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第四十五章
1405 必要な形でしょ?
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( モール )
つまらなそうな顔は見せずにニコニコしたまま、俺は静かに果実水を飲み干した。
その直後────……そんな皆とは明らかに違う感情が漂ってきたため、そちらへと視線を向ける。
そこにいたのはアイリと呼ばれていた女だった。
アイリからは、” またか……。 ” という諦めの様な気持ちと、俺に近寄りたくないという排他的な感情が漂ってくる。
俺はそれに興味が湧いた。
どうやらアイリにだけは、俺は自分の復讐を代理にしてくれた神様ではなく、また自分を ” 使う ” 嫌な人間だと認識されたらしい。
そしてそれは……大正解。
可愛そうな自分を虐める奴らを懲らしめ、自分を救う事でヒーローになる。
結果的に、俺はその可哀想な自分に該当するアイリを ” 使った ” という事だから。
俺は愉快な気持ちになって、思わずフフッと笑ってしまった。
アイリは正しく人を見ている。
いや、正確には……多分俺と同じ目線でこの世界を見ているのだ。
それに気づくと、仲間意識というか……なんだかすごく親しい友人の様な気持ちが芽生えた。
俺はゆっくりと立ち上がり、まっすぐアイリへと視線を向ける。
アイリという女の心の形はひどく歪んでいて、そんな形では人から与えられる自分を想う気持ちさえも、もはや綺麗に受け止める事はできないだろうと思う。
これはよく見る、心というモノの変化。
心の形はその人の生きてきた人生の形だから……その軌跡によって色々な形をしている。
最初はツルッとした丸い形。
子どもの頃は形がコロコロ変わる。
街で走り回っている子どもたちの事を思い出し、微笑ましさを感じたが、次に見えた周りの大人たちの形の数々を見て、酷く虚しい様な気持ちになった。
歳を取れば取るほど、心は固くなっていき、もう形そのものを大きく変える事はできなくなる。
もし、それを無理やり大きく変えようとすれば…………まるで落としたガラスの様に、粉々に砕けて壊れてしまうのだ。
このアイリの歪んだ心の形も、もう死ぬまで変わる事はないだろう。
人から向けられる想いは、何一つ綺麗に受け取れないまま、この女は余生を過ごしやがて死を迎える。
それに対して憐憫の気持ちがあるのか?
────ないよ!
にっこり笑い、アイリという女のもう変わらない心の形を見て笑った。
だってその人の人生の形だもん。同情なんていらない。
それを後悔している姿を見たって思う事は…… ” ご愁傷さま ” くらいじゃん?
ルンルン~♬
俺はとても上機嫌でアイリのテーブルへと近づいていくと、アイリからは警戒の強い目で睨みつけられた。
でも、別に気にしない。
だって…………。
とうとう自分の目の前に俺が立つと、アイリは警戒にプラスして恐怖と嫌悪感、排他的感情全てを俺にぶつけてきたが────俺はにっこりと笑いながら、その場にしゃがみ込みキュルン♡と上目遣いでアイリを見上げた。
「 ねぇねぇ、俺、今お金ないんだ~!
だから奢って♡ねぇねぇ、お願~い♡ 」
目はウルウル、キラキラ!
まるで捨てられた子犬の様。
アイリは目と口を限界まで開けて俺を見ていたが、俺はすかさずその膝に頭を擦り付け怒涛のおねだり攻撃!
すると、アイリはしばし固まり「 金無しのババァに奢れって……。 」とブチブチ文句を言いながらも、俺の分の果実水の金をポンッと出してくれた。
そしてそそくさと逃げる様に立ち去ろうとしたアイリの周りを、俺は散歩をおねだりする犬の様にぐるぐると回る。
「 ねぇねぇ、夕飯も~。 」
「 あとスターフルーツも食べたいな☆ 」
「 この近くにねぇ~話題の果物ジュース屋さんがあるよ~。
ねぇねぇ、買って買って~。 」
そのままスタスタと家路につくアイリの後を追いかけながら、ひたすらおねだりし続ける。
「 …………。 」
すると、アイリは嫌そうに顔を歪めながらも俺のおねだりしたものを全て買って家に帰り、一旦ドアを閉められてしまったが……。
「 入れて~。 」
「 寒いよ、寒いよ~。 」
哀れみを誘う震えた声を出すと、アッサリ中に入れてくれて、更に作って貰った美味しい料理を遠慮なくムチャムチャ食べる。
するとアイリは呆れ果てた様な顔をしながら、俺を睨んだ。
「 ……あんた、遠慮ってモンがないのかい?
こちとら、老い先短い初老の女なんだよ。 」
ブツブツと文句を言ってきたが、俺は作って貰った美味しい肉料理を食べながら、コテンッと首を横に倒す。
「 遠慮?しないよ~。
だってアイリさんが幸せを感じるためには、この形が必要でしょ? 」
アイリは目をパチクリすると、突然大声で笑い出し、しまいには腹を抱えての大爆笑を始めた。
そしてひとしきり笑った後、目尻に溜まった涙を拭きながら、俺をまっすぐ見つめる。
つまらなそうな顔は見せずにニコニコしたまま、俺は静かに果実水を飲み干した。
その直後────……そんな皆とは明らかに違う感情が漂ってきたため、そちらへと視線を向ける。
そこにいたのはアイリと呼ばれていた女だった。
アイリからは、” またか……。 ” という諦めの様な気持ちと、俺に近寄りたくないという排他的な感情が漂ってくる。
俺はそれに興味が湧いた。
どうやらアイリにだけは、俺は自分の復讐を代理にしてくれた神様ではなく、また自分を ” 使う ” 嫌な人間だと認識されたらしい。
そしてそれは……大正解。
可愛そうな自分を虐める奴らを懲らしめ、自分を救う事でヒーローになる。
結果的に、俺はその可哀想な自分に該当するアイリを ” 使った ” という事だから。
俺は愉快な気持ちになって、思わずフフッと笑ってしまった。
アイリは正しく人を見ている。
いや、正確には……多分俺と同じ目線でこの世界を見ているのだ。
それに気づくと、仲間意識というか……なんだかすごく親しい友人の様な気持ちが芽生えた。
俺はゆっくりと立ち上がり、まっすぐアイリへと視線を向ける。
アイリという女の心の形はひどく歪んでいて、そんな形では人から与えられる自分を想う気持ちさえも、もはや綺麗に受け止める事はできないだろうと思う。
これはよく見る、心というモノの変化。
心の形はその人の生きてきた人生の形だから……その軌跡によって色々な形をしている。
最初はツルッとした丸い形。
子どもの頃は形がコロコロ変わる。
街で走り回っている子どもたちの事を思い出し、微笑ましさを感じたが、次に見えた周りの大人たちの形の数々を見て、酷く虚しい様な気持ちになった。
歳を取れば取るほど、心は固くなっていき、もう形そのものを大きく変える事はできなくなる。
もし、それを無理やり大きく変えようとすれば…………まるで落としたガラスの様に、粉々に砕けて壊れてしまうのだ。
このアイリの歪んだ心の形も、もう死ぬまで変わる事はないだろう。
人から向けられる想いは、何一つ綺麗に受け取れないまま、この女は余生を過ごしやがて死を迎える。
それに対して憐憫の気持ちがあるのか?
────ないよ!
にっこり笑い、アイリという女のもう変わらない心の形を見て笑った。
だってその人の人生の形だもん。同情なんていらない。
それを後悔している姿を見たって思う事は…… ” ご愁傷さま ” くらいじゃん?
ルンルン~♬
俺はとても上機嫌でアイリのテーブルへと近づいていくと、アイリからは警戒の強い目で睨みつけられた。
でも、別に気にしない。
だって…………。
とうとう自分の目の前に俺が立つと、アイリは警戒にプラスして恐怖と嫌悪感、排他的感情全てを俺にぶつけてきたが────俺はにっこりと笑いながら、その場にしゃがみ込みキュルン♡と上目遣いでアイリを見上げた。
「 ねぇねぇ、俺、今お金ないんだ~!
だから奢って♡ねぇねぇ、お願~い♡ 」
目はウルウル、キラキラ!
まるで捨てられた子犬の様。
アイリは目と口を限界まで開けて俺を見ていたが、俺はすかさずその膝に頭を擦り付け怒涛のおねだり攻撃!
すると、アイリはしばし固まり「 金無しのババァに奢れって……。 」とブチブチ文句を言いながらも、俺の分の果実水の金をポンッと出してくれた。
そしてそそくさと逃げる様に立ち去ろうとしたアイリの周りを、俺は散歩をおねだりする犬の様にぐるぐると回る。
「 ねぇねぇ、夕飯も~。 」
「 あとスターフルーツも食べたいな☆ 」
「 この近くにねぇ~話題の果物ジュース屋さんがあるよ~。
ねぇねぇ、買って買って~。 」
そのままスタスタと家路につくアイリの後を追いかけながら、ひたすらおねだりし続ける。
「 …………。 」
すると、アイリは嫌そうに顔を歪めながらも俺のおねだりしたものを全て買って家に帰り、一旦ドアを閉められてしまったが……。
「 入れて~。 」
「 寒いよ、寒いよ~。 」
哀れみを誘う震えた声を出すと、アッサリ中に入れてくれて、更に作って貰った美味しい料理を遠慮なくムチャムチャ食べる。
するとアイリは呆れ果てた様な顔をしながら、俺を睨んだ。
「 ……あんた、遠慮ってモンがないのかい?
こちとら、老い先短い初老の女なんだよ。 」
ブツブツと文句を言ってきたが、俺は作って貰った美味しい肉料理を食べながら、コテンッと首を横に倒す。
「 遠慮?しないよ~。
だってアイリさんが幸せを感じるためには、この形が必要でしょ? 」
アイリは目をパチクリすると、突然大声で笑い出し、しまいには腹を抱えての大爆笑を始めた。
そしてひとしきり笑った後、目尻に溜まった涙を拭きながら、俺をまっすぐ見つめる。
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