【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第五十章

1504 全てを持って前へ

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( リーフ )


────ストン……。

突然体中に力がみなぎってきて、黒い蝶の抵抗を一切感じなくなると、あんなに疲労していたはずの体が羽の様に軽くなる。

踏ん張るために閉じていた目を開けると、自分の中に沢山の ” 想い ” が入ってくるのが見えた。

これは皆の ” 希望 ”

それが俺に力を与えてくれている。



『 シークレットモードが一部解除されました。

【 始原の資質 】が開放されます。 』



頭の中に ” 声 ” が聞こえると────自分の力が更に大きくグンッ!とUPしたのを感じた。



【 始原の資質 】《 ” 希望人 ” 》


《 おじいちゃん 》 ➔ 《 ” 希望人 ” 》

( 変異条件 )

一定人数以上の生物の運命を ” 理 ” の定める流れから完全に弾き、新たな運命へと自分の意思で進ませる事でシークレット変異する

その存在の正体は ” 人 ” としての生を持ちつつ、 ” 希望 ” という概念そのものであるため、全ステータスは、” 生 ” の定義内を保つ限界値まで開放されるが、%#IO)=0&$から出る事はできない



< 希望人の資質 >( 変異先天スキル )

< ” 希望 ” の心空 >

現在存在している ” 世界 ” にて、” 希望 ” という感情を抱いている生物の数だけ、自身のステータスを上げる強化系特殊条件スキル

更に上がったステータスにより ” 希望 ” を抱く仲間達を強化する



《 ミ゙、ィ”……っ……あ、”あ”  あ、”ァ”ァ”ァ”~────!!!!! 》


黒い蝶は俺の気配が変わった事に気付いたらしく、悲鳴の様な声をあげる。

その声は何千、何万……いや、それ以上の生物達の言葉から形成されていて、俺はその言葉から伝わる ” 想い ” をやっと理解した。




” 憎いぃぃぃぃ~。 ”



” 苦しいぃぃぃぃぃ~。 ”



        ” 悲しいぃぃのぉぉぉぉ~…… ”




” なぜ……? ”


     ” どうして? ”








────あぁ、” 世界 ” が憎い








自分を拒絶する世界なんて………





なくなってしまえ!!






頭の中に入ってくる、沢山の辛く、苦しい、悲しい思い出達。

それが呪いという力になって、黒い蝶を創っている様だ。

その全ての ” 想い ” をしっかり受け止めながら、俺は黒い蝶へまっすぐ視線を向けた。


「 分かるよ。

だって俺だって、” 世界 ” は、なんて残酷なんだろうって思うから。 」


《 あ”あ”あ”あ”あ”~~……あ”あ”────っ!!!! 》


俺に全ての憎しみを向けてくる黒い蝶はそのまま暴れ、自分の ” 想い ” を訴え続ける。


持って生まれた外見や才能に対する理不尽さ。

生まれ落ちた先で手にするモノへのやるせない気持ち。

歳を取る事の苦しさ。

人と分かり合えず、拒絶され、否定され、傷つけられた事への怒り、憎しみ、悲しみ、孤独……。


生きていれば、何度も何度も何度も経験する ” 想い ” 達。


自分の中にある、ずっとずっと前からの記憶が頭の中を駆け巡ると、辛くて苦しくて堪らなくなったが、それはグッ!と飲み込んだ。


「 でも、恨む相手を間違えては駄目なんだ。

未来を進もうとしている関係ない人達の邪魔をすれば────……結局最後に残るのは、君達が心の底から恨んでいる ” 悪 ” しか残らない。 」



────ピクッ……。


ガムシャラに暴れていた黒い蝶の動きが少し弱まり、その代わりに目には迷いが生じた様にグルグルと激しく回りだす。

俺はそんな黒い蝶から目を逸らさず、そのまま静かに語りかけた。


「 憎い相手の望む都合の良い世界を、君が創る事になるんだ。

君たちに辛い想いをさせた……復讐したい相手の楽園を創るのか。 」


《 ~~~っあ”、あ”、


あ”~~~あ”  あ” ……あ”……あ”あ”……~……。 》


黒い蝶の真っ赤に充血していた目は次第に元の色へ。

そしてその目には力がなくなっていく。


そして────……。





────ポタッ…………。



中心についている巨大な目から、白く輝く涙が一粒ポロッ……と流れ落ちると、それから全ての目からポロポロと涙が流れ落ちてきた。

その涙は黒く染まった大地へと落ちていっては、大地を白く染め、波紋の様に広がっていく。


「 俺は人を憎いと思う気持ちだって必要だと思うんだ。

人を変える程の巨大なエネルギーを持ったその気持ちは、ちょっとベクトルを変えれば大きな進化の力になる。

だから全部持って、先に進もう。

自分の力じゃもう進めない ” 悪 ” を、遥か後ろに置いて。 」


《 ミ゙ィ”……あ”あ”あ”ァ”ァ”ァ”~” ミ゙ィ”あ”あ”あ”ァ”ァ”ァ”~────!!!!! !!!!! 》



黒い蝶は一際大きな声で叫んだ。

俺はそれを最後まで聞いた後、剣を強く握ってそのまま奥へと突き刺す。


すると……。


────パキィィ~…………ン……。



呪心核の割れる音がハッキリと聞こえ、それと同時に黒い蝶の全ての目がゆっくりと……まるで眠る様に閉じていった。

そしてその体は、そのまま下の森へと落ちていき、地面についた瞬間────……。


────フワッ……。


なんと暖かな風になって一瞬で消えてしまう。

その風が結構強い風だったため、俺の体は飛ばされてしまい、直ぐにあげ玉が空中でキャッチしてくれたが、それが止むまで顔を腕で覆った。
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