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第二十二章
747 逃げられない
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(クラーク)
多分俺は、今まで見たことがないほど間抜けな顔をしているかもしれない。
醜態を晒しながら、俺は続きをただ黙って聞いていた。
「いいかい?坊や、よくお聞き?
君はモテない!!
悲しい事に、男としての魅力が皆無なんだ。だから命令しないと、誰も服を脱いでくれない。
さぁ、ここまでは分かったかな~?」
「もしも君が真の素晴らし~い魅力に溢れる男ならば、女性は自ら服を脱ぐ!
その素晴らしい肉体をいつでもどこでも見せてくれるだろう。」
「嫌がる女性にそれを強制するということは、自らモテないと周りにアピールして回っているという事なんだ。
それは死ぬほど恥ずかしい事だから今直ぐ辞めよう!」
「君がすべきはそんな恥ずかしいアピールではなく、自身の魅力を磨く事さ。
お互い努力していい男になろうよ。それこそ女性がこぞって裸をみせてくれる様な男に!────ねっ!」
────これは駄目だ……。
気がつけば生まれて初めて吹き出し、腹を抑えて大爆笑をしてしまっていた。
だってこれはないだろう!!?
『身分を盾に酷い事は~』やら、『女性に対しそういう扱いは~』など、そういった正規な視点からではなく、ただ単に『本人の魅力不足』ときた。
これでは、他に逃げられないではないか!
笑いすぎて目の端に溜まった涙を乱暴に拭い、続けて襲ってきたのは酷い胸の痛みであった。
この言葉達は、まだ俺は悪くないと思っていた『俺』を完全に殺す言葉だったからだ。
愉快からの笑いを自傷の笑いへと変えると、今自分が流されている道とは別の道が、不意に脇に現れる。
すると、そこに向かって走るリーフ様の姿と、それを嬉しそうに笑いながら追いかけていくアゼリア、マリオンの姿が見えた気がした。
『俺も────……。』
だから手を伸ばし、そう口に出そうとしたのだが……沢山のしがみついてくるモノ達が、俺をその道から離してくれない。
そして心のどこかで、まだ足を動かしたくない自分の感情も同時に感じる。
『だから……誰か俺をそっちに引っ張って!』
自分で足を動かそうとしないまま、ただ伸ばしただけの手を……リーフ様は掴んではくれなかった。
「…………。」
俺は自室のソファーにもたれ掛かりながら、自身の右手を上に上げ手のひらをジッと見つめる。
「リーフ様は見せてくれるだけなんだ。新しい道を……。」
『後は自分で決めろ。』
そう語る背中に、今の俺には答えが出せない。
俺はゆっくりと手のひらを顔の方に近づけ目元を隠し、その視界を黒く染めた。
それから俺はどう過ごしたか?
そう言われれば『いつも通り』で、心が踊る熱さを感じた心は、それがすぎればまた元通り。
意気揚々とパーティーに出掛けたり散財しては幸せそうな両親を笑顔で見守り、子として次期当主として両親と家を守るため努力する日々だ。
相変わらず心の中を叩いてくる音は聞こえるし、晴れない心を抱えながらも、俺は守るべき『愛』を守り続けた。
そんな時、初の特級組の野外演習で大事件が起きた。
授業自体はダンジョンの攻略という比較的スタンダードな授業内容であったが、その途中突然空が黒く染まったと思ったら、なんとジェニファー様が苦しそうに息をし始め倒れてしまったのだ。
そのため俺は、直ぐにジェニファー様を抱えダンジョンから脱出し、教員が待機している森の入り口の方へと急いだ。
そして、その後は何事もなく無事に教員の元へ到着すると、ルーン先生が結界を張っていて「おい!こっちへ入れ!」と言ってきたので直ぐに中に入り、抱き上げていたジェニファー様を木の根本に降ろす。
周りを見渡すと、何組かの生徒達がその場にいたが、やはりジェニファー様同様気分が優れなさそうな生徒たちが座り込んでいるようだった。
「……一体何が起こっているんだ?」
黒く染まった空を見上げて呟いた後、続けてジェニファー様や気分が優れない様子の生徒達に、視線を走らせる。
冷静に今の状況を分析していくと、どうも気分が優れない生徒達は、全員聖職者系の資質の者達である事が分かった。
嫌な汗が額からツ────……と流れていく。
俺は直ぐに探知魔法を発動し、少しでも情報を得ようとした、その瞬間────……。
ギ・ギ・ギギギギィィィ────ッ!!!!!
「────っ!!!!」
まるでガラスをひっかくような大音量が頭一杯に響き渡ると、息を詰まらせながら堪らず頭を抱えた。
「────っな、なんだ……?この気味の悪い音は?!」
ぐわんぐわんとその衝撃から痛む頭を抱え、探知魔法が上手く発動できない事に焦る。
しかし魔法が使えない今、俺にできる事はないと悟り、直ぐにジェニファー様の介抱に専念するしかなかった。
そしてそれからあまり時間は経たずにリーフ様とマリオンがやってきて、最後にソフィア様とアゼリアが無事に到着する。
その事に、ふぅ……と安堵の息を漏らすと、そのままその日は休校になる旨を教員から説明され、解散する事となった。
その後は一旦全員で教室へと戻るためゾロゾロと歩いたのだが、その間、全員がリーフ様とソフィア様の会話に聞き耳を立てつつ何があったのかを把握しようとしていた。
『人とは思えない不思議な感覚を与えられた。』
『理解不能な会話の数々。』
そしてその中で、『恐らく鑑定を使ったのではないか?』という言葉に、ジェニファー様が強く反応した。
スキル<鑑定>は、それが発現され次第、その者の情報を教会側は管理する義務がある。
鑑定は相手の情報全てを見ることができる、特殊な聖職者系スキル。
その聖職者が犯罪を行うなどあってはならない事であるため、そういった法律が定められているのだが、その管理が現在少々面倒な事になっている。
多分俺は、今まで見たことがないほど間抜けな顔をしているかもしれない。
醜態を晒しながら、俺は続きをただ黙って聞いていた。
「いいかい?坊や、よくお聞き?
君はモテない!!
悲しい事に、男としての魅力が皆無なんだ。だから命令しないと、誰も服を脱いでくれない。
さぁ、ここまでは分かったかな~?」
「もしも君が真の素晴らし~い魅力に溢れる男ならば、女性は自ら服を脱ぐ!
その素晴らしい肉体をいつでもどこでも見せてくれるだろう。」
「嫌がる女性にそれを強制するということは、自らモテないと周りにアピールして回っているという事なんだ。
それは死ぬほど恥ずかしい事だから今直ぐ辞めよう!」
「君がすべきはそんな恥ずかしいアピールではなく、自身の魅力を磨く事さ。
お互い努力していい男になろうよ。それこそ女性がこぞって裸をみせてくれる様な男に!────ねっ!」
────これは駄目だ……。
気がつけば生まれて初めて吹き出し、腹を抑えて大爆笑をしてしまっていた。
だってこれはないだろう!!?
『身分を盾に酷い事は~』やら、『女性に対しそういう扱いは~』など、そういった正規な視点からではなく、ただ単に『本人の魅力不足』ときた。
これでは、他に逃げられないではないか!
笑いすぎて目の端に溜まった涙を乱暴に拭い、続けて襲ってきたのは酷い胸の痛みであった。
この言葉達は、まだ俺は悪くないと思っていた『俺』を完全に殺す言葉だったからだ。
愉快からの笑いを自傷の笑いへと変えると、今自分が流されている道とは別の道が、不意に脇に現れる。
すると、そこに向かって走るリーフ様の姿と、それを嬉しそうに笑いながら追いかけていくアゼリア、マリオンの姿が見えた気がした。
『俺も────……。』
だから手を伸ばし、そう口に出そうとしたのだが……沢山のしがみついてくるモノ達が、俺をその道から離してくれない。
そして心のどこかで、まだ足を動かしたくない自分の感情も同時に感じる。
『だから……誰か俺をそっちに引っ張って!』
自分で足を動かそうとしないまま、ただ伸ばしただけの手を……リーフ様は掴んではくれなかった。
「…………。」
俺は自室のソファーにもたれ掛かりながら、自身の右手を上に上げ手のひらをジッと見つめる。
「リーフ様は見せてくれるだけなんだ。新しい道を……。」
『後は自分で決めろ。』
そう語る背中に、今の俺には答えが出せない。
俺はゆっくりと手のひらを顔の方に近づけ目元を隠し、その視界を黒く染めた。
それから俺はどう過ごしたか?
そう言われれば『いつも通り』で、心が踊る熱さを感じた心は、それがすぎればまた元通り。
意気揚々とパーティーに出掛けたり散財しては幸せそうな両親を笑顔で見守り、子として次期当主として両親と家を守るため努力する日々だ。
相変わらず心の中を叩いてくる音は聞こえるし、晴れない心を抱えながらも、俺は守るべき『愛』を守り続けた。
そんな時、初の特級組の野外演習で大事件が起きた。
授業自体はダンジョンの攻略という比較的スタンダードな授業内容であったが、その途中突然空が黒く染まったと思ったら、なんとジェニファー様が苦しそうに息をし始め倒れてしまったのだ。
そのため俺は、直ぐにジェニファー様を抱えダンジョンから脱出し、教員が待機している森の入り口の方へと急いだ。
そして、その後は何事もなく無事に教員の元へ到着すると、ルーン先生が結界を張っていて「おい!こっちへ入れ!」と言ってきたので直ぐに中に入り、抱き上げていたジェニファー様を木の根本に降ろす。
周りを見渡すと、何組かの生徒達がその場にいたが、やはりジェニファー様同様気分が優れなさそうな生徒たちが座り込んでいるようだった。
「……一体何が起こっているんだ?」
黒く染まった空を見上げて呟いた後、続けてジェニファー様や気分が優れない様子の生徒達に、視線を走らせる。
冷静に今の状況を分析していくと、どうも気分が優れない生徒達は、全員聖職者系の資質の者達である事が分かった。
嫌な汗が額からツ────……と流れていく。
俺は直ぐに探知魔法を発動し、少しでも情報を得ようとした、その瞬間────……。
ギ・ギ・ギギギギィィィ────ッ!!!!!
「────っ!!!!」
まるでガラスをひっかくような大音量が頭一杯に響き渡ると、息を詰まらせながら堪らず頭を抱えた。
「────っな、なんだ……?この気味の悪い音は?!」
ぐわんぐわんとその衝撃から痛む頭を抱え、探知魔法が上手く発動できない事に焦る。
しかし魔法が使えない今、俺にできる事はないと悟り、直ぐにジェニファー様の介抱に専念するしかなかった。
そしてそれからあまり時間は経たずにリーフ様とマリオンがやってきて、最後にソフィア様とアゼリアが無事に到着する。
その事に、ふぅ……と安堵の息を漏らすと、そのままその日は休校になる旨を教員から説明され、解散する事となった。
その後は一旦全員で教室へと戻るためゾロゾロと歩いたのだが、その間、全員がリーフ様とソフィア様の会話に聞き耳を立てつつ何があったのかを把握しようとしていた。
『人とは思えない不思議な感覚を与えられた。』
『理解不能な会話の数々。』
そしてその中で、『恐らく鑑定を使ったのではないか?』という言葉に、ジェニファー様が強く反応した。
スキル<鑑定>は、それが発現され次第、その者の情報を教会側は管理する義務がある。
鑑定は相手の情報全てを見ることができる、特殊な聖職者系スキル。
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