【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十八章

1461 【 信道の旅人 】

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( カルパス )

” これを超えれば自分の探していた答えが見つかる ”

そう信じて足を踏み出した男が見たもの…………それは一面真っ暗な世界であった。


世界の ” 外 ” には何もなかったのだ。


答えをくれるモノは何も……。


” この先には何一つない。”

結局それが分かって絶望が心を襲っても、男は歩みを止めなかった。


一歩……また一歩……。


そうして前に進む度に、男の足は煙の様に消えていき、とうとう跡形もなくなくなってしまう。

それでも手で這ってでも前へ前へ……。

しかし、その手も消えてしまうと胴体も消え、最後は目だけになってしまったが────それでも前を見つめた。


しかし、やがてその目も消えてしまうと、その場所に残るのは黒の世界だけ。


進み続ける事が ” 正しかった ” のか、そうでなかったかのかは誰にも分からない。

ただ、男が消えた後、黒い世界は少しづつ少しづつ────男が旅立った幸せの場所へと近づいていった。



きっとこれも一つの生き方。

この絵本が伝えたかった事を全て理解することはできないが、ただ同じ様な生き方しかできない私には、その気持はなんとなく分かる。

だが────…………。


私は自分の胸に手を当て、今までの思い出を振り返る。


初めて希望と絶望を見せてくれた妻イソラ、与える愛情を教えてくれたイザベル。

隣に立って共に戦ってくれる親友のドノバンに、良き上司であったエルビス。

志を共にするリーフ邸の皆……。

そして新たな世界を見せてくれたリーフ様と、罪悪と共に新たな世界へ背中を押してくれたレオン君。


私の世界には今まで出会った全ての人達が……そして全ての人達の世界にも私がいる。


その一部になった私が欠けてしまえば……彼らの世界の一部は欠けてしまうという事。


「 残される者達の気持ち……知らないはずはないのにな。 」


妻イソラを失くした時、そして他にも沢山の人たちを見送った時の気持ちを思い出し、心はズキズキと痛む。


自分の信念を突き通す事。

それを突き通し命を落とす事……。

自分はそれで満足したとしても、残される者達の心には大きな傷を残す。


それを乗り越えられる者達もいれば乗り越えられない者達だっているのだと────……広い視野を得た私は理解した。

命を賭けてまでココを守ろうとする傭兵達を見渡し、” 死なせたくない ” と強く思う。


「 今、目の前に ” 黒 ” が広がっていたら、引き返す。

そして違う方法を探して、遠回りでもまた進み続ければいい。

今の私は……信道の旅人と同じ選択はしないだろう。 」


私一人では見えなかったはずの広い世界を見せてくれたのは、リーフ様とレオン君。

その出会いに感謝し、私は今の情報をある人物へと送るため、自分の影に向かいパチンッと指を弾いた。



<影従士の資質>(ユニーク固有スキル)

< 影送り >

あらかじめ特定の人物の影と自分の影を繋いでおき、情報を直ぐに共有する事ができる特殊情報伝達スキル

自身の魔力、魔力操作、知力が高い程、遠距離で使用可能となり、諜報経験値、精神耐性、異常耐性、根性、努力値、不屈が高い程、精度が上がる

( 発現条件 )

一定以上の魔力、魔力操作、知力、諜報経験値、精神耐性、異常耐性、根性、努力値、不屈を持つこと

一定人数以上の人との関わり合いがあること



無事に情報が届いた事を確認し、私は群がるクレイジー・アント達の遥か後方……後ろでふんぞり返っているクイーンを睨みつける。


このままでは我々の ” 全滅 ” でエンド。

だから私はこのまま進まず、新たな道を見つけ出す。


「 頼んだぞ……。 」


祈る様に呟くと、他の傭兵達に混ざりクレイジー・アント達を次々とぶっ飛ばしていく。


「 みんな~!!踏ん張るわよぉぉ~ん!! 」


「「「 おおおぉぉぉぉ────!!! 」」」


カルロスさんの激励に大声で答えた傭兵達は、そのまま倒せないと分かっていても、全力でクレイジー・アント達を押し返した。

その勢いにクイーンは動揺したのか、多少たじろいだ様だが……変わらず凄まじい速さで卵を出産し続ける。

そしてその卵が孵化すると、またしても他の集団とは少し違う形、能力を持って傭兵達に苦戦を強いた。

しかし────……。


「 こっちのヤツは物理耐性持ちだ! 」

「 こっちは魔法耐性持ち! 」

「 こっちは防御特化型だぞ!! 」


それぞれが情報を交換しては、即座に動いて上手くペース配分をしている。

お互いの得意属性で補い合う。

個々の特化能力が高い傭兵としては理想的な戦い方で時間を稼いでくれた。


「 間に合え……! 」


私も自身のテイムモンスター達の能力をフルに活かし、それぞれが特化した場所へ向かう様指示を出して祈る。


間に合え……間に合え……間に合え……!


祈り続ける私達の前で、またあのクイーン同様に卵を出産するクレイジー・アントが誕生し、汗を掻いたその時────……空を覆い尽くすくらい沢山の魔道路が開いた。


「 ────!!なんだ!?

魔道路が……! 」


「 一体誰だ!? 」


ざわつく傭兵達がそらを見上げて叫ぶと、私は「 間に合ったか……! 」と思わず拳を握る。

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