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第四十五章
1403 道具
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( モール )
なんだか、随分と近寄りがたい雰囲気の女性だな……。
大体の人は俺と同じ想いがあるのか、何となくその女性アイリの側には近寄ろうとしてない様だ。
一番近くの席も空いている。
しかし、アイリに声を掛けた男たちにとっては、このアイリはたまたま見つけた最高の ” おもちゃ ” であった様で、そのまま馬鹿にする様な笑い声を上げ、ペラペラと喋りだした。
「 みすぼらしいクソババァ様は、随分お安い酒を飲んでらっしゃるんですねぇ~!
アル中は大変だよな。
馬鹿みたいに沢山飲むから、節約のためにこの店で一番安い酒しか飲めねぇんだ~。 」
「 可哀想にぃ~。
昔はそこそこ稼いでいた< 場女 >だったらしいけどよ~。
贅沢に味を占めて、プライドも高くなって行き遅れちゃったんだもんな♡
女なんて年取ったら哀れなもんだ。
誰も元< 場女 >の成れの果てなんて相手にしねぇよ。 」
「 金無し!職なし!女としても終了~♬
ああはなりたくねぇわ~。
ド底辺の負け犬女さん♡ 」
< 場女 >
飲み屋などで、場を盛り上げる高収入の職業
話し相手になったり、交渉次第では飲み屋以外でも遊びに行ってくれる
大体は指名制で、人気の高い場女ほど収入は高い
下品な言葉と笑い声を上げながら男たちが笑うと、周りにいた他の奴らも一人、また一人とその一部が笑いだす。
しかし、アイリはそれらに動じる事なくひたすら無視し、ただ一人、酒を飲み続けていた。
ふ~ん……?
俺は口をつけていた果実水をゆっくりとテーブルに置き、何となくアイリという人間に興味が湧く。
なぜ男達は執拗にこのアイリを馬鹿にするのだろう?
そんな小さな疑問と共に、俺はアイリを ” 見て ” みる事にした。
<聖愛師の資質>(先天スキル)
< 思い出の小窓 >
対象が現在思い出している思い出のみ覗く事ができる精神干渉系スキル
またある一定のフィールド内にその思い出に登場する人物が存在する場合、その人物達との関係性やお互いの心情も覗く事ができる
そのスキルが発動されると、今目の前に見えている景色とは別の景色が重なる様に見えてくる。
場所はこの酒場で、同じ場所に座って一人で飲んでいるのがアイリ。
そしてその後ろの席で飲んでいるのが、男たちだった。
どうやら男たちはかなり機嫌が悪い様で、酒をがぶ飲みしながら管を巻く。
” あ~!!ムカつくな~!
上司の野郎、ちょっと仕事に遅刻したくらいで怒鳴ってきやがってよ! ”
” 別に仕事はすんだからいいじゃんな?
上は小さい事でウダウダうるせぇんだよ。
俺も最近嫌な事ばっかりだわ~。後輩は生意気に無視してくるし。
まぁ、直ぐに裏でぶん殴ってやったけど。 ”
グダグダと話される内容は、先程俺が聞いた話とほぼ同じ。
こういう奴らは、全て悪いのは自分以外だから一生同じ事を言い続ける。
楽に流される者たちの ” 正しい ” 姿。
そして俺もそれと同じなんだという事は分かっている。
そんな男たちの一人が、ブスッとしながら視線を手元の酒から上に上げると、後ろの方の席に座ってるアイリの存在に気づいた。
するとニヤッと笑い、他の男達に向かいアイリの存在を教えると、全員がニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら……手に持つ酒をアイリにぶちまける。
” ────っ!ギャッ!! ”
男達は、突然のことに悲鳴を上げるアイリに近づき椅子ごと倒すと、そのままアイリの頭を床に擦り付けた。
” ほらほら!床が汚れたんだから舐めて綺麗に拭き取れよ、小汚えババァ! ”
” お前みたいなド底辺ババァなんて、それくらいしか世の役に立たねぇんだからよ! ”
暴言をアイリにぶつける度に、男たちから負の感情は消えていく。
そして代わりにその心に浮かぶのは、自分が上になれたという喜びや優越感だ。
自分より明らかに劣っている存在を ” 使って ” 劣等感や不満を消す事。
確かに一番楽な方法だ。
────フゥ……。
その後もまるで繰り返しを見ている様に同様の事をする男たちと、ただ耐えるアイリを見て、もう十分分かったと、その ” 思い出 ” 達を消して大きなため息をついた。
男達にとって、アイリは文句も言わずに自分たちの鬱憤を解消してくれる道具らしい。
男達は、お互い目配せすると酒を持ち、そのままアイリへとわざとらしくソ~……と近づく。
そしてそのまま勢いよく酒をぶっかけたのだが────────酒まみれになったのは、自分達であった。
<聖愛師の資質>(ユニーク固有スキル)
< 愛の慈善活動 >
一定以上の精神汚染度を持つ者に使える精神干渉系スキル
現在の汚染度よりその度数が増える行為をしようとした場合、それを反転する様な行動を強制的にさせる事ができる
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作を持つこと
一定以下の精神汚染度を持ちながら、一定以上の精神汚染度の人と接触する事
────シ~ン……。
誰もがポカンとして静まり返る部屋の中、ニコニコ笑っているのは俺だけ。
「 ────はっ??え、なっ……?? 」
「 な、なんで俺達に酒が……?
手が勝手に……。 」
なんだか、随分と近寄りがたい雰囲気の女性だな……。
大体の人は俺と同じ想いがあるのか、何となくその女性アイリの側には近寄ろうとしてない様だ。
一番近くの席も空いている。
しかし、アイリに声を掛けた男たちにとっては、このアイリはたまたま見つけた最高の ” おもちゃ ” であった様で、そのまま馬鹿にする様な笑い声を上げ、ペラペラと喋りだした。
「 みすぼらしいクソババァ様は、随分お安い酒を飲んでらっしゃるんですねぇ~!
アル中は大変だよな。
馬鹿みたいに沢山飲むから、節約のためにこの店で一番安い酒しか飲めねぇんだ~。 」
「 可哀想にぃ~。
昔はそこそこ稼いでいた< 場女 >だったらしいけどよ~。
贅沢に味を占めて、プライドも高くなって行き遅れちゃったんだもんな♡
女なんて年取ったら哀れなもんだ。
誰も元< 場女 >の成れの果てなんて相手にしねぇよ。 」
「 金無し!職なし!女としても終了~♬
ああはなりたくねぇわ~。
ド底辺の負け犬女さん♡ 」
< 場女 >
飲み屋などで、場を盛り上げる高収入の職業
話し相手になったり、交渉次第では飲み屋以外でも遊びに行ってくれる
大体は指名制で、人気の高い場女ほど収入は高い
下品な言葉と笑い声を上げながら男たちが笑うと、周りにいた他の奴らも一人、また一人とその一部が笑いだす。
しかし、アイリはそれらに動じる事なくひたすら無視し、ただ一人、酒を飲み続けていた。
ふ~ん……?
俺は口をつけていた果実水をゆっくりとテーブルに置き、何となくアイリという人間に興味が湧く。
なぜ男達は執拗にこのアイリを馬鹿にするのだろう?
そんな小さな疑問と共に、俺はアイリを ” 見て ” みる事にした。
<聖愛師の資質>(先天スキル)
< 思い出の小窓 >
対象が現在思い出している思い出のみ覗く事ができる精神干渉系スキル
またある一定のフィールド内にその思い出に登場する人物が存在する場合、その人物達との関係性やお互いの心情も覗く事ができる
そのスキルが発動されると、今目の前に見えている景色とは別の景色が重なる様に見えてくる。
場所はこの酒場で、同じ場所に座って一人で飲んでいるのがアイリ。
そしてその後ろの席で飲んでいるのが、男たちだった。
どうやら男たちはかなり機嫌が悪い様で、酒をがぶ飲みしながら管を巻く。
” あ~!!ムカつくな~!
上司の野郎、ちょっと仕事に遅刻したくらいで怒鳴ってきやがってよ! ”
” 別に仕事はすんだからいいじゃんな?
上は小さい事でウダウダうるせぇんだよ。
俺も最近嫌な事ばっかりだわ~。後輩は生意気に無視してくるし。
まぁ、直ぐに裏でぶん殴ってやったけど。 ”
グダグダと話される内容は、先程俺が聞いた話とほぼ同じ。
こういう奴らは、全て悪いのは自分以外だから一生同じ事を言い続ける。
楽に流される者たちの ” 正しい ” 姿。
そして俺もそれと同じなんだという事は分かっている。
そんな男たちの一人が、ブスッとしながら視線を手元の酒から上に上げると、後ろの方の席に座ってるアイリの存在に気づいた。
するとニヤッと笑い、他の男達に向かいアイリの存在を教えると、全員がニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら……手に持つ酒をアイリにぶちまける。
” ────っ!ギャッ!! ”
男達は、突然のことに悲鳴を上げるアイリに近づき椅子ごと倒すと、そのままアイリの頭を床に擦り付けた。
” ほらほら!床が汚れたんだから舐めて綺麗に拭き取れよ、小汚えババァ! ”
” お前みたいなド底辺ババァなんて、それくらいしか世の役に立たねぇんだからよ! ”
暴言をアイリにぶつける度に、男たちから負の感情は消えていく。
そして代わりにその心に浮かぶのは、自分が上になれたという喜びや優越感だ。
自分より明らかに劣っている存在を ” 使って ” 劣等感や不満を消す事。
確かに一番楽な方法だ。
────フゥ……。
その後もまるで繰り返しを見ている様に同様の事をする男たちと、ただ耐えるアイリを見て、もう十分分かったと、その ” 思い出 ” 達を消して大きなため息をついた。
男達にとって、アイリは文句も言わずに自分たちの鬱憤を解消してくれる道具らしい。
男達は、お互い目配せすると酒を持ち、そのままアイリへとわざとらしくソ~……と近づく。
そしてそのまま勢いよく酒をぶっかけたのだが────────酒まみれになったのは、自分達であった。
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一定以上の精神汚染度を持つ者に使える精神干渉系スキル
現在の汚染度よりその度数が増える行為をしようとした場合、それを反転する様な行動を強制的にさせる事ができる
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作を持つこと
一定以下の精神汚染度を持ちながら、一定以上の精神汚染度の人と接触する事
────シ~ン……。
誰もがポカンとして静まり返る部屋の中、ニコニコ笑っているのは俺だけ。
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「 な、なんで俺達に酒が……?
手が勝手に……。 」
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