【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十章

1301 戦場へ

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( マービン )


( 種族 ) 飛竜

( 名前 ) 該当なし → ヴィー

( ユニーク個体名 ) 【 気まぐれ白飛竜 】

( モンスター資質 ) 【 白風竜 】



( 特殊契約スキル )


< 友愛の絆 >

他種族と ” 約束 ” した際に発動する特殊契約スキル

” 約束 ” を交わした者とどこにいても意思疎通が可能になる



< 共有魔素進化 >

名を貰う事で発言する特殊契約スキル

魂を他種族と共有化する事で、元々持っている魔素由来の魔力を変質させて進化させていく事ができる進化型のスキル

お互いの感情により成長していく



「 な、なんだ??これは……?? 」


四角いプレートに書かれている内容に目を通しながら、首を大きく傾げると、ヴィーはあっけらかんとそれに答える。


《 あぁ、それは僕の個人情報だよ。

ちなみに僕の前にあるのはマービンの個人情報。 》


フッとヴィーの前を見れば、俺のは同じ形状の四角いプレートが浮かんでいる。

どうやらそこには俺の個人情報が書かれているようだ。


「 そんな事までできるのか……。 」


《 魂の同化だからね。これから秘密ごとはお互い持てないって事。

僕は君と ” 約束 ” した事で2つのスキルを手に入れた。

一つはこうして君と自由にお喋りできるスキル< 友愛の絆 >

もう一つは< 共有魔素進化 >

これが実はとても強力なスキルで、これこそが他種族と何かしらの絆を結んだモンスターが、野生のモンスターより強い個体になる理由なんだ。 》


「 ほぅ? 」


ヴィーは自分の目の前にある、俺の個人情報が書かれたプレートに目を通しながら説明を続ける。


《 このスキルは、君と僕の成長により力を発揮していく進化型のスキルなんだ。

” 約束 ” をした竜種は、パートナーと共に成長し、その能力は一生進化し続ける。

その力の方向性も二人で決めていくんだよ。》


「 なるほど……。

それはとんでもないスキルだな……。 」


そもそもモンスターにスキルがあること自体驚きだというのに、進化していくスキルときた。

他種族との交わりは、モンスターをとんでもなく強い個体にしてしまうらしい。


難しい顔でう~ん……と考え込みながら、俺はヴィーの個人情報を見つめた。


確かに ” 約束 ” をしたり ” 契約 ” したモンスターは、野生のモンスターを遥かに超える力を持っている事自体は知られている。

その理由は、こうしら特殊なスキルのせいと言う事は知られてはいないが、現在一番有力視されているのは ” 魔素は他の性質を持ったモノを取り入れると力を増す ” という性質によるものだと言われている様だ。

ただ────ではなぜその ” 力 ” に差が発生するのかは分かっていなかった。


お互いの ” 感情 ” によって、成長具合に差があったからだったのか……!


その事実を知り、今度はワクワクと胸が踊る。


「 これを学術会に発表したら、歴史に名前が残るんじゃないか?

世界の謎が一つ解けたな。 」


《 あ、そっか。ごめんごめん、大事な事を言い忘れてたよ。

僕達が "   約束 "  してから得たお互いの情報は、口に出さない方がいいよ。 》


ヴィーは、首を振りながらシーっと囁いた。

意味がわからず、俺はヴィーにその理由について尋ねる。


「 なぜ言ってはダメなんだ?

それも "   約束 "   に含まれるということか? 」


《 う~ん……そういう訳じゃないよ。

説明が凄く難しいんだけど…… "   何か "   がそれを許さないのを竜種は知っているんだ。

それは、この ” 約束 ” だけじゃない。

他にもそれに類似した事が沢山あって……きっとその ” 何か ” は、決められた以上の ” 力 ” を一個体が持つ事を許さないのかもね。

思ってもない方法で ” 力 ” を手にしちゃう個体もいるだろうから……。 》


「 はぁ??? ” 何か ” とは何者なんだ??

それに……もし仮にそれを無理やり実行したら、殴り込みにでもくるというのか? 」


サッパリ意味の分からない事を言うヴィーに問うと、ヴィーは少し悩む様な様子を見せてから、カラッと笑った。


《 さぁ?僕にもよく分からない!

でも────仮にその事実を口にしようとしたら、言葉は ” 取られちゃう ” はずだよ。


きっと ” 世界 ” は、何か大きな力で回っているんだと思う。

それに逆らう事を許さない ” 力 ” が存在しているって事じゃないかな? 》


「 う~む……。分かる様な分からない様な……。

ただ、口にしない方が懸命だという事は理解した。

よってこの事は俺の胸にしまっておく事にしよう。


とりあえず大事な事は、今の事だ。


俺はあの化け物を倒したい。

だからヴィー、力を貸せ、いいな? 」


ドンッ!!と偉そうな物言いで言い放つと、ヴィーは呆れた様にため息をつく。


《 あんまり偉そうに命令するなら、リーフ様に意地悪された~って言いつけるからね。 》


「 ────待て。

なぜヴィーがリーフ様の事を知っている?! 」


焦りながらそう問う俺に、ヴィーは誂う様なニヤニヤした笑みを浮かべた。


《 そりゃ~記憶も共有しているからね~。

裸で磔にされたり~、リーフ様に怒られて夜ベッドでシクシク泣いたり~、実はお尻を叩かれて嬉しいのもぜ~んぶ知ってるよ! 》


「 わあああああああああ!!!!!! 」


ヴィーの言葉をかき消そうと、大声で叫ぶ。


ば……馬鹿な……っ!

俺の恥ずかしい秘密が……!!


恥ずかしさからワナワナと震える俺の見て、ヴィーは ” してやったり! ” と言わんばかりの顔をしている。


仕返ししてやろうと、俺は頭の中に自然と浮かぶヴィーの記憶を見てやったが、草を毟って遊んでいる記憶や空をフヨフヨ飛んで遊んでいる記憶、俺に ” ば~かば~か!弱虫~! ” と罵って悪態ついていた記憶……と正直碌なモノがない。


しかし……その中で他の仲間の飛竜達が自身のパートナー達と共に、信頼しあって訓練しているのを見つめて寂しそうにしている記憶があった。


” いいな。 ”

” いいな。 ”


” 僕も一緒に──── ”



「 おっ……お願いしま……すぅ~……。 」


普段相手に頭を下げるなどをしたことがない俺の精一杯のお願い。

それを見てヴィーはご機嫌で《 いいよ! 》と答えた。


そしてヴィーは地上で俺の名を叫んでいるグリムとスワンの元へ行くと、悲鳴を上げる二人の襟元を咥え、ブンッ!!と上に投げる。


「 うわわわわわ~~っ!!! 」


「 ヒィィィィ~っ!!! 」


そしてヴィーは、叫ぶ二人を空中でキャッチしてくれた。


《 マービンの右手と左手の二人も一緒に戦うんでしょ? 》


「 あぁ、勿論! 」


俺はご機嫌でそういったヴィーに不敵に微笑んだ。

するとグリムとスワンはビクビクしながらヴィーと俺を見比べ、俺達の手の甲に刻まれている【 宣誓陣 】を発見し驚いた顔をする。


「 マ、マービン様……その手の甲の魔法陣は……。 」


「 まさか飛竜と ” 約束 ” できたのですか? 」


俺がずっと飛竜と ” 約束 ” できなかった事を二人は知っていたので、突然【 宣誓陣 】が刻まれているのを見て驚いた様だ。

俺がフフンっ!と得意げな様子で手の甲を見せつければ、二人は目をキラキラ輝かせた。


「「 これでリーフ様に勝てるかもしれませんね! 」」


テンション高く二人は手を叩きあったのだが、ヴィーはそれを見て汗をたらりと垂らす。


《 第一声がそれって……人間って変なの。 》


「 妥当リーフ様が俺達の最終目標だからな。

だから、あの化け物は前菜だ。

あんなヤツに最終目標を達成するのを邪魔させん。

完膚なきまでに叩きのめしてやる。 」


飛竜隊と< ジョロウ・キング >が戦っている戦場を睨みつけながら言うと、ヴィーは表情を引き締めた。


《 マービン、君の資質は【 司令士 】だ。

つまり戦い方は様々。

後方で指示を出したりサポートに回る事もできるけど、君はどんな戦いかたを…… 》


「 行くぞ!ヴィー!────前線へ!! 」


迷う事なくバシッ!と答えて、俺は戦いの場を指差す。


飛竜隊が……父が戦うその場所を。


するとヴィーは目をキラキラと輝かせ嬉しそうに尻尾を大きく振った。


《 うん!!僕も前線に……皆と一緒に戦いたい!

ずーっと見ているだけだったから……今度こそ僕だって戦うんだ! 》


さっき見たヴィーの記憶。

仲間たちがパートナーと共に勇ましく戦う中、ずっとその背を悲しげに見つめる姿があった。


” いいな。 ”

” いいな。 ”


” 僕も一緒に──── ”



” パートナーと一緒に戦いたい!! ”



俺は激しい戦闘が行われている場所を見つめ、ヴィーに向かって誓いを立てる様に宣言する。


「 ヴィー!これから沢山 ” 新しい世界 ” を見せてやろう!

これからは悲しむ暇もないくらいにな。

だからまずはそれを邪魔する小石をどかす。


全員覚悟はいいか!! 」



《 うん!!! 》


「「 はいっ!! 」」


全員から迷いなく答えが返ってきて、俺は熱くなっていく胸をドンッ!と強く叩いた。

そして戦場を睨みつけ、不敵に笑う。


俺も向かう。

俺の目指す道を塞ぐあの化け物を、この手で倒すために。

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