562 / 1,865
成就編
聖なる夜に 27
しおりを挟む
驚いたことに、兄さんがサンタクロースの仮装をしていた。
おいおい、そんなキャラだったか。いつも堅苦しい学者肌の兄さんが、ありえないだろう!ほらほら、みんなポカンとしてしまったじゃないか。
ここは弟として俺が率先して何か言うべきだが……参ったな。いい言葉が浮かばない。
「あらあら、そんな所で。とにかく中に入りなさい。玄関は寒いわよ」
「あ……あぁ」
リビングで改めて兄さんを見ても、やはり信じられない。
何で、堅物裁判官の兄さんが……サンタ!?
すると……じっと兄さんを見つめて、しばらく考えていた芽生が、合点がいった様子で口を開いた。
「あーそうか! どうしてオジサンがサンタさんのおようふくをきているのか、やっとわかったよ! オジサンの赤ちゃんはまだオバサンのおなかの中だから、サンタさんに見つけてもらえないんだね。だから、ことしはおじさんが、トクベツに赤ちゃんのサンタさんになってあげたんだね」
「ん? そうか……あぁ、そうだな。私のサンタ姿はどうだ?」
いいぞ、流石、俺の息子だ。いいことを言うな。よし、そのまま頼む。何でもいいから、機転の利いたことをよろしく。
「うん! オジサン、すごくカッコイイよ!」
続いて瑞樹も、優しい言葉で加勢してくれた。
「憲吾さんがそんな姿で出迎えて下さるなんて、嬉しいです。クリスマス気分が一気に盛り上がりますね」
おぉ、やっぱり俺の瑞樹だ!
「そうか、そうか。気恥ずかしかったが頑張った甲斐があったよ。では私からプレゼントをあげよう」
「わーい!」
今まで芽生にクリスマスプレゼントなんて貰った記憶はないぞ。それに実家で25日にクリスマス会をしようと言い出したのも兄さんだったし……一体、どういう風の吹き回しだ?
来年には父親になるからなのか。兄さんがそんな行動に出るのは……美智さんとの仲も良好で何よりだ。
兄さんはご丁寧に白い大きな袋からプレゼントを取り出した。そこまでサンタクロースを貫くのか! 信じられない思いでパチパチと瞬きをしてしまった。
そんな様子を、母さんはとても穏やかな目で見つめていた。兄弟仲良く、家族仲良くやってくれるのが、何より嬉しいのだろう。
「あーコホン、実は、瑞樹くんにもある」
「え! 僕にもですか」
「もちろんだよ。君は『いい子』だからね」
「あ……照れます。あの……お、お兄さん……ありがとうございます」
「あぁ、そう呼んでくれるのか。うれしいな」
そうだ、それでいい。瑞樹はもう俺の家族の一員だ。
瑞樹は頬を染めて、芽生に続いて兄さんからのプレゼントをもらった。さて、中身はなんだ?
「オジサン、これ、もうあけてもいいの?」
「もちろんだよ」
芽生が中身を取り出すと、うさぎの耳がついたモコモコの白い部屋着が出てきた。
「わぁ~ぬいぐるみみたいで、かわいい! こういうの、ほしかった! ありがとうごじゃいますっ」
芽生は、うさぎみたいにぴょんぴょんと跳び跳ねて、大喜びだ。
「よかったわぁ……小さい子って何がいいのか、まだよくわからなくて。憲吾さん、やっぱりこれで正解だったわね」
「そうだな」
美智さんが選んでくれた可愛い贈り物のようだ。きっと二人で選びに行ったのだろう。仲睦まじい微笑ましい光景を思い浮かべた。
兄さんと姉さんにも、どうやらとても優しい時間がやってきているようだ。
「よかったね、芽生くん」
「おにいちゃんのは、なにかな?」
「瑞樹も、開けてみろよ」
「あ、はい!」
瑞樹も、子供のように目をワクワクと輝かせていた。
君は昨日からあどけない表情を、何度も浮かべているな。うーむ、そういう顔ももちろん可愛らしいが、そろそろ俺の我慢が……。願わくば今宵はチャンスが欲しいと願うのは、欲張りだろうか。
「わ! 僕のも同じです。芽生くんとお揃いのうさぎの部屋着です」
「なんだと?」(おぉ! これはいい! 兄さんサンキュー!)
瑞樹が広げて見せてくれたのは、芽生のもらった部屋着をそのまま大きくしたデザインのものだった。真っ白でモコモコのうさ耳が猛烈に可愛いぞ。
瑞樹とうさぎ……似合う! 似合い過ぎるだろう!
「じ、実はね……それ、女性物なのよ。細身の瑞樹くんになら、入りそうだと思って。ズボンの丈が流石に短いかも……」
「はは……」
「どうしても芽生くんとおそろいにしたくて、ごめんね」
「いえ、嬉しいです」
瑞樹は最初は少し戸惑った様子だったが、芽生とお揃いなのが嬉しいようで、花のように清楚に微笑んでくれた。
しかし……いいなぁ。ふたりでモコモコするのか。そこで、バチッと兄さんと目が合った。
「兄さん! もしかして俺にもあるのか」
「あぁ、宗吾にもちゃんとあるぞ。お前だけ仲間外れだと、後々恨まれそうだからな」
というわけで、俺も大きな包みをもらった。
驚いた。兄さんから物をもらうなんて、一体何年ぶりだ?
「まさか俺も……うさぎか」
「……そんなはずないだろう。お前のは――」
これは、気になる!
おいおい、そんなキャラだったか。いつも堅苦しい学者肌の兄さんが、ありえないだろう!ほらほら、みんなポカンとしてしまったじゃないか。
ここは弟として俺が率先して何か言うべきだが……参ったな。いい言葉が浮かばない。
「あらあら、そんな所で。とにかく中に入りなさい。玄関は寒いわよ」
「あ……あぁ」
リビングで改めて兄さんを見ても、やはり信じられない。
何で、堅物裁判官の兄さんが……サンタ!?
すると……じっと兄さんを見つめて、しばらく考えていた芽生が、合点がいった様子で口を開いた。
「あーそうか! どうしてオジサンがサンタさんのおようふくをきているのか、やっとわかったよ! オジサンの赤ちゃんはまだオバサンのおなかの中だから、サンタさんに見つけてもらえないんだね。だから、ことしはおじさんが、トクベツに赤ちゃんのサンタさんになってあげたんだね」
「ん? そうか……あぁ、そうだな。私のサンタ姿はどうだ?」
いいぞ、流石、俺の息子だ。いいことを言うな。よし、そのまま頼む。何でもいいから、機転の利いたことをよろしく。
「うん! オジサン、すごくカッコイイよ!」
続いて瑞樹も、優しい言葉で加勢してくれた。
「憲吾さんがそんな姿で出迎えて下さるなんて、嬉しいです。クリスマス気分が一気に盛り上がりますね」
おぉ、やっぱり俺の瑞樹だ!
「そうか、そうか。気恥ずかしかったが頑張った甲斐があったよ。では私からプレゼントをあげよう」
「わーい!」
今まで芽生にクリスマスプレゼントなんて貰った記憶はないぞ。それに実家で25日にクリスマス会をしようと言い出したのも兄さんだったし……一体、どういう風の吹き回しだ?
来年には父親になるからなのか。兄さんがそんな行動に出るのは……美智さんとの仲も良好で何よりだ。
兄さんはご丁寧に白い大きな袋からプレゼントを取り出した。そこまでサンタクロースを貫くのか! 信じられない思いでパチパチと瞬きをしてしまった。
そんな様子を、母さんはとても穏やかな目で見つめていた。兄弟仲良く、家族仲良くやってくれるのが、何より嬉しいのだろう。
「あーコホン、実は、瑞樹くんにもある」
「え! 僕にもですか」
「もちろんだよ。君は『いい子』だからね」
「あ……照れます。あの……お、お兄さん……ありがとうございます」
「あぁ、そう呼んでくれるのか。うれしいな」
そうだ、それでいい。瑞樹はもう俺の家族の一員だ。
瑞樹は頬を染めて、芽生に続いて兄さんからのプレゼントをもらった。さて、中身はなんだ?
「オジサン、これ、もうあけてもいいの?」
「もちろんだよ」
芽生が中身を取り出すと、うさぎの耳がついたモコモコの白い部屋着が出てきた。
「わぁ~ぬいぐるみみたいで、かわいい! こういうの、ほしかった! ありがとうごじゃいますっ」
芽生は、うさぎみたいにぴょんぴょんと跳び跳ねて、大喜びだ。
「よかったわぁ……小さい子って何がいいのか、まだよくわからなくて。憲吾さん、やっぱりこれで正解だったわね」
「そうだな」
美智さんが選んでくれた可愛い贈り物のようだ。きっと二人で選びに行ったのだろう。仲睦まじい微笑ましい光景を思い浮かべた。
兄さんと姉さんにも、どうやらとても優しい時間がやってきているようだ。
「よかったね、芽生くん」
「おにいちゃんのは、なにかな?」
「瑞樹も、開けてみろよ」
「あ、はい!」
瑞樹も、子供のように目をワクワクと輝かせていた。
君は昨日からあどけない表情を、何度も浮かべているな。うーむ、そういう顔ももちろん可愛らしいが、そろそろ俺の我慢が……。願わくば今宵はチャンスが欲しいと願うのは、欲張りだろうか。
「わ! 僕のも同じです。芽生くんとお揃いのうさぎの部屋着です」
「なんだと?」(おぉ! これはいい! 兄さんサンキュー!)
瑞樹が広げて見せてくれたのは、芽生のもらった部屋着をそのまま大きくしたデザインのものだった。真っ白でモコモコのうさ耳が猛烈に可愛いぞ。
瑞樹とうさぎ……似合う! 似合い過ぎるだろう!
「じ、実はね……それ、女性物なのよ。細身の瑞樹くんになら、入りそうだと思って。ズボンの丈が流石に短いかも……」
「はは……」
「どうしても芽生くんとおそろいにしたくて、ごめんね」
「いえ、嬉しいです」
瑞樹は最初は少し戸惑った様子だったが、芽生とお揃いなのが嬉しいようで、花のように清楚に微笑んでくれた。
しかし……いいなぁ。ふたりでモコモコするのか。そこで、バチッと兄さんと目が合った。
「兄さん! もしかして俺にもあるのか」
「あぁ、宗吾にもちゃんとあるぞ。お前だけ仲間外れだと、後々恨まれそうだからな」
というわけで、俺も大きな包みをもらった。
驚いた。兄さんから物をもらうなんて、一体何年ぶりだ?
「まさか俺も……うさぎか」
「……そんなはずないだろう。お前のは――」
これは、気になる!
11
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる