【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十六章

1430 フォレスト商会で〜す

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( エイミ )

それから資質鑑定までの間、私はフワフワと心あらずなまま過ごしていたからか、資質を告げられた時の事もあまりよく覚えていない。

ただ鑑定をしてくれた神官様の驚いた顔と、周りから贈られる沢山の ” おめでとう ” の言葉、沢山の拍手の音は少しだけ覚えている。


「 凄いよ!戦闘系の中級資質だ!

しかもオールマイティー型だぞ!おめでとう! 」


「 凄~い!【 気流視人 】なんて初めて聞いたわ! 」


「 すごくレアな戦闘系資質なんだって!

わぁ~!これから誰もが羨む幸せな人生ってヤツが待ってるじゃ~ん! 」


ワーワーと自分を褒め称える声も、すごく遠いモノの様……。

だって、どんなに凄い資質だろうと私の現状に変わりはなく、足元には沢山の私が殺した現実から溢れ出る血でドロドロだったから。


しかし両親の喜びっぷりは凄まじく、私の資質が分かってから、再度契約していた娼館相手に交渉を開始した。

戦闘資質であったため、戦闘機関に務めさせた方が高収入になるかもしれない。

それを知っていた両親は、娼館で値段交渉したり、お金を借りていた商会とまた新たに設けられそうな方法の相談など……毎日ウキウキ過ごしていたと思う。

その間にも、私がいれば安泰だとばかりに借金は増えていき、恐らく私が一生かけて稼がないと返せない金額まで膨れ上がると、どんなに殺してもしつこく襲ってきた現実は、私の体を食べ始めてしまった。


ムシャムシャ……。


────バリバリ……。


自分の体が少しづつ食われていくのを見つめながら、自分が消えていくのをただ受け入れる。


エイミはもうすぐ死ぬ。

でも、別にもうなんだって構わない。

こんな自分なんて……どうなっても……。


すっかり現状を受け入れた私は、結局一番得する買い手が迎えに来る日をワクワクした顔の両親と共に今か今かと家で待っていた。

すると、それから少し経った時────……。


────バンッ!!!!


大きな音を立ててドアが開く。


そこからヌッ……と入ってきたのは、茶色い髪のオールバックに小さな色付きメガネをつけた一人の青年であった。

黒いロングコートに白いシャツを着崩した格好、それに鋭い眼光は、とても堅気の人間には見えず怖いイメージを相手に抱かせる。


……?見たことない人だな……。


今まで家に来た事がある商会の人たちをザッと思い出し、少々疑問に感じたが、結局売られる事には変わりはない。


……まぁ、相手が誰かなんてどうでもいいか……。


変わらぬ結果の前にはどうでも良いことだと判断し、私はその男についていこうと思ったが……どうにも両親の反応が変な事に気付いた。


両親は怪訝そうな顔でその青年を見ていて、やはりおかしいと思ったのか……警戒した様子で「 誰だ?? 」と呟く。

するとその青年は、胸ポケット辺りから葉巻を取り出し、マイペースな動きでそれに火を着け吸い出してしまった。

そしてスパ~!と吐き出される白い煙にゲホゲホと咳き込む両親を見て、ニヤッと凶悪そのものな笑みを見せる。


「 っちわ~す。借金まみれのゴミクズ野郎共の借金を回収しに来ました~。

【 フォレスト商会 】の< ケイン >で~す。

今日が期限だ。払えなかったら……分かってるな? 」


軽快な挨拶の後、突然凄まれて、両親も私も恐怖にザッ!と青ざめた。

しかし両親は、自分のこれからの生活が掛かっているからか、恐怖を押し殺し、その青年……ケインさんに向かって怒鳴りちらす。


「 だっ、誰だ!!お前は!!勝手に人の家に入ってきやがって……! 」


「 そっ、そうよ!!【 フォレスト商会 】なんて知らないし、私達が借りていたのは他の商会よ!

なんで関係ない商会がしゃしゃり出てくんのよ!! 」


ぎゃーぎゃーと喚く両親だったが、ケインさんは面倒くさそうに葉巻の煙を両親に吹きかけた。


「 おめぇ達が借りていた商会は潰れて、ウチが吸収したんだよ。

だから引き継がれた契約に従って金を回収しにきたってぇ~事。

分かったらさっさと金を返せ。

できなきゃ、二人揃ってこの場で借金奴隷だ。 

そんぐれぇ~そのゴミ頭でもわかんだろ? 」


そう言い終わった青年は、威圧感たっぷりの目でギロッ!と両親を睨みつける。

すると両親達は「 ヒッ! 」と短い悲鳴を上げた後、慌てて私を指さした。


「 むっ、娘を渡す約束で、商会が借金を肩代わりしてくれてたんだ! 」


「 これからは、娘がお金を返してくれるから! 」


父と母は、ケインさんに今までの経緯を説明したが、ケインさんは ” は~ん? ” とさも聞いていない様に耳をほじり始める。


「 はぁぁぁぁ~?知らねぇよ、そんな約束。

潰れちまった商会とてめぇらの契約なんざ、こっちには関係ねぇだろうが。馬鹿か? 」


「 そ……そんな……。 」


父はケインさんの言葉に愕然とした様だが、直ぐにヘラヘラしながらケインさんに再度話しかけた。
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