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前編

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ルノー皇子とは物心ついた時からの婚約者でした。
一緒に育ち学び半身のような存在でした。
私たちはお互いを支えあいこの国の発展のために生きると信じていたのです。
だけれども、学院に入り彼が男爵令嬢と懇意になってしまいました。
注意しただけなのです。諫めただけなのです。なのに、私が悪意を持って害したと卒業式のパーティーの時断罪をするとの計画を聞いてしまいました。
王家の秘密の為の処置を受け王家の奥義まで知ってしまった私が婚約破棄をされた場合、毒杯による死か、凌辱され純潔を奪われ一生監禁されるしか無いのです。
私の家族一族にも御沙汰が下されるでしょう。
泣いてなんかいられません断固として戦わなければいけないのです。
王弟であり宰相である父に相談をしました。父は私を抱きしめて一緒に泣いてくれました。

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8歳の時ルノー皇子との婚約式の最中、前世というものを思い出したのです。前世でプレイした【R18】乙女ゲームの世界だと確信し、自分が悪役令嬢と呼ばれるキャラクターで断罪され、思い出したくも無いおぞましい思いをし、一族殺されるというストーリーでした。
婚約式で倒れ3日間高熱を出した私を心配した両親にその話を告げると、王族でしか知らない、王胎の術の秘密を知っている事から真実と理解をされそれから10年間何事も起こらないよう私達家族は細心の注意をしていたにも関わらずです。
父は苦渋の決断の末、兄である国王に反旗を翻す事にしました。



この国の王族は特別な魔力を持ち、その魔力(主に国王)により結界を張り魔獣から国を守っているのです。魔力の強い子を産むために、王妃になる女子は主に幼児期、初潮が来る前に王胎の術を施されるのですが、お互いが純潔でなければ、王家の魔力の強い子は生まれ無いのです。
ところがルノー皇子の父、私の伯父は、子供の頃から決まっていた婚約者(王胎の術を施された)を、裏切り下級貴族の令嬢と結婚してしまったのです。しかもその令嬢は妾の娘で市井で育った為、貞操の観念が薄く、処女ですら無かったのです。この世界では女性は初めて交わった相手の魔力に染まってしまうので、例え王家の魔力といえど純潔でなければ弾かれてしまい、ルノー皇子の魔力の量は少なく微力しか王家の魔力は持っていないのです。なぜなら生まれてくる子供の魔力の量は母親の魔力量の器の大きさで決まります。王族に近い高位貴族であればあるほど大きいのです。王胎の術とはフィルターの様なもので王家の魔力以外の魔力を無効化するものなのです。ですからお互い純潔であれば、王家の血が少しでも入っている相手だったら、100%王家の魔力を持った子を産むことが出来るのです。母の祖母は王妹で王弟である父と母は従兄妹です。王家の血の濃い私がルノー皇子の婚約者に選ばれたのは表向き王家の血を戻す。ですが、本当の理由は魔力量なのです。王家の血が少しでも持っている相手なら誰でも良いのです。本当は。

王家の魔力を持った子を産まないように、婚約が破棄された場合、毒杯か、王胎を壊す為王家の血が一滴も入らない既に純潔でない奴隷か獣人複数に凌辱される、王胎を失っても私の産む子供の魔力量の器は甚大です。女子を産めばその子が王胎にされる可能性が高いのです。ゲームの中では監禁され子を産まされ続けました。
ゲームをプレイしていた時には、全てがオブラートに包まれこんな過激な内容だとは思いませんでした。ゲームの中では王家の魔力は光、他に火水風土緑の属性があり(隠し√で闇)ヒロインは聖女で、ヒロインと交わると混じった他の要素が消え、持っている魔力の頂点を極める設定だったのです。
なのでルノー皇子も王家の光の魔力を量としては少なくとも王胎で産まれたのと遜色のない純度になれ国を救ったのでした。
ですが、令嬢もまた純潔では無かったのでしょう、皇子に変化は見られませんでした。
この国は王族の魔力で結界を張って守られているのです。このままでは国が滅びる。10年に渡り最悪のケースを想定していた父の行動は迅速でした。
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