【完結】勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん

文字の大きさ
28 / 35

28 栄光のロード

しおりを挟む
直ぐに起き上がり「バカヤロー!!」「一言謝れ!」と、空に向かってたらふく文句を言ってやった。
すると、正面からアイリーンに口元を捕まれ、左右の腕はキュアとメルクに、そして背中にはルーンが飛び乗り、ギャーギャーと止めてくる!

「神様になんて罰当たりない事を!今直ぐ土下座して下さい!」

「いや、なんでだよ!俺あいつに無理やり攫われてプレゼントされたんだぞ?!流石の俺だって物申す!」

キュアに怒られたがどう考えてもおかしいので、頭に湯気を出しながら言い返すと、その瞬間メルクがププーッ!と吹き出す。

「ええ~こんなプレゼントいらな~い。」

「「「私も~。」」」

「お前ら……もう二度と砂糖パンあげないからな。」

揃いも揃って酷い事を言ってくる四人に、最終宣告してやった。

砂糖パンは、砂糖をまぶしたパンの耳をサクッと揚げた、地球ではスタンダードなおやつパン。
この四人、一回作ってやったらすっかり気に入った様で、緩やかな山道をテクテク歩く時は、結構な頻度でおねだりしてくる。
一昨日揚げてストックしておいた砂糖パンを、多次元ボックスから出してピラピラ振ってやると、揃いも揃って『ごめんなさ~い!』とばかりにくっついてきた。
それに大きなため息をつきながら、砂糖パンをあげようとした、その時──────。


「……ねぇ、何やってんの?」

ヒヤッ……と、真冬もびっくりな冷たい目をしたヒカリ君がご登場。
思わず動きをピタリと止めるとその直後、アイリーン達の顔は真っ青になって汗をダラダラと垂らしながらその場に尻餅をついてしまった。

ちょっとオーバーリアクションじゃない……?

呆れた様に四人を見下ろしていると、突然グィッ!と腕を引っ張られて、正面から睨まれる。

な、なんかすっごい怒ってる……。

今まで見た事ないレベルで怒ってるヒカリ君にオロオロしていると、突然ヒカリ君が怒鳴りだした。

「イシは俺のギフトだろっ!!!汚い手で触るな!!」

初めて聞いた本気の怒鳴り声にとにかく驚いてしまったが、とりあえず怒り狂っている理由はなんとなく理解する。

『俺のハーレム女子達に触るな!!』

これかぁ~……。

その事実と、先程のショックも同時に思い出し、ハハッと乾いた笑いが漏れてしまった。

確かにさっきの光景だけをパッと見ると、俺が美女達にチヤホヤされているバーレム主人公の様に見える。
しかし実際はイケメンチート青年を差し置いて、モブおじさんがモテモテ……な~んて、絶対ないない。

そこはホント安心して~。こいつらの目的は、甘いパンだから!

遠い目でニッコリ微笑み、頑張ってモンスターを倒してきたらしいヒカリ君の肩を労わる様に優しく叩いた。

「誤解させるような事してごめん。もう触ったりしないから安心してくれ。
あいつらの目的は、ハッキリしてるから勘違いもしないよ。(砂糖パン欲しい。)」

「本当に?本当にもう大丈夫?もう絶対触らないでね?
…………まぁ、原因を消しちゃうのが一番良いと思うけど。イシの体に悪いだろうし……。」

ヒカリ君はそう言うと、ジロっ……とアイリーン達を睨みつけた。

『俺のハーレム女子にもう触らないでね?原因である砂糖パンは全部処分しよう。砂糖は体にあんまり良くないし。』

手に持っていた砂糖パンをキュッと握って庇い、ブンブン!と首を横に振る。

「消しちゃうのはやめてくれよ。体に悪いものでも、多少は必要なんだ(糖分摂取でストレス解消~♬ )」

「……そうなんだ。でも邪魔だし嫌だ。頭にくる。消せないならどうすればいいの?」

「????? 」

砂糖が邪魔って……なんだか変な表現だな……。

ちょっと悩んでしまったが、多分糖分を摂取し過ぎて増えてしまう脂肪の事を言っている様だ。
う~ん?と、俺は知恵を絞ってその解決法を考えてみた。

基本それを消すには運動一択じゃないかと思う。
しかし、モンスター討伐しているヒカリ君に、これ以上動けは無理だし……様々なストレスからくる肥満もあるし?
だから一応自分のストレス解消法でも教えてやるか……と決めた。

「俺は嫌なことがあると、茶色い排泄物の絵をとにかく沢山描くんだ。
隙間なく描かれたそれを見ると、ストレスがなくなる気がするんだよね。
ヒカリ君も、今度やってみるといいよ。最高にスッキリするからさ。」

誰にも理解されないストレス解消法だけどねぇ~!

ハハッと笑いながらそう教えてあげて、更にさっき肩を叩いた際についてしまった砂糖パンの砂糖達をパッ!パッ!と払ってあげる。

「ふ~ん……分かった。」

ヒカリ君はアイリーン達を睨みながら頷くと、そのまま来た時同様俺をおぶさり、また空を飛びながら王宮まで戻ってくれた。


◇◇◇◇

「お帰りなさいませ────!!!勇者様!!」

「「「「お帰りなさいませ────────!!!」」」」

王宮に帰ると、まるでお祭りの様な大騒ぎになっていて、誰も彼もが涙を流して喜んでいた。

世界が救われたのだから、そりゃ~そうか!

その場の楽しそうな雰囲気に自然と胸が弾む。
ヒカリ君の背中から降ろしてもらいワクワクしながら周囲を見回していると、突然遠い所から勇者様のお出迎え用の真っ赤な絨毯が一瞬で敷かれた。

まさに栄光のロード!

ふわふわキラキラの道が目の前に出来て感動していると、ササッ!と道の脇から飛び出してくるのは、沢山のご馳走やキンキラキンの宝石、見るからにお高そうな金細工のアクセサリーなどなどを持ったコックや商人の人達。
全員が跪いて手に持つ宝物の様なモノを、惜しみなくヒカリ君に差し出す。

ティッシュ配りのスーパーセレブバージョンだ!

多分この先二度とお目にかかれない光景に目を輝かせていたが──────ヒカリ君はそれにピクリとも反応しない。

キラキラしたものやボリューミーなお食事は、好みではない様子。
それを見て……なんだか俺は複雑な気持ちを抱いた。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

恵方巻を食べてオメガになるはずが、氷の騎士団長様に胃袋を掴まれ溺愛されています

水凪しおん
BL
「俺はベータだ。けれど、クラウス様の隣に立ちたい」 王城の厨房で働く地味な料理人ルエンは、近衛騎士団長のクラウスに叶わぬ恋をしていた。身分も属性も違う自分には、彼との未来などない。そう諦めかけていたある日、ルエンは「伝説の恵方巻を食べればオメガになれる」という噂を耳にする。 一縷の望みをかけ、ルエンは危険な食材探しの旅へ! しかし、なぜかその旅先にはいつもクラウスの姿があって……? 勘違いから始まる、ベータ料理人×氷の騎士団長の胃袋攻略ラブファンタジー!

異世界召喚に巻き込まれた料理人の話

ミミナガ
BL
 神子として異世界に召喚された高校生⋯に巻き込まれてしまった29歳料理人の俺。  魔力が全てのこの世界で魔力0の俺は蔑みの対象だったが、皆の胃袋を掴んだ途端に態度が激変。  そして魔王討伐の旅に調理担当として同行することになってしまった。

ガラスの靴を作ったのは俺ですが、執着されるなんて聞いてません!

或波夏
BL
「探せ!この靴を作った者を!」 *** 日々、大量注文に追われるガラス職人、リヨ。 疲労の末倒れた彼が目を開くと、そこには見知らぬ世界が広がっていた。 彼が転移した世界は《ガラス》がキーアイテムになる『シンデレラ』の世界! リヨは魔女から童話通りの結末に導くため、ガラスの靴を作ってくれと依頼される。 しかし、王子様はなぜかシンデレラではなく、リヨの作ったガラスの靴に夢中になってしまった?! さらにシンデレラも魔女も何やらリヨに特別な感情を抱いていているようで……? 執着系王子様+訳ありシンデレラ+謎だらけの魔女?×夢に真っ直ぐな職人 ガラス職人リヨによって、童話の歯車が狂い出すーー ※素人調べ、知識のためガラス細工描写は現実とは異なる場合があります。あたたかく見守って頂けると嬉しいです🙇‍♀️ ※受けと女性キャラのカップリングはありません。シンデレラも魔女もワケありです ※執着王子様攻めがメインですが、総受け、愛され要素多分に含みます 隔日更新予定に変更させていただきます。 ♡、お気に入り、しおり、エールありがとうございます!とても励みになっております! 感想も頂けると泣いて喜びます! 第13回BL大賞55位!応援ありがとうございました!

【8話完結】俺は推しじゃない!ただの冒険者だ!

キノア9g
BL
ごく普通の中堅冒険者・イーサン。 今日もほどほどのクエストを探しにギルドを訪れたところ、見慣れない美形の冒険者・アシュレイと出くわす。 最初は「珍しい奴がいるな」程度だった。 だが次の瞬間── 「あなたは僕の推しです!」 そう叫びながら抱きついてきたかと思えば、つきまとう、語りかける、迫ってくる。 挙句、自宅の前で待ち伏せまで!?  「金なんかねぇぞ!」 「大丈夫です! 僕が、稼ぎますから!」 平穏な日常をこよなく愛するイーサンと、 “推しの幸せ”のためなら迷惑も距離感も超えていく超ポジティブ転生者・アシュレイ。 愛とは、追うものか、追われるものか。 差し出される支援、注がれる好意、止まらぬ猛アプローチ。 ふたりの距離が縮まる日はくるのか!? 強くて貢ぎ癖のあるイケメン転生者 × 弱めで普通な中堅冒険者。 異世界で始まる、ドタバタ&ちょっぴり胸キュンなBLコメディ、ここに開幕! 全8話

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

30歳まで独身だったので男と結婚することになった

あかべこ
BL
4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。 キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者、の予定

推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです

一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお) 同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。 時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。 僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。 本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。 だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。 なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。 「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」 ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。 僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。 その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。 悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。 え?葛城くんが目の前に!? どうしよう、人生最大のピンチだ!! ✤✤ 「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。 全年齢向けの作品となっています。 一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。 ✤✤

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

処理中です...