【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第六章(ライトノア学院試験編、ソフィアとアゼリア、レイドとメル、リリアとサイモンとの出会い)

(フラン)297 アルバード王国の現状

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(フラン)

今のこの国の権力の勢力は3つ。

圧倒的に数が多く、ほとんどの貴族がその派閥を支えている【エドワード派閥】
身分に重きを置いた第一王子<エドワード>は非常に苛烈で残忍な性格をしていて、更にその派閥のトップは、あの悪い意味で噂が絶えない排他的で過激な<メルンブルク家>だ。
それに続く高位貴族たちもそれと同様の価値観を持つ者達で、その派閥はガッチリと強固に固まっている。
そんな貴族にとって『のみ』都合がいいその派閥は、当然平民には支持率が低い。

そしてそれの対抗勢力として競っているのが、実力高き者達が支える【アーサー派閥】
身分や種族に関係なく実力で評価されるこの派閥は、人数は劣っていても実力はこちらが上。
それによりたとえ貴族といえども、簡単には手出しが出来ない。

更に全国に設置されている民間運営の<冒険者ギルド>に至っては、真っ向からこの【アーサー派閥】を支持すると宣言までしている事から、エドワード派閥に加担している貴族達も、手を出しにくい。
下手をすれば自身の治める領内から冒険者ギルドが去ってしまい、自領の治安が守れなくなってしまうためだ。
それに加えて他種族に排他的ではないアーサー派閥は、他国から絶大な支持を得ているため、輸入に頼っている家業の貴族達も表立っては対立できない。

そういった様々な理由から、現在膠着状態が続くこの両派閥だが、今の今まで大きな争いが起こっていない最大の原因はもう1つの勢力の存在にある。
それが世界中で多大な影響力がある<イシュル教>の最高責任者、かつ今世紀の『聖女』の名を持つ第一王女をトップとする【ソフィア派閥】の存在だ。

【ソフィア派閥】は、『完全中立』の立場を宣言しており、エドワード派閥もアーサー派閥も支持しない。
しかしどちらかの派閥が何らかの攻撃を仕掛けた場合は、平和の名の下、攻撃を受けた側の支持をするとはっきりと宣言している。
そうなれば両派閥は、お互いに手を出せない。

そんなソフィア殿のお陰で今の所内戦は防がれているが、現在アーサー殿は、他国への見解を広げるためという名目で他種族との人脈づくりを進めておられる。
そのため我々アーサー派閥の者達は彼が不在である間、なんとしても現状を維持しなければならない。
もし、そのバランスが崩されエドワード派閥が一強となってしまえば────……。

目を瞑れば、瞼の裏に映るは地獄。
恐らくこの国は、更なる豊かさを求め他国へと侵略を開始するだろう。

『他種族は人族より劣る存在』
『平民は貴族の便利な道具』
そう堂々と公言する彼らの欲望は際限なく膨れていき、ついにはそれを満たすためだけに、他国の資源を奪う事を考えるはずだ。
今までの『人』の歴史を振り返っても、それは必ず近い将来に起こる。
エドワードが王になるということはそういう事だ。

悲惨な未来の光景が目に浮かび、それを振り払おうと首を振ったが決して消えてはくれない。

戦争に身を投じていく事で、まず犠牲になるのは平民達。
貴族を守る盾となり剣となり次々とその命は散らされていき、この国で暮らす全ての他種族は奴隷にされる。
勿論そんなことになれば他種族の国と結ばれている<4カ国同盟>は破棄。
そして世界中で戦争が起こる事で、今度はあの最大の脅威をもった国がそれに喜んで参戦してくるだろう。

人族以外は人権を持たず、侵略することこそ正義と唱う、このアルバード王国と並ぶ世界二大強国【ドロティア帝国】が。

まるで意思なき魔道具の様に、死を恐れず進軍してくる【ドロティア帝国】の兵士たちを思い出し、ブルッ!と身を震わせた。
そうなればこの先一体どれほどの犠牲者が出るか……全く想像すらできない。

そしてそんな緊迫した状況下で突如現れた『奴隷のレオン殿』の存在だ。
こんな勢力図をあっという間にひっくり返してしまうような正真正銘の化け物が、エドワードに見つかれば世界は終わりだ。
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