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第四十章
1300 家族という言葉
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( マービン )
白い飛竜が叫ぶと、足元の魔法陣が半分光りだした。
竜との ” 約束 ” は、モンスター ” 契約 ” とは違い、相手に刻み込むものではなく、お互いの魂を同化させるモノ。
だから従魔契約などとは違い、一生解除する事は不可能になる。
要は相手と自分の境界線を失くすものなわけだが、それにはお互い同等の願いを持ち合い、それを死ぬまで叶え続けるという強い意思の力が必要だ。
俺はしっかりと白い飛竜の目を見つめ、強い想いを口にした。
「 じゃあ俺は……飛竜に理解ある伴侶を。
そしてこれから広い世界へ、色々なモノを探しに行きたい。
だから共に歩き、戦う同志になれ! 」
「 いいね、いいね~!
じゃあ僕らの邪魔をする奴らは全部ぶっ飛ばそう!
なんだかすごく楽しみだね。 」
もう半分の魔法陣も同様に光だし、完全な姿形を取り戻すと……ゆっくりと魔法陣は分解していき、俺達の周囲を周りだす。
これが ” 約束 ” ……。
魔法陣を構成していた沢山の文字や数字の羅列が宙を舞う中、白い飛竜が突然俺の名を呼んだ。
「 ねぇねぇ、マービン!
僕にもその ” 名前 ” っていうの?それつけてよ。
人はそれを呼び合うんでしょ?
人と ” 約束 ” を交わした竜種は、皆それを初めてパートナーに貰うんだよ。
いかしたヤツで頼むね~。 」
ウキウキ!
ワクワク!
キラキラと輝く目で見つめられ、俺はその圧に負けて顔を仰け反らせる。
竜種には名がない。
なぜかと言うと、人とは違い ” 言葉 ” でコミュニケーションを取らないからだ。
竜種は、お互い魔力による意思疎通ができると言われていて、だから ” 言葉 ” にしなくても、分かり合う事ができるそうだ。
魔力はこの世に一つとして同じモノはなく、それが竜にとっては、人の使う ” 名前 ” と一緒で、個人の認識証みたいなモノ。
だから竜種には、” 言葉 ” で個体を分けない。
ただし、人型種とコミュニケーションを取る場合は、” 言葉 ” が大事なツールであるため、絆を結んだ相手に ” 名前 ” をつけてもらうのだ。
「 名前か……。 」
俺は白い飛竜の顔をグイ~と押し戻し、そのまま考え込むと……昔、初めてライロンド家の先代が飛竜と契約した時の話を思い出した。
歴代最強と言われている先代とパートナーである飛竜の関係性は、他の者達には分からない特別な絆で結ばれていたという。
パートナーである飛竜はそんな先代の事が大好きだった様で、暇さえあれば先代の後をくっついて回っていたそうだ。
その話を家庭教師に教えてもらった時、俺は ” 自分が飛竜に認められたらどんな名前をつけようか? ” と考えた。
そしてドキドキしながら思いついたその名は────……。
「 ……< ヴィー > 」
「 えっ??? 」
ボソッと呟いた名を聞きづらかったのか、白い飛竜は首を大きく傾げた。
そのため、今度は大きな声を出してその名を伝える。
「 < ヴィー >だ。
先代と初めて ” 約束 ” した飛竜は、先代を追いかけ回しながら、人の言葉を真似て『 ヴィー。 』『 ヴィー。 』と鳴いていたそうだ。
どうもその< ヴィー >というのは、竜の聴覚では、人の言葉である ” 家族 ” ととても発音が似ているらしいな。 」
「 あ~……確かに、人の言葉である ” 家族 ” ってそう聞こえるね! 」
先代とパートナーの飛竜は、歴史に残る功績の数々を残し、我がライロンド家の伝説として語り継がれている。
そんな飛竜がどんな気持ちで、先代に ” ヴィー ” と言い続けていたのか知らない。
しかし、子供心に ” いいなぁ。 ” と思ったのだ。
心の底から信じ合い、共に戦い続けた先代と飛竜。
種族が全く違う者を、飛竜がなんの戸惑いもなく ” 家族 ” と呼ぶ関係性を。
” 家族 ” になれた彼らが羨ましかった。
だから俺にもいつかそんな存在ができた時は、” ヴィー ” という名をつけようと、そう思っていた。
白い飛竜は嬉しそうに尻尾を振って叫ぶ。
「 よ~し!じゃあ、僕の名前は今日から《 ヴィー 》!
これからよろしく!マービン! 」
するとまるでその言葉が合図だった様に、突然周囲は真っ白な光に包まれ────────……ハッ!と目を覚ませば、俺の目の前には空が広がっていた。
そして身体に感じるのは浮遊感で、自分が空から落ちているのに気づく。
「 うわぁぁぁぁ!!!?? 」
自分が落ちている事に焦り、どうにかしようとしたその時────白い影がザッ!!と物凄いスピードで俺の真下に移動し、その背に俺を乗せた。
「 ヴィー!! 」
咄嗟にその名を呼べば、ヴィーはニコッと笑い《 うん!何?マービン! 》と答える。
さっきのは……夢じゃない!!
変わらずヴィーの言葉がわかる様になった俺はそう確信し、自分の手の甲に刻まれた魔法陣を見下ろした。
これは竜種と ” 約束 ” した証。
【 宣誓陣 】
これは勿論ヴィーの手の甲にも同じモノが刻まれている。
ジ~ン……。
感動に身を震わせていると、突然目の前に四角いプレートの様なモノが現れ、驚き背を逸らした。
白い飛竜が叫ぶと、足元の魔法陣が半分光りだした。
竜との ” 約束 ” は、モンスター ” 契約 ” とは違い、相手に刻み込むものではなく、お互いの魂を同化させるモノ。
だから従魔契約などとは違い、一生解除する事は不可能になる。
要は相手と自分の境界線を失くすものなわけだが、それにはお互い同等の願いを持ち合い、それを死ぬまで叶え続けるという強い意思の力が必要だ。
俺はしっかりと白い飛竜の目を見つめ、強い想いを口にした。
「 じゃあ俺は……飛竜に理解ある伴侶を。
そしてこれから広い世界へ、色々なモノを探しに行きたい。
だから共に歩き、戦う同志になれ! 」
「 いいね、いいね~!
じゃあ僕らの邪魔をする奴らは全部ぶっ飛ばそう!
なんだかすごく楽しみだね。 」
もう半分の魔法陣も同様に光だし、完全な姿形を取り戻すと……ゆっくりと魔法陣は分解していき、俺達の周囲を周りだす。
これが ” 約束 ” ……。
魔法陣を構成していた沢山の文字や数字の羅列が宙を舞う中、白い飛竜が突然俺の名を呼んだ。
「 ねぇねぇ、マービン!
僕にもその ” 名前 ” っていうの?それつけてよ。
人はそれを呼び合うんでしょ?
人と ” 約束 ” を交わした竜種は、皆それを初めてパートナーに貰うんだよ。
いかしたヤツで頼むね~。 」
ウキウキ!
ワクワク!
キラキラと輝く目で見つめられ、俺はその圧に負けて顔を仰け反らせる。
竜種には名がない。
なぜかと言うと、人とは違い ” 言葉 ” でコミュニケーションを取らないからだ。
竜種は、お互い魔力による意思疎通ができると言われていて、だから ” 言葉 ” にしなくても、分かり合う事ができるそうだ。
魔力はこの世に一つとして同じモノはなく、それが竜にとっては、人の使う ” 名前 ” と一緒で、個人の認識証みたいなモノ。
だから竜種には、” 言葉 ” で個体を分けない。
ただし、人型種とコミュニケーションを取る場合は、” 言葉 ” が大事なツールであるため、絆を結んだ相手に ” 名前 ” をつけてもらうのだ。
「 名前か……。 」
俺は白い飛竜の顔をグイ~と押し戻し、そのまま考え込むと……昔、初めてライロンド家の先代が飛竜と契約した時の話を思い出した。
歴代最強と言われている先代とパートナーである飛竜の関係性は、他の者達には分からない特別な絆で結ばれていたという。
パートナーである飛竜はそんな先代の事が大好きだった様で、暇さえあれば先代の後をくっついて回っていたそうだ。
その話を家庭教師に教えてもらった時、俺は ” 自分が飛竜に認められたらどんな名前をつけようか? ” と考えた。
そしてドキドキしながら思いついたその名は────……。
「 ……< ヴィー > 」
「 えっ??? 」
ボソッと呟いた名を聞きづらかったのか、白い飛竜は首を大きく傾げた。
そのため、今度は大きな声を出してその名を伝える。
「 < ヴィー >だ。
先代と初めて ” 約束 ” した飛竜は、先代を追いかけ回しながら、人の言葉を真似て『 ヴィー。 』『 ヴィー。 』と鳴いていたそうだ。
どうもその< ヴィー >というのは、竜の聴覚では、人の言葉である ” 家族 ” ととても発音が似ているらしいな。 」
「 あ~……確かに、人の言葉である ” 家族 ” ってそう聞こえるね! 」
先代とパートナーの飛竜は、歴史に残る功績の数々を残し、我がライロンド家の伝説として語り継がれている。
そんな飛竜がどんな気持ちで、先代に ” ヴィー ” と言い続けていたのか知らない。
しかし、子供心に ” いいなぁ。 ” と思ったのだ。
心の底から信じ合い、共に戦い続けた先代と飛竜。
種族が全く違う者を、飛竜がなんの戸惑いもなく ” 家族 ” と呼ぶ関係性を。
” 家族 ” になれた彼らが羨ましかった。
だから俺にもいつかそんな存在ができた時は、” ヴィー ” という名をつけようと、そう思っていた。
白い飛竜は嬉しそうに尻尾を振って叫ぶ。
「 よ~し!じゃあ、僕の名前は今日から《 ヴィー 》!
これからよろしく!マービン! 」
するとまるでその言葉が合図だった様に、突然周囲は真っ白な光に包まれ────────……ハッ!と目を覚ませば、俺の目の前には空が広がっていた。
そして身体に感じるのは浮遊感で、自分が空から落ちているのに気づく。
「 うわぁぁぁぁ!!!?? 」
自分が落ちている事に焦り、どうにかしようとしたその時────白い影がザッ!!と物凄いスピードで俺の真下に移動し、その背に俺を乗せた。
「 ヴィー!! 」
咄嗟にその名を呼べば、ヴィーはニコッと笑い《 うん!何?マービン! 》と答える。
さっきのは……夢じゃない!!
変わらずヴィーの言葉がわかる様になった俺はそう確信し、自分の手の甲に刻まれた魔法陣を見下ろした。
これは竜種と ” 約束 ” した証。
【 宣誓陣 】
これは勿論ヴィーの手の甲にも同じモノが刻まれている。
ジ~ン……。
感動に身を震わせていると、突然目の前に四角いプレートの様なモノが現れ、驚き背を逸らした。
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