痛みはあったが、それも彼から与えられたものだと思うと幸せだった。
「愛してる。俺達、ひとつになれたよ」
「はい。よかっ……た。私も……あなたを愛しています」
「ああ、嬉しくて泣きそうだ」
一つになったまま、彼は私をギュッと抱きしめた。私も彼の背中に手をまわした。
「クリスティン、もうそろそろ限界だ。くっ……すまない」
何が限界なのだろうか? 私がきょとんとすると、エルベルト様の瞳が飢えた獣のようにギラッと光った。
「愛してる」
その瞬間に噛み付くように濃厚な口付けをされ、身体に強い衝撃がきた。そのままエルベルト様は、激しく腰を打ちつけた。
「んん……っ!」
「愛してる」
「あっ……エル……ベルトさま……っ」
「ずっとこうしたかった」
目の前がチカチカして、ピクンと身体が跳ねる。そのまま彼からのたくさんの激しい熱と愛を受け……私はくったりと力が抜けた。
「クリスティン、愛してる」
「クリスティン……クリス……クリスっ……」
何度も名前を呼ぶ甘い声が聞こえたような気がするが、私は反応できぬまま意識を失った。
扉がノックされ、少し緊張したエルベルト様の声が聞こえてきた。
「……俺だ。入ってもいいか?」
――来た! その声に身体が跳ねる程驚いたが、なるべく冷静を取り繕った。
「は、はい」
この状況は何もなかった初夜と全く同じだと気が付いて、私はまたガチガチに緊張してしまった。駄目なのに……同じ間違いを繰り返したくないのに。そう思えば思うほど、体は強張った。
エルベルト様は私の隣にふわりと座り、肩をそっと抱き寄せた。彼は初夜の時とは全く別人のように優しかった。
「パーティー楽しかったか?」
「は、はい。皆さんにお祝いしていただけて嬉しかったです」
「よかった。俺も楽しかったし、君のドレス姿とても綺麗だった」
彼は目を細め、私の髪をそっと撫でながら頬やおでこに軽いキスを沢山された。すると自然と身体の力が抜けてきた。
「でも今夜の君が一番美しい」
「……っ!」
「そして……可愛い」
彼は私にちゅっと唇にキスをして、優しくベッドに寝かせた。熱っぽい彼の瞳に見下ろされて、胸がドキドキとうるさく音を立てる。
「クリスティン、愛してる。君の嫌がることは決してしないから」
「はい」
「好きだ……大好きだ」
そのまま深く濃厚なキスを何度もされ、ふわふわしてきたところで夜着の上から身体をなぞられた。
「ひゃあ……ん」
「可愛い。この夜着も似合ってる」
「は……恥ずかしいです」
「恥ずかしくない。綺麗だ。全部見せて」
ちゅっちゅ、とキスをされながらあっという間に脱がされてしまった。無骨なようで彼は指先が器用らしい。
ずっと話しかけてくれていたのに、急に彼の声が聞こえなくなった。私は不安になってそっと目を開けた。すると彼は私をジッと眺めたまま……固まっていた。
今の私は一糸纏わぬ姿なのだ。それを見下ろされているということに、恥ずかしくなって全身が真っ赤に染まる。
「や……そんなに見ないでください」
私が両手で胸を隠すと、ハッと彼の意識が戻った。彼の頬も赤く染まっている。
「綺麗すぎて見惚れた」
「え……?」
「柔らかい胸も細い腰も、そしてピンクに染まった白い肌もどれも美しい」
その褒め言葉を受け止めるには、初心者の私にはキャパオーバーだった。だって、まるで恋愛小説の台詞だ。
「ずっと君に触れたかった」
「可愛い」
「好きだ」
私はそのまま彼に身を任せ、全身愛された。気持ち良くて、恥ずかしくて……嬉しいのに苦しい。エルベルト様の熱が私にも伝染して、おかしくなりそうだ。
「怖……い」
初めての感覚に、恐怖心が出てくる。私はまた怖いと言ってしまったと慌てて口を手で塞いだ。しかし、彼は私の手を握って優しく落ち着かせてくれた。
「大丈夫だ、俺に任せて。けど、本当に嫌ならやめる」
「嫌……じゃないの。変な感じがして怖いだけ。こんな……怖がってばかりで……子どもでごめんなさい」
私の目からポロリと涙が溢れた。彼は涙を指でそっと拭い優しく微笑んだ。
「君は子どもなんかじゃない。初めてが怖いのは当たり前だ」
「エルベルト様……」
「でもこれからすることは、幸せなことだ。言葉だけじゃ足りないんだ。君に愛を伝えさせて欲しい」
私はもう怖くなくなっていたので、愛おしい彼に自分の全てを任せた。
「ここも……愛したい」
エルベルト様は私の足を開いて、秘部に顔を埋めて熱い舌で舐め続けた。
「やぁっ……! そんなところいけませんっ……ああんっ」
「どうして? ちゅっ……じゅる……濡れてて……ピンクですごく綺麗」
「綺麗なんかじゃ……な……」
「……綺麗だよ。そのまま気持ちよくなってくれ」
長い時間かけてとろとろに蕩けさせられ、太くて長い指を三本受け入れた後に、やっと一つになれた。
「エルベルトさまぁ……!」
「ああ、クリスティン……クリスティン!」
もちろん痛みはあったが、それも彼から与えられたものだと思うと幸せだった。
「愛してる。俺達、ひとつになれたよ」
「はい。よかっ……た。私も……あなたを愛しています」
「ああ、嬉しくて泣きそうだ」
一つになったまま、彼は私をギュッと抱きしめた。私も彼の背中に手をまわした。
「クリスティン、もうそろそろ限界だ。くっ……すまない」
何が限界なのだろうか? 私がきょとんとすると、エルベルト様の瞳が飢えた獣のようにギラッと光った。
「愛してる」
その瞬間に噛み付くように濃厚な口付けをされ、身体に強い衝撃がきた。そのままエルベルト様は、激しく腰を打ちつけた。
「んん……っ!」
「愛してる」
「あっ……エル……ベルトさま……っ」
「ずっとこうしたかった」
目の前がチカチカして、ピクンと身体が跳ねる。そのまま彼からのたくさんの激しい熱と愛を受け……私はくったりと力が抜けた。
「クリスティン、愛してる」
「クリスティン……クリス……クリスっ……」
何度も名前を呼ぶ甘い声が聞こえたような気がするが、私は反応できぬまま意識を失った。
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