1,446 / 1,649
第四十六章
1430 フォレスト商会で〜す
しおりを挟む
( エイミ )
それから資質鑑定までの間、私はフワフワと心あらずなまま過ごしていたからか、資質を告げられた時の事もあまりよく覚えていない。
ただ鑑定をしてくれた神官様の驚いた顔と、周りから贈られる沢山の ” おめでとう ” の言葉、沢山の拍手の音は少しだけ覚えている。
「 凄いよ!戦闘系の中級資質だ!
しかもオールマイティー型だぞ!おめでとう! 」
「 凄~い!【 気流視人 】なんて初めて聞いたわ! 」
「 すごくレアな戦闘系資質なんだって!
わぁ~!これから誰もが羨む幸せな人生ってヤツが待ってるじゃ~ん! 」
ワーワーと自分を褒め称える声も、すごく遠いモノの様……。
だって、どんなに凄い資質だろうと私の現状に変わりはなく、足元には沢山の私が殺した現実から溢れ出る血でドロドロだったから。
しかし両親の喜びっぷりは凄まじく、私の資質が分かってから、再度契約していた娼館相手に交渉を開始した。
戦闘資質であったため、戦闘機関に務めさせた方が高収入になるかもしれない。
それを知っていた両親は、娼館で値段交渉したり、お金を借りていた商会とまた新たに設けられそうな方法の相談など……毎日ウキウキ過ごしていたと思う。
その間にも、私がいれば安泰だとばかりに借金は増えていき、恐らく私が一生かけて稼がないと返せない金額まで膨れ上がると、どんなに殺してもしつこく襲ってきた現実は、私の体を食べ始めてしまった。
ムシャムシャ……。
────バリバリ……。
自分の体が少しづつ食われていくのを見つめながら、自分が消えていくのをただ受け入れる。
エイミはもうすぐ死ぬ。
でも、別にもうなんだって構わない。
こんな自分なんて……どうなっても……。
すっかり現状を受け入れた私は、結局一番得する買い手が迎えに来る日をワクワクした顔の両親と共に今か今かと家で待っていた。
すると、それから少し経った時────……。
────バンッ!!!!
大きな音を立ててドアが開く。
そこからヌッ……と入ってきたのは、茶色い髪のオールバックに小さな色付きメガネをつけた一人の青年であった。
黒いロングコートに白いシャツを着崩した格好、それに鋭い眼光は、とても堅気の人間には見えず怖いイメージを相手に抱かせる。
……?見たことない人だな……。
今まで家に来た事がある商会の人たちをザッと思い出し、少々疑問に感じたが、結局売られる事には変わりはない。
……まぁ、相手が誰かなんてどうでもいいか……。
変わらぬ結果の前にはどうでも良いことだと判断し、私はその男についていこうと思ったが……どうにも両親の反応が変な事に気付いた。
両親は怪訝そうな顔でその青年を見ていて、やはりおかしいと思ったのか……警戒した様子で「 誰だ?? 」と呟く。
するとその青年は、胸ポケット辺りから葉巻を取り出し、マイペースな動きでそれに火を着け吸い出してしまった。
そしてスパ~!と吐き出される白い煙にゲホゲホと咳き込む両親を見て、ニヤッと凶悪そのものな笑みを見せる。
「 っちわ~す。借金まみれのゴミクズ野郎共の借金を回収しに来ました~。
【 フォレスト商会 】の< ケイン >で~す。
今日が期限だ。払えなかったら……分かってるな? 」
軽快な挨拶の後、突然凄まれて、両親も私も恐怖にザッ!と青ざめた。
しかし両親は、自分のこれからの生活が掛かっているからか、恐怖を押し殺し、その青年……ケインさんに向かって怒鳴りちらす。
「 だっ、誰だ!!お前は!!勝手に人の家に入ってきやがって……! 」
「 そっ、そうよ!!【 フォレスト商会 】なんて知らないし、私達が借りていたのは他の商会よ!
なんで関係ない商会がしゃしゃり出てくんのよ!! 」
ぎゃーぎゃーと喚く両親だったが、ケインさんは面倒くさそうに葉巻の煙を両親に吹きかけた。
「 おめぇ達が借りていた商会は潰れて、ウチが吸収したんだよ。
だから引き継がれた契約に従って金を回収しにきたってぇ~事。
分かったらさっさと金を返せ。
できなきゃ、二人揃ってこの場で借金奴隷だ。
そんぐれぇ~そのゴミ頭でもわかんだろ? 」
そう言い終わった青年は、威圧感たっぷりの目でギロッ!と両親を睨みつける。
すると両親達は「 ヒッ! 」と短い悲鳴を上げた後、慌てて私を指さした。
「 むっ、娘を渡す約束で、商会が借金を肩代わりしてくれてたんだ! 」
「 これからは、娘がお金を返してくれるから! 」
父と母は、ケインさんに今までの経緯を説明したが、ケインさんは ” は~ん? ” とさも聞いていない様に耳をほじり始める。
「 はぁぁぁぁ~?知らねぇよ、そんな約束。
潰れちまった商会とてめぇらの契約なんざ、こっちには関係ねぇだろうが。馬鹿か? 」
「 そ……そんな……。 」
父はケインさんの言葉に愕然とした様だが、直ぐにヘラヘラしながらケインさんに再度話しかけた。
それから資質鑑定までの間、私はフワフワと心あらずなまま過ごしていたからか、資質を告げられた時の事もあまりよく覚えていない。
ただ鑑定をしてくれた神官様の驚いた顔と、周りから贈られる沢山の ” おめでとう ” の言葉、沢山の拍手の音は少しだけ覚えている。
「 凄いよ!戦闘系の中級資質だ!
しかもオールマイティー型だぞ!おめでとう! 」
「 凄~い!【 気流視人 】なんて初めて聞いたわ! 」
「 すごくレアな戦闘系資質なんだって!
わぁ~!これから誰もが羨む幸せな人生ってヤツが待ってるじゃ~ん! 」
ワーワーと自分を褒め称える声も、すごく遠いモノの様……。
だって、どんなに凄い資質だろうと私の現状に変わりはなく、足元には沢山の私が殺した現実から溢れ出る血でドロドロだったから。
しかし両親の喜びっぷりは凄まじく、私の資質が分かってから、再度契約していた娼館相手に交渉を開始した。
戦闘資質であったため、戦闘機関に務めさせた方が高収入になるかもしれない。
それを知っていた両親は、娼館で値段交渉したり、お金を借りていた商会とまた新たに設けられそうな方法の相談など……毎日ウキウキ過ごしていたと思う。
その間にも、私がいれば安泰だとばかりに借金は増えていき、恐らく私が一生かけて稼がないと返せない金額まで膨れ上がると、どんなに殺してもしつこく襲ってきた現実は、私の体を食べ始めてしまった。
ムシャムシャ……。
────バリバリ……。
自分の体が少しづつ食われていくのを見つめながら、自分が消えていくのをただ受け入れる。
エイミはもうすぐ死ぬ。
でも、別にもうなんだって構わない。
こんな自分なんて……どうなっても……。
すっかり現状を受け入れた私は、結局一番得する買い手が迎えに来る日をワクワクした顔の両親と共に今か今かと家で待っていた。
すると、それから少し経った時────……。
────バンッ!!!!
大きな音を立ててドアが開く。
そこからヌッ……と入ってきたのは、茶色い髪のオールバックに小さな色付きメガネをつけた一人の青年であった。
黒いロングコートに白いシャツを着崩した格好、それに鋭い眼光は、とても堅気の人間には見えず怖いイメージを相手に抱かせる。
……?見たことない人だな……。
今まで家に来た事がある商会の人たちをザッと思い出し、少々疑問に感じたが、結局売られる事には変わりはない。
……まぁ、相手が誰かなんてどうでもいいか……。
変わらぬ結果の前にはどうでも良いことだと判断し、私はその男についていこうと思ったが……どうにも両親の反応が変な事に気付いた。
両親は怪訝そうな顔でその青年を見ていて、やはりおかしいと思ったのか……警戒した様子で「 誰だ?? 」と呟く。
するとその青年は、胸ポケット辺りから葉巻を取り出し、マイペースな動きでそれに火を着け吸い出してしまった。
そしてスパ~!と吐き出される白い煙にゲホゲホと咳き込む両親を見て、ニヤッと凶悪そのものな笑みを見せる。
「 っちわ~す。借金まみれのゴミクズ野郎共の借金を回収しに来ました~。
【 フォレスト商会 】の< ケイン >で~す。
今日が期限だ。払えなかったら……分かってるな? 」
軽快な挨拶の後、突然凄まれて、両親も私も恐怖にザッ!と青ざめた。
しかし両親は、自分のこれからの生活が掛かっているからか、恐怖を押し殺し、その青年……ケインさんに向かって怒鳴りちらす。
「 だっ、誰だ!!お前は!!勝手に人の家に入ってきやがって……! 」
「 そっ、そうよ!!【 フォレスト商会 】なんて知らないし、私達が借りていたのは他の商会よ!
なんで関係ない商会がしゃしゃり出てくんのよ!! 」
ぎゃーぎゃーと喚く両親だったが、ケインさんは面倒くさそうに葉巻の煙を両親に吹きかけた。
「 おめぇ達が借りていた商会は潰れて、ウチが吸収したんだよ。
だから引き継がれた契約に従って金を回収しにきたってぇ~事。
分かったらさっさと金を返せ。
できなきゃ、二人揃ってこの場で借金奴隷だ。
そんぐれぇ~そのゴミ頭でもわかんだろ? 」
そう言い終わった青年は、威圧感たっぷりの目でギロッ!と両親を睨みつける。
すると両親達は「 ヒッ! 」と短い悲鳴を上げた後、慌てて私を指さした。
「 むっ、娘を渡す約束で、商会が借金を肩代わりしてくれてたんだ! 」
「 これからは、娘がお金を返してくれるから! 」
父と母は、ケインさんに今までの経緯を説明したが、ケインさんは ” は~ん? ” とさも聞いていない様に耳をほじり始める。
「 はぁぁぁぁ~?知らねぇよ、そんな約束。
潰れちまった商会とてめぇらの契約なんざ、こっちには関係ねぇだろうが。馬鹿か? 」
「 そ……そんな……。 」
父はケインさんの言葉に愕然とした様だが、直ぐにヘラヘラしながらケインさんに再度話しかけた。
110
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!
2026/3/9に発売です!書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!
ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
サブCPに人外CPはありますが、主人公は人外CPにはなりません。
(この世界での獣人は人間の種類の一つですので人外ではないです。)
ストックなくなるまでは07:10に公開
他サイトにも掲載してます
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる