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第2章
君と僕、俺と君 14
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俺がポップコーンを食べさせてあげると、最初は戸惑っていた君も素直に口を開いて受け入れてくれた。
君はまるで生まれたての雛のように、俺だけを見つめ従ってくれる。
パクパクと開く様子が可愛いな。それにとても綺麗な形の唇だ。薄い皮膜の淡い色は、日本の桜の花びらのようで、儚くも美しい。
男同士で何やってんだと周りから見たら思われるかもしれないが、そんなこと構わない。
『This place feels like a wonderland.(ここはおとぎの国のようだ)』
俺は君といると、どこまでもロマンチストになれる。ここがおとぎの国なら、俺たちは何をしようと自由だろう? そんな夢みたいなことを柄にもなく、考えてしまった。
君と夢を見るなら、より大きな夢を見たい!
「あの、もうお腹一杯だよ。喉も乾いて……」
控えめな君の訴えに、やっと我に返った。
俺、没頭しすぎだ!
「あ、ごめん。(君に)夢中になっていたよ。待っていて、飲み物を買ってくるよ」
まずい、まずい。
あのままポップコーンを食べ終わったら、俺が君の唇を勢いよく塞いでしまいそうだ。そんな自分の頭の中に浮かんだ、とんでもない考えに驚いた。
やっぱり本気で君のことを……
これは、何度考えてもまずいだろう。それより俺って男好きだったのか。今まで同性相手にこんな気持ち抱いたことなかったのに、どうしたんだ?
異国から来た君は、性別を超えた場所にいる。だから時折訳が分からなくなるよ。立場上、深入りしては駄目なのに、止まらなくそうで。
なんとか気持ちを落ち着かせ冷たいレモネードを買って戻ると、君はそっと包みの中のうさぎのぬいぐるみを見つめていた。
良かった! 気に入ってくれたんだな。
優しい眼差しだが、一体誰を想っているのか。
もしかしたら少しホームシックなのかもな。繊細そうな子だし。
「お待たせ」
「ありがとう。これお代」
君の手のひらにはコインが乗っていた。
「いいのに」
「いや、受け取って」
君のためならいくらでも出してあげるのに、そういうのが嫌ならしょうがない。でも君のぬくもりを含んだコインは使えないよ。
レモネードは甘酸っぱく、俺の心に呼応するように疼いた。
「わぁ、これは何という飲み物? 甘酸っぱくて美味しいね」
「Lemonadeさ。日本にはなかった?」
「分からない……初めて飲んだよ」
少し恥ずかしそうに頬を染める。
「あの、どうやって作るの?」
「さぁ? いつも人に作ってもらうか買うから、知らないなぁ、檸檬が入っているのは確かだ」
「ふふ、そうだね。檸檬の輪切りが浮いているし」
「ぷっ、確かに! なぁ、そろそろ行こうぜ。君は何に乗りたい?」
「えっと……」
キョロキョロと真剣な顔で辺りを見渡している。どうやら本当に遊園地に来たことがないようで、勝手がわからない様子だった。
「……あの馬の乗り物は何?」
「メリーゴーランドさ、まさか乗ったことない?」
「あ……ごめん」
しまった。俺、また余計なこと言った?
さっきから君に恥ずかしい思いをさせている?
君はきっと純粋培養された箱入り息子で、だから一般的な経験をしていないのだろう。
「ごめん。僕は知らない事が多すぎて、話していて、つまらないよね」
「違う! そんなことない。誓って違う!!」
大声で叫んでしまった。
だって本当に違うから!!
「ふふっ、ありがとう。あの、あれに乗ってみても?」
「もちろんだ。エスコートするよ」
「え?」
手をスッと差し出すと、目を丸くされた。
しばらく、時間が停止した……
しまった。俺、やりすぎか。
でも君はふわりと微笑んで、俺の手を取ってくれた。
まるで求愛を受け入れるように──
手と手が重なった。
君と俺の心も重なった。
君はまるで生まれたての雛のように、俺だけを見つめ従ってくれる。
パクパクと開く様子が可愛いな。それにとても綺麗な形の唇だ。薄い皮膜の淡い色は、日本の桜の花びらのようで、儚くも美しい。
男同士で何やってんだと周りから見たら思われるかもしれないが、そんなこと構わない。
『This place feels like a wonderland.(ここはおとぎの国のようだ)』
俺は君といると、どこまでもロマンチストになれる。ここがおとぎの国なら、俺たちは何をしようと自由だろう? そんな夢みたいなことを柄にもなく、考えてしまった。
君と夢を見るなら、より大きな夢を見たい!
「あの、もうお腹一杯だよ。喉も乾いて……」
控えめな君の訴えに、やっと我に返った。
俺、没頭しすぎだ!
「あ、ごめん。(君に)夢中になっていたよ。待っていて、飲み物を買ってくるよ」
まずい、まずい。
あのままポップコーンを食べ終わったら、俺が君の唇を勢いよく塞いでしまいそうだ。そんな自分の頭の中に浮かんだ、とんでもない考えに驚いた。
やっぱり本気で君のことを……
これは、何度考えてもまずいだろう。それより俺って男好きだったのか。今まで同性相手にこんな気持ち抱いたことなかったのに、どうしたんだ?
異国から来た君は、性別を超えた場所にいる。だから時折訳が分からなくなるよ。立場上、深入りしては駄目なのに、止まらなくそうで。
なんとか気持ちを落ち着かせ冷たいレモネードを買って戻ると、君はそっと包みの中のうさぎのぬいぐるみを見つめていた。
良かった! 気に入ってくれたんだな。
優しい眼差しだが、一体誰を想っているのか。
もしかしたら少しホームシックなのかもな。繊細そうな子だし。
「お待たせ」
「ありがとう。これお代」
君の手のひらにはコインが乗っていた。
「いいのに」
「いや、受け取って」
君のためならいくらでも出してあげるのに、そういうのが嫌ならしょうがない。でも君のぬくもりを含んだコインは使えないよ。
レモネードは甘酸っぱく、俺の心に呼応するように疼いた。
「わぁ、これは何という飲み物? 甘酸っぱくて美味しいね」
「Lemonadeさ。日本にはなかった?」
「分からない……初めて飲んだよ」
少し恥ずかしそうに頬を染める。
「あの、どうやって作るの?」
「さぁ? いつも人に作ってもらうか買うから、知らないなぁ、檸檬が入っているのは確かだ」
「ふふ、そうだね。檸檬の輪切りが浮いているし」
「ぷっ、確かに! なぁ、そろそろ行こうぜ。君は何に乗りたい?」
「えっと……」
キョロキョロと真剣な顔で辺りを見渡している。どうやら本当に遊園地に来たことがないようで、勝手がわからない様子だった。
「……あの馬の乗り物は何?」
「メリーゴーランドさ、まさか乗ったことない?」
「あ……ごめん」
しまった。俺、また余計なこと言った?
さっきから君に恥ずかしい思いをさせている?
君はきっと純粋培養された箱入り息子で、だから一般的な経験をしていないのだろう。
「ごめん。僕は知らない事が多すぎて、話していて、つまらないよね」
「違う! そんなことない。誓って違う!!」
大声で叫んでしまった。
だって本当に違うから!!
「ふふっ、ありがとう。あの、あれに乗ってみても?」
「もちろんだ。エスコートするよ」
「え?」
手をスッと差し出すと、目を丸くされた。
しばらく、時間が停止した……
しまった。俺、やりすぎか。
でも君はふわりと微笑んで、俺の手を取ってくれた。
まるで求愛を受け入れるように──
手と手が重なった。
君と俺の心も重なった。
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