【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,542 / 1,649
第五十章

1499 道になる

しおりを挟む
( リーフ )

「 あ~最初は何をしようかな?

まずはレガーノにいる生意気な低位貴族達の家をジワジワ追い詰めてみようか。

汚らしい泥まみれの手を切り落としてやったら楽しいかもな~。

────いや、それともレガーノをモンスター共に襲わせて、何人生き残るか賭けようか!

その方が楽しそうだ! 」


リーフはゆっくりと目を開きニヤッと笑いながら、視線だけ俺の方へ向けた。


「 それに伯爵家の子息共は随分と使いやすそうだったな。

大司教の娘も少々痛い目に合わせれば簡単そうだ。

あぁ~早く自分の遊びやすい形に変えて遊びたい!!

────あ、後は目障りな王女をジワジワと追い詰めてやろう。

心の壊し方なんていくらでもあるからな。 」


リーフはその時の事を妄想しているのか、楽しみで楽しみで仕方がないといわんばかりにクスクス笑う。

そして突然、ダンスのターンをするようにクルリっと回って見せた。


「 一番国を腐敗させているのはアーサー派閥!

その筆頭とも言えるライトノア学院は真っ先に潰す。

そしてアーサー派閥を支持する奴らは────ククッ……。

” 呪災の卵 ” は、世界の嘆きの結晶だ。

探せばいくらでも見つかるからな?

忌々しい反乱分子は全て消して、世界を浄化してやるさ。 」


トンッ♬トンッ♬

軽快に踏まれるステップとターン。

優雅な動きでダンスを踊りだしたリーフは、突然ピタリと止まり、俺を睨みつけながら大きく口端を上げた。


「 英雄レオンハルトは────……そうだなぁ?

少しずつ少しずつ精神を破壊し……最後は世界の大罪人として教会の前で磔にしよう。

それで浄化の炎で生きたまま焼いてやれば、俺は偽の英雄を倒した本物の英雄だ。

ハハッ!!正義は我にあり!

レオンハルトは死に、俺は新たな世界の英雄に……っ!! 」


最後リーフは両手を組み、神に祈るポーズをする。

まるで完成された美しさを持つその光景に────……俺は大きなため息をついた。


” リーフ ” は何も変わらない。

何度生まれ変わっても、何度も死んでも。

何度も何度も ” 生 ”  を得たとしても、たった一人で完結する世界の中で誰にも交わる事ができないから、何も……。


これが ” 悪 ” の持つ強大な力、進化の力の代償だ。


俺は無言でコキコキと首を鳴らし、そのままグッグッ!と腕を回したり、足を伸ばしたり準備運動を始めた。

すると、それを見たリーフは気に入らなさそうな表情を見せ、ピクリッと眉を上げる。


「 ……何をしている? 」

「 ん~……準備運動! 」


俺の答えを聞いたリーフは怪訝そうな顔をした後、直ぐに馬鹿にしたような顔をした。


「 あぁ、潔く消える前のか?

そんなモノは必要ないというのに、本当に愚かなヤツだな。

やはり醜い者の考える事は何も分からないな。 」


プッ!と吹き出すリーフを前に俺はマイペースに準備運動を終えると、ゆっくりと立ち上がり、リーフを正面から見つめる。


「 俺は本当に平凡な男で、君の様に突出しているモノは無いも持ってないんだ。

────だからきっと……人々を導く王様とか、何か偉大な事をなす英雄にはなれない。 」

「 ほぅ?よく分かっているじゃないか。

それは褒めてやるよ。 」


ニヤッと満足気に微笑むリーフだったが、俺が静かに拳を構えたのを見て、表情を失くした。


「 だから俺は、皆が自分の選びたい答えを選ぶための ” 道 ” になるよ。

まぁ、昔から未来を選んでいく若者の道を開くのは、先人の役目だしね。

皆が歩きたい道を邪魔するモノは、俺が全部ぶっ飛ばす。 」

「 ────はっ? 」


リーフは俺の言う事がイマイチ分からなかったらしく、ポカンと口を開いて固まってしまう。

だから俺はハッキリとリーフに言ってやった。


「 君は未来ある若者たちの邪魔をする邪魔なモノなんだ。

だからごちゃごちゃ言わずにさっさとかかってこい。

悪役対決といこうじゃないか。 」

「 ────っ!!ごっ、ゴミの分際でぇぇ────っ!!! 」


リーフは激昂し、美しい顔を歪めるとパチンッ!と指を弾く。

すると、俺の周囲に同時に3つの魔法陣が出現しそれぞれ別の属性魔法が俺に向かって放たれた。



<魔術騎士の資質>(先天スキル)

< 三重の魔法使い >

攻撃魔法の3つ同時発動を可能にできる特殊魔法型スキル。

ただし3つ以上の属性の適正、更にそれを可能にする魔力量と魔力操作、そして知力がなければ使えない



「 は──っはっはっ!!

偽物の大罪人は塵となって消えよっ! 」


ドンッ!!と音を立てて同時攻撃をする魔法を見て、高笑いするリーフ。

爆発の際に発生した煙は俺の姿を隠し、リーフはそのまま俺がいる場所を目掛けて、更に連続で魔法攻撃を仕掛けてくる。


パッ!パッ!パッ!!


周囲に走る雷の様なエフェクトに火柱、竜巻に渦潮の様な水の魔法攻撃と……流石は上級資質に天才と言われた事はある。

リーフは悪役に相応しい高い実力を確かに持っている様だ。

だが────────……。



────トンッ!


俺は全ての攻撃を軽々と避けて、リーフの背後へ着地する。


「 ────はっ?? 」


驚き後ろを振り返ろうとしたリーフの足を払ってやると、そのままリーフはバランスを崩した。
しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜  ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!  2026/3/9に発売です!書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!  ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。 その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。 両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。 自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。 自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。 相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと… のんびり新連載。 気まぐれ更新です。 BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意! サブCPに人外CPはありますが、主人公は人外CPにはなりません。 (この世界での獣人は人間の種類の一つですので人外ではないです。) ストックなくなるまでは07:10に公開 他サイトにも掲載してます

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

処理中です...