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第四十章
1297 白いヤツ
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( マービン )
まるで雨の様なランスの攻撃。
その攻撃の余波でブワッ!と強い風が吹き、堪らず俺とグリム、スワンの三人は両手を前にし、それに耐える。
そしてそのまま、前に立つ父の背中をボンヤリと見つめた。
ペラペラではない、どっしりと分厚い背中を……。
「 ……なぁ、俺が小さい頃、勉強がしたくないと駄々をこねた事があっただろう?
その時……なんて言おうとしていたんだ? 」
たった一度だけ、俺を ” 見よう ” としてくれた時の事。
その時の事をまた思い出し、その背中に尋ねてみた。
すると父はピンッ!ときたのか、こちらを振り向きニカッと笑う。
「 ” 俺もだ! ” と言おうとしたんだ。
どうも俺は頭脳を使うのが昔から苦手でな……だから勉強は大嫌いだった! 」
割とどうしようもない答えが返ってきて、ガクッ……と肩を落としたが、それに続く言葉に俺は目を見開いた。
「 別にしたくないならそれでもいいと思った。
” ただ幸せに──── ” 生きてくれるなら……。 」
父はそれだけ言うと、飛竜と共に飛び上がる。
そんな父に向かって手を伸ばそうとしたが、父はそれを拒む様に俺達に向かって言った。
「 三人は魔法解除でフィールドの外に出ろ。
こいつは俺達飛竜隊が必ず倒す。
マービン、情けない父で今まですまなかったな。
後は任せろ! 」
そう言って父は飛び去ってしまった。
” 悪 ” が放った最強の悪意の塊の元へ……そして共に戦う仲間たちの元へと。
「 ……マービン様。 」
手を伸ばし掛けたまま立ち尽くす俺に、グリムとスワンは気遣う様な声を掛ける。
俺はゆっくりとその手を降ろし、激しい戦闘が繰り広げられている戦場へ目を向けた。
きっと父は俺と違ってクソ真面目で、不器用で……貴族らしからぬ男だったんだろう。
だから貴族としての戦い方を知らず、あの女から逃げることができなかったんだ。
そしてこれが ” 正しい ” と思い込もうとして ” 悪 ” の道を歩もうとしたが……結局できなかった。
苦しそうに ” 境界線 ” で踏ん張っていた父の姿を思い出し、自然と険しい顔になる。
最後の最後に両親が残してくれた言葉が、愛情が……あと一歩という場所で父の足を止めていてくれたのだと思う。
そして俺も……。
初めて聞いた父の過去とその気持ちを聞き、今まで気付けなかった事が次々と頭の中へ浮かんでくると────その愛情は、確かに俺にも向けられていた事にも気づいてしまった。
父は俺が悪い事をする度に、被害者へ頭を下げ、代わりに償いをしてきてくれた。
俺の代わりに罪と向き合ってくれいたのだ。
だからあの偽の楽園へ向かう足は、ゆっくりとしか動かせなくて……俺はあの地獄の様な場所へ行かなくてすんだ。
ずっと俺は父に守られていた。
愛情はこんなにも近くにあったじゃないか!
気がつけば目からは大粒の涙が止めどなく流れていて、そのままそれは地面へとボロボロ落ちていった。
「 ……これだからっ……低位貴族は……っ。 」
憎まれ口で、溢れ出る喜びの感情を必死に誤魔化す。
空っぽだと思っていた自分の中、見えないくらい隅の方に確かにあった父の愛情。
それが心の中で大きく広がっていくと、次に浮かぶのは悔しいという気持ちだった。
せっかく見つけた大事なモノを守る力がない自分。
それが情けなくて……悔しい!!
新たに湧いた熱く焦げ付く様な感情を持て余していた、その時────……。
────────ヌッ……!
そんな音が聞こえてくる様に、上から何かが俺の顔を覗き込んできた。
赤いクリクリした目をこちらに向け、パチパチと瞬きしている。
「 う……うわぁぁぁぁぁ────────っ!!!! 」
驚いて叫び声を上げながら、グリムとスワンと共に後ろへ下がると、目に飛び込んできたのは真っ白い体と翼を持った────あの特別種の飛竜であった。
いつもは威嚇してすぐ飛び立ってしまうのに……??
初めてマジマジとその姿を見つめると、その白い飛竜はお返しとばかりに俺をジロジロと見つめてくる。
「 なっ、なんだよ。お前、俺に何か文句でもあるのか? 」
ジロッ!と睨む返すと、白い飛竜は突然俺達の周りをグルグルと周り始め、『 クルル~。 』『 クルル~。 』と初めて聞く声で泣き始めたのだ。
何を伝えたいのかサッパリ分からず、俺達は顔を見合わせ首を傾げたが、白い飛竜は不機嫌そうに尻尾とバンバンっ!と地面に叩きつけ、俺の目の前で止まる。
そして突然俺の首根っこを咥えると、そのまま慌てて止めようとするグリムとスワンを振り切り、俺を頭上へ投げ飛ばした!
「 うわあぁぁぁぁぁ!!! 」
またしても大きな悲鳴を上げながら、目を瞑ると……今度は突然体を襲う浮遊感がフッと消えたため、慌てて目を開ける。
するとそこは一面灰色の世界。
さっきまで側にいたはずのグリムやスワン、そして< ジョロウ・キング >も飛竜隊もいないただの灰色の空間であった。
まるで雨の様なランスの攻撃。
その攻撃の余波でブワッ!と強い風が吹き、堪らず俺とグリム、スワンの三人は両手を前にし、それに耐える。
そしてそのまま、前に立つ父の背中をボンヤリと見つめた。
ペラペラではない、どっしりと分厚い背中を……。
「 ……なぁ、俺が小さい頃、勉強がしたくないと駄々をこねた事があっただろう?
その時……なんて言おうとしていたんだ? 」
たった一度だけ、俺を ” 見よう ” としてくれた時の事。
その時の事をまた思い出し、その背中に尋ねてみた。
すると父はピンッ!ときたのか、こちらを振り向きニカッと笑う。
「 ” 俺もだ! ” と言おうとしたんだ。
どうも俺は頭脳を使うのが昔から苦手でな……だから勉強は大嫌いだった! 」
割とどうしようもない答えが返ってきて、ガクッ……と肩を落としたが、それに続く言葉に俺は目を見開いた。
「 別にしたくないならそれでもいいと思った。
” ただ幸せに──── ” 生きてくれるなら……。 」
父はそれだけ言うと、飛竜と共に飛び上がる。
そんな父に向かって手を伸ばそうとしたが、父はそれを拒む様に俺達に向かって言った。
「 三人は魔法解除でフィールドの外に出ろ。
こいつは俺達飛竜隊が必ず倒す。
マービン、情けない父で今まですまなかったな。
後は任せろ! 」
そう言って父は飛び去ってしまった。
” 悪 ” が放った最強の悪意の塊の元へ……そして共に戦う仲間たちの元へと。
「 ……マービン様。 」
手を伸ばし掛けたまま立ち尽くす俺に、グリムとスワンは気遣う様な声を掛ける。
俺はゆっくりとその手を降ろし、激しい戦闘が繰り広げられている戦場へ目を向けた。
きっと父は俺と違ってクソ真面目で、不器用で……貴族らしからぬ男だったんだろう。
だから貴族としての戦い方を知らず、あの女から逃げることができなかったんだ。
そしてこれが ” 正しい ” と思い込もうとして ” 悪 ” の道を歩もうとしたが……結局できなかった。
苦しそうに ” 境界線 ” で踏ん張っていた父の姿を思い出し、自然と険しい顔になる。
最後の最後に両親が残してくれた言葉が、愛情が……あと一歩という場所で父の足を止めていてくれたのだと思う。
そして俺も……。
初めて聞いた父の過去とその気持ちを聞き、今まで気付けなかった事が次々と頭の中へ浮かんでくると────その愛情は、確かに俺にも向けられていた事にも気づいてしまった。
父は俺が悪い事をする度に、被害者へ頭を下げ、代わりに償いをしてきてくれた。
俺の代わりに罪と向き合ってくれいたのだ。
だからあの偽の楽園へ向かう足は、ゆっくりとしか動かせなくて……俺はあの地獄の様な場所へ行かなくてすんだ。
ずっと俺は父に守られていた。
愛情はこんなにも近くにあったじゃないか!
気がつけば目からは大粒の涙が止めどなく流れていて、そのままそれは地面へとボロボロ落ちていった。
「 ……これだからっ……低位貴族は……っ。 」
憎まれ口で、溢れ出る喜びの感情を必死に誤魔化す。
空っぽだと思っていた自分の中、見えないくらい隅の方に確かにあった父の愛情。
それが心の中で大きく広がっていくと、次に浮かぶのは悔しいという気持ちだった。
せっかく見つけた大事なモノを守る力がない自分。
それが情けなくて……悔しい!!
新たに湧いた熱く焦げ付く様な感情を持て余していた、その時────……。
────────ヌッ……!
そんな音が聞こえてくる様に、上から何かが俺の顔を覗き込んできた。
赤いクリクリした目をこちらに向け、パチパチと瞬きしている。
「 う……うわぁぁぁぁぁ────────っ!!!! 」
驚いて叫び声を上げながら、グリムとスワンと共に後ろへ下がると、目に飛び込んできたのは真っ白い体と翼を持った────あの特別種の飛竜であった。
いつもは威嚇してすぐ飛び立ってしまうのに……??
初めてマジマジとその姿を見つめると、その白い飛竜はお返しとばかりに俺をジロジロと見つめてくる。
「 なっ、なんだよ。お前、俺に何か文句でもあるのか? 」
ジロッ!と睨む返すと、白い飛竜は突然俺達の周りをグルグルと周り始め、『 クルル~。 』『 クルル~。 』と初めて聞く声で泣き始めたのだ。
何を伝えたいのかサッパリ分からず、俺達は顔を見合わせ首を傾げたが、白い飛竜は不機嫌そうに尻尾とバンバンっ!と地面に叩きつけ、俺の目の前で止まる。
そして突然俺の首根っこを咥えると、そのまま慌てて止めようとするグリムとスワンを振り切り、俺を頭上へ投げ飛ばした!
「 うわあぁぁぁぁぁ!!! 」
またしても大きな悲鳴を上げながら、目を瞑ると……今度は突然体を襲う浮遊感がフッと消えたため、慌てて目を開ける。
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