【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十五章

1404 ヒーローになれる

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( モール )

最初は戸惑っていた男たちだったが、直ぐに俺のスキルのせいだと感づいたらしい。

ゆったり座ったまま笑っている俺を睨みつけて、直ぐに騒ぎ始めた。


「 なんでこんな事をすんだよ! 」

「 仲間に対してこんな酷い事してどういうつもりだ!! 」


怒りを顕にする男たちを見て、俺は ” んん~?? ” と不思議そうに首を傾げる。


「 仲間?誰が??俺、そんな事思った事ないな~。

便利だとは思っていたけど。お互いに、ね? 」


ニコニコと笑いながら、そう言う俺に絶句する自称 ” 仲間 ” の彼らに、なぜこんな事をしたかの質問にも、丁寧に答えてやる。


「 なんでこんな事をって……分かんない?

今そうした方が得だからだよ~。

嫌~なヤツを退治したら、楽にヒーローになれんじゃん。

ラッキーって感じ?  」


「 ────は……? 」


男たちは慌てて周りを見回すと、大部分の人たちが怒りや憎しみが籠もった目で自分たちを見ている事に気づいたらしく、一斉に青ざめた。


この瞬間にもスキル< 思い出の小窓 >により、男たちの様々な犯罪スレスレの思い出達が俺の目に映る。

どうやら男たちはアイリだけではなく、ここにいる者たちも度々 ” 使って ” ストレスを発散していた様だ。


「 だっ、だからって突然……酒を浴びせてくるなんて……っ! 」

「 ちょっと常識がねぇっつーか……。 」


バツが悪そうに周囲の者たちから視線を逸らし、なおも言い訳を続けようとする男たちに、俺はとびきりの笑顔を見せる。


「 えぇ~?でも、それって今、君たちがしようとしたことだよねぇ~?

ごっめ~ん。俺、てっきりそれが君たち流の挨拶かなにかかと思っちゃった~。

じゃあ、次からはそうやって自分に掛けて挨拶しなよ。

それなら誰も嫌な思い、しないと思うから~。 」


戯けて言うと、周りからはドッ!と笑う声が上がり、男達はカァァ~と怒りで顔を赤らめた。

スキル< 思い出の小窓 >は、そんな男たちの思い出もその心情と共に映し出す。


” 自分より遥かに劣った下のくせに!!この俺を笑いやがって許さねぇ! ”

” 俺は悪くない。悪いのは、思い通りに動かない俺以外の人間なのに!! ”


彼らの世界はとても孤独だ。

だから唯一の住人である自分が、不快に感じる事、不満に感じる事がどうしても許せない。


でも、絶対的に正しい自分が努力するのは ” 正しくない  ” 事。

だから ” 間違っている ” 存在である他人を犠牲にして、自分の世界を救おうとするのだ。


俺は、その犠牲になってきたアイリと他の散々この男たちに嫌な事をされてきた者たちの顔を順々に見回して、プッと吹き出した。


確かに、こうやって誰かを犠牲にして得るものは大きいよね?

だってこの場で皆の俺を見る目は、あっという間に好意だらけになっちゃったから。


アイリや他の自分たちより劣っている "   何か   "   を持っている人たちを叩き潰せば、愉快や快感を簡単に手にする事ができる。

そしてそんな彼らを今度は俺が叩き潰せば、俺は皆が慕うヒーローになれちゃうんだから………… ” 人 ” を使えば簡単だ、自分の世界を守る事なんて。


皮肉めいた事にそのままクスクスと笑うと、男達が一斉に俺に殴りかかろうとしたが、俺のスキルによって ” 殴る ” という精神汚染を進める行動は全て自分に跳ね返り……男達の拳は自分の顔へ。


「 ────ヘブッ!!!! 」


思い切り自分達の顔を殴りつけた事で、全員の鼻からは大量の鼻血が流れ出す。

男達はくぐもった声を漏らしながら顔を押さえていたが、俺は容赦なくソイツらと先程ソイツらがアイリに暴言を吐いている時に笑っていた奴らに命じた。


「 じゃ~この床に溢れたお酒と鼻血は、さっき笑った奴ら全員で舐めて綺麗にしてね。

ついでに玄関のマットも汚れていたから、お願~い。

そんで、元凶の君たちにはトイレ掃除をお願いしようかな。

あ、勿論全部舐めて綺麗にするんだよ。

床も便器もぜ~んぶね。 」


「 ……ひっ!! 」


「 そっ、そんなっ!! 」


「 勘弁してくれよぉ~! 」


死刑宣告の様な言葉に全員が真っ青になったが、俺のスキルには逆らえない。

先程一緒になって笑っていた男たちは、一斉に床や玄関のマットを泣きながら舐め始め、俺の自称お仲間さんは、泣き叫びながらトイレへと向かう。

その瞬間、ドッ!!と喜びの声が店中で上がった。


「 ハハッ!!いい気味だ、クズ共!

あいつら揃いも揃って最悪な性格の奴らだったからな。 」

「 ほんと最高~!

女と見れば下品な絡み方して、暴言だらけだし、たまに手も出るしで最悪な奴らだったのよ~。 」

「 あ~スッキリした! 」


断罪された男たちは、この場にいる全員の恨みを相当買っていたらしく、気遣う者たちはゼロのようだ。

そのため復讐を代理してくれた俺を、まるで神様を見るかの様な目でみてくる。


これが最善。

……まぁ、分かっていた事だけど。

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