【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十章

1298 灰色の世界

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( マービン )


「 …………はっ??? 」


何もない世界にいつの間にか立っていた俺は、ポカン……としながら周囲を見回す。


どんなに探しても何もない。

ここは……どこだ??


「 灰色の……空間??

なぜ俺はこんな場所に……。 」


ボソッと呟くと────……。


「 ここはね~ ” 現実と意識 ” の間の空間だよ。 」


突然上から、聞き覚えのない子供の様な声が聞こえ、体はビクッ!と跳ねた。

その直後、上を見上げようとしたが、それより先に何かが目の前にドスンっ!と落ちてきたため、慌てて後ろに後退する。


すると、目の前にいたのは、あの白い飛竜である事に気付いた。


「 なっ、なっ……おどろかせるなよ!

何なんだよ、その ” 現実と意識 ” の間って……。

────って、あれ……??? 」


竜が喋った!!?


その事実に辿りつくと、手をワタワタと動かし動揺を表現する。

それを見た白い飛竜は、人懐っこい笑みを浮かべた。


「 僕たち竜種は、ここを ” 灰色の世界 ” って呼んでいるよ。

ここからいろんな人の心と繋がる道を探す事ができるんだ。

でも、誰でも……というわけにはいかない。


探すのも難しいし、入口を開けるのもすごく難しい。


” 人 ” の心ってすごく複雑なんだよね。 」


「 人の心と繋がる道……?? 」


にわかにその話を信じられなくて、俺は訝しげな表情を見せる。

すると白い飛竜は、やれやれと言わんばかりにため息をついた。

 
「 は現実のすぐ側にあるんだ。

でも、行けるのはほんの一握りの才能を持った ” 人 ” と竜種だけ。

だから竜は、古来より特別な生き物と言われているんだろうね。


まぁ、竜の中にはいろんなヤツがいるんだけどさ。 」


「 ……???!! 」


やはり初めて聞く話の数々に、目を白黒していると、白い飛竜はもう一度ため息をついてクルクルと俺の周りを飛び回る。


「 全く~。僕の ” パートナー ” は頭が硬いな~。 」


「 ────えっ?? 」


今度はポカンと口を大きく開けて固まった俺を見て、白い飛竜は ” どうしたの~? ” といわんばかりに顔を覗き込んできたので、我に帰った俺は、その顔をグイ~と遠ざけた。


「 あのな~……お前、散々俺の事嫌ってたじゃないか。

顔を見せれば飛び立つし、威嚇しまくるし……。

何で今更……そんな事を言ってくるんだよ! 」



” パートナー ” とは、竜と人で、【 約束 】という契約をした者同士の関係性の事を言い、その関係性は一生変える事はできない。


” パートナー ” は一生を共にし、最後は ” 死 ” すらも共有する関係だ。


そのためライロンド家の当主は、代々【 約束 】をした竜と共に生き、最後は共に死地へと旅立つ。


グイグイと顔を押す俺の手から、白い飛竜はイヤイヤ~と顔を振って逃れると。不貞腐れた様な表情を見せた。


「 だってさ、君はずっと向かっていたから。

あの偽の楽園に。


己の欲望に勝てない ” 弱き者 ” を、僕達飛竜は、パートナーにする事はないよ。

なんといっても一生共に過ごすんだから。 」


きっぱりと言われた言葉を聞いて思い出したのは、地獄の様な場所で金貨を食べ続ける空っぽのけ物の事。


そしてその地獄との境界線に立った時に見えた、ペラペラの体のダリオスと沢山の飛竜達の事を思い出す。


「 まさか……あの時の……。

…………お前たちは、あの地獄に行った事があるのか? 」


ゴクッ……と唾を飲み込みながら尋ねると、白い飛竜はゲェ~と心底イヤそうな顔をした。


「 まさか!あんな酷い場所になんて行かないよ!

でも ” 人 ” は何故かあの場所に行こうとするんだ。

とても幸せそうな顔でね。


不思議だよね~あんな地獄みたいな場所なのに!
         
きっと彼らは自分のしか見えないんだ。


僕たちは、進み続ける君にずっと叫び続けていたのに……。 」


しょんぼりと肩を落とす白い飛竜を見ながら、ゾッ……と背中に悪寒が走る。

ゆっくりと進み続ける俺に向かって飛竜達はずっとあそこにいた。


でも俺には、何も見えず地獄の様な場所が楽園に見えていたのだから、きっと俺も見たいモノしか見えてなかったのだと思う。


それは恐怖以外の何者でもない。


改めて、その恐ろしさを再確認していると、白い飛竜は困った様に笑った。


「 ……正直、もうだめだと思っていたんだ。

ダリオスも……君も……。
   
きっとの住人になるんだろうなって思ってた。

ダリオスは長い事、境界線の上で頑張っていたけど……きっと君が偽の楽園に飛び込んだら、その後を追うだろうなって思っていたから……。


でも────……。 」


白い飛竜は、突然顎に手を当て、う~ん……???と考え込む仕草を見せる。


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