17 / 35
17 駄目だ!
しおりを挟む
有り余る程の才能と人が羨む全てを持って生まれて……。
沢山の人に囲まれて、誰も彼もが自分を必要としてくれる。
それって幸せで幸せで仕方ないだろうな!
何一つ持ってない自分はそう思う。
頑張っても頑張っても誰も見てくれない、その他大勢にすぐに紛れてしまう凡庸な俺。
そんな俺でも無条件で見てくれた両親が死んでしまえば…………こんなにも人で溢れたこの世界で、俺はひとりぼっちだ。
寂しくて寂しくて仕方がなかった俺は、そこで沢山考えた。
そして出した答えが……『何でも頑張ってみよう!』────だ。
自分に出来ることは何でも全力でやってみよう。
見てくれる人がいないなら、俺が見ればいい。
誰も見てくれなくたって、それでも俺の人生はこれでいいのだ。
だってそれが、自分で決めた自分の人生なんだから!
フワフワした気持ちよさに身を任せていると、また目の前に寂しい荒野と境界線の様に存在している崖が現れた。
向こう側には相変わらず背中を向けた勇者様。
そして境界線の下は断崖絶壁。
落ちたらひとたまりもなさそうだ。
「やれやれ……。」
ため息をつきながらその場に座り込み、チラッとヒカリ君の背中を見つめた。
俺が持ってないもの全てを持っているヒカリ君。
きっとその人生はピカピカ宝石の様に輝いていて、幸せの塊の様な毎日を送ってるんだろうな!
そう思っていたのに……その背中からはそれが伝わってこない。
「……なぁ。」
何となく声を掛けてみたが、全く返答はなし。
それは分かっていた事なので、俺はこれ幸いとその背中に語りかけた。
「ヒカリ君は何をするのが一番楽しいの?」
「好きな色って何?」
「見た事ない景色見るの好き?俺は凄く好きなんだ。だから毎年山登りして御来光を見に行ったりするよ。」
ペラペラと話し続け、自分の驚き失敗談なども混ぜて話していたが、突然ヒカル君がピクリと動き、そのまま前に向かって歩き出してしまう。
もう行っちゃうのか……。
これまでもたくさんの出会いと別れがあって、それは悪い事じゃない。
それが分かっていた俺は、残念に思いながらその背中を見つめた。
しかし、何となく嫌だと思う気持ちがぐわっと襲ってきて、そのままずっとその背を目で追いかけていると────突然ヒカリ君の進行方向に大きな崖が現れる。
「────えっ!!」
驚き目を見開く俺の前で、更にその崖から沢山の黒い手が伸びてきて、ヒカリ君を手招きし始めた。
『こっちに来ればもう寂しくないよ。』
『おいで。』
『おいで。』
『さぁ、一つに還ろう────。』
ヒカリ君にはその不気味な喋る手が見えないのか、それとも見えているのにあえて向かっていっているのか分からないが、その歩みは止まらない!
「ダメだ────!!!!ヒカリ君!そっち行ったら落ちちゃうぞ!!」
必死に叫んでもヒカリ君は止まってくれない。
どうしよう、どうしよう!!
焦ってワタワタしていると、フッと境界線の様にある崖を繋ぐ細くて弱そうな糸を発見した。
直ぐにそれに駆け寄り引っ張ると、ちゃんとヒカリ君がいる方へ繋がっているようだ。
こんな細い糸に乗ったら千切れるかも……。
普通の状態だったらそう思ったかも知れないが、猫まっしぐらならぬ崖まっしぐらなヒカリ君しか目に入ってない俺は、直ぐにその糸に飛び乗った。
沢山の人に囲まれて、誰も彼もが自分を必要としてくれる。
それって幸せで幸せで仕方ないだろうな!
何一つ持ってない自分はそう思う。
頑張っても頑張っても誰も見てくれない、その他大勢にすぐに紛れてしまう凡庸な俺。
そんな俺でも無条件で見てくれた両親が死んでしまえば…………こんなにも人で溢れたこの世界で、俺はひとりぼっちだ。
寂しくて寂しくて仕方がなかった俺は、そこで沢山考えた。
そして出した答えが……『何でも頑張ってみよう!』────だ。
自分に出来ることは何でも全力でやってみよう。
見てくれる人がいないなら、俺が見ればいい。
誰も見てくれなくたって、それでも俺の人生はこれでいいのだ。
だってそれが、自分で決めた自分の人生なんだから!
フワフワした気持ちよさに身を任せていると、また目の前に寂しい荒野と境界線の様に存在している崖が現れた。
向こう側には相変わらず背中を向けた勇者様。
そして境界線の下は断崖絶壁。
落ちたらひとたまりもなさそうだ。
「やれやれ……。」
ため息をつきながらその場に座り込み、チラッとヒカリ君の背中を見つめた。
俺が持ってないもの全てを持っているヒカリ君。
きっとその人生はピカピカ宝石の様に輝いていて、幸せの塊の様な毎日を送ってるんだろうな!
そう思っていたのに……その背中からはそれが伝わってこない。
「……なぁ。」
何となく声を掛けてみたが、全く返答はなし。
それは分かっていた事なので、俺はこれ幸いとその背中に語りかけた。
「ヒカリ君は何をするのが一番楽しいの?」
「好きな色って何?」
「見た事ない景色見るの好き?俺は凄く好きなんだ。だから毎年山登りして御来光を見に行ったりするよ。」
ペラペラと話し続け、自分の驚き失敗談なども混ぜて話していたが、突然ヒカル君がピクリと動き、そのまま前に向かって歩き出してしまう。
もう行っちゃうのか……。
これまでもたくさんの出会いと別れがあって、それは悪い事じゃない。
それが分かっていた俺は、残念に思いながらその背中を見つめた。
しかし、何となく嫌だと思う気持ちがぐわっと襲ってきて、そのままずっとその背を目で追いかけていると────突然ヒカリ君の進行方向に大きな崖が現れる。
「────えっ!!」
驚き目を見開く俺の前で、更にその崖から沢山の黒い手が伸びてきて、ヒカリ君を手招きし始めた。
『こっちに来ればもう寂しくないよ。』
『おいで。』
『おいで。』
『さぁ、一つに還ろう────。』
ヒカリ君にはその不気味な喋る手が見えないのか、それとも見えているのにあえて向かっていっているのか分からないが、その歩みは止まらない!
「ダメだ────!!!!ヒカリ君!そっち行ったら落ちちゃうぞ!!」
必死に叫んでもヒカリ君は止まってくれない。
どうしよう、どうしよう!!
焦ってワタワタしていると、フッと境界線の様にある崖を繋ぐ細くて弱そうな糸を発見した。
直ぐにそれに駆け寄り引っ張ると、ちゃんとヒカリ君がいる方へ繋がっているようだ。
こんな細い糸に乗ったら千切れるかも……。
普通の状態だったらそう思ったかも知れないが、猫まっしぐらならぬ崖まっしぐらなヒカリ君しか目に入ってない俺は、直ぐにその糸に飛び乗った。
126
あなたにおすすめの小説
恵方巻を食べてオメガになるはずが、氷の騎士団長様に胃袋を掴まれ溺愛されています
水凪しおん
BL
「俺はベータだ。けれど、クラウス様の隣に立ちたい」
王城の厨房で働く地味な料理人ルエンは、近衛騎士団長のクラウスに叶わぬ恋をしていた。身分も属性も違う自分には、彼との未来などない。そう諦めかけていたある日、ルエンは「伝説の恵方巻を食べればオメガになれる」という噂を耳にする。
一縷の望みをかけ、ルエンは危険な食材探しの旅へ! しかし、なぜかその旅先にはいつもクラウスの姿があって……?
勘違いから始まる、ベータ料理人×氷の騎士団長の胃袋攻略ラブファンタジー!
異世界召喚に巻き込まれた料理人の話
ミミナガ
BL
神子として異世界に召喚された高校生⋯に巻き込まれてしまった29歳料理人の俺。
魔力が全てのこの世界で魔力0の俺は蔑みの対象だったが、皆の胃袋を掴んだ途端に態度が激変。
そして魔王討伐の旅に調理担当として同行することになってしまった。
ガラスの靴を作ったのは俺ですが、執着されるなんて聞いてません!
或波夏
BL
「探せ!この靴を作った者を!」
***
日々、大量注文に追われるガラス職人、リヨ。
疲労の末倒れた彼が目を開くと、そこには見知らぬ世界が広がっていた。
彼が転移した世界は《ガラス》がキーアイテムになる『シンデレラ』の世界!
リヨは魔女から童話通りの結末に導くため、ガラスの靴を作ってくれと依頼される。
しかし、王子様はなぜかシンデレラではなく、リヨの作ったガラスの靴に夢中になってしまった?!
さらにシンデレラも魔女も何やらリヨに特別な感情を抱いていているようで……?
執着系王子様+訳ありシンデレラ+謎だらけの魔女?×夢に真っ直ぐな職人
ガラス職人リヨによって、童話の歯車が狂い出すーー
※素人調べ、知識のためガラス細工描写は現実とは異なる場合があります。あたたかく見守って頂けると嬉しいです🙇♀️
※受けと女性キャラのカップリングはありません。シンデレラも魔女もワケありです
※執着王子様攻めがメインですが、総受け、愛され要素多分に含みます
隔日更新予定に変更させていただきます。
♡、お気に入り、しおり、エールありがとうございます!とても励みになっております!
感想も頂けると泣いて喜びます!
第13回BL大賞55位!応援ありがとうございました!
【8話完結】俺は推しじゃない!ただの冒険者だ!
キノア9g
BL
ごく普通の中堅冒険者・イーサン。
今日もほどほどのクエストを探しにギルドを訪れたところ、見慣れない美形の冒険者・アシュレイと出くわす。
最初は「珍しい奴がいるな」程度だった。
だが次の瞬間──
「あなたは僕の推しです!」
そう叫びながら抱きついてきたかと思えば、つきまとう、語りかける、迫ってくる。
挙句、自宅の前で待ち伏せまで!?
「金なんかねぇぞ!」
「大丈夫です! 僕が、稼ぎますから!」
平穏な日常をこよなく愛するイーサンと、
“推しの幸せ”のためなら迷惑も距離感も超えていく超ポジティブ転生者・アシュレイ。
愛とは、追うものか、追われるものか。
差し出される支援、注がれる好意、止まらぬ猛アプローチ。
ふたりの距離が縮まる日はくるのか!?
強くて貢ぎ癖のあるイケメン転生者 × 弱めで普通な中堅冒険者。
異世界で始まる、ドタバタ&ちょっぴり胸キュンなBLコメディ、ここに開幕!
全8話
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
30歳まで独身だったので男と結婚することになった
あかべこ
BL
4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。
キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者、の予定
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる