まねをしてくる令嬢に婚約者を取られたので、偽りの情報で破滅させます

泉花ゆき

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彼女は、まるで憑き物が落ちたような顔でライアン様の腕を振り払ったのです。
それにメアリィ様の口から出たのは、先ほどまでの弱々しく甘えた声ではありませんでした。
声の抑揚はなく感情の起伏もない、まるで見知らぬ他人に向けられるような突き放した声。

ライアン様は差し出した手を空中で止めたまま、呆然と彼女を見つめました。

「え……?メアリィ……今、なんて言ったんだい?」

「聞こえませんでした?馴れ馴れしくしないでほしいと言ったんです」

「メアリィ……一体どうしたっていうんだ……!」

困惑して顔を覗き込むライアン様。
そう言い放ったメアリィ様は、ライアン様の顔など全く見ていませんでした。

彼女が見つめているのは、今にも床に崩れ落ちそうになっていた私の方。
壁を背にしてやっとのことで立っている私の方を見て、口元へ薄く笑みをたたえています。

メアリィ様は、ライアン様のことなど最初から存在しなかったかのような冷めた瞳をしています。その瞳で私をじっと見つめました。

瞳には、先ほどまで浮かべていた涙の跡すらありません。
乾ききった無機質な瞳。

私はその視線に射すくめられ、混乱で指先が震えました。

「メアリィ様……?どうして、そんな……あなたは今、ライアン様を愛していると……そうおっしゃったではありませんか」

私の言葉を聞いて、メアリィ様は不思議そうに首を傾げます。

「ああ、そんなことも言ったような……けれど、セレスティーヌ様。もう婚約破棄をされてしまったでしょう?」

指先を口元にあてて、首をかしげる仕草。そんなところは、出会った頃の彼女のまま。……こんな時でなければ、可愛らしいと称されそうな姿勢。

「何を、言っているのですか……?」

「うーん……あなたの手から離れて私のものになったら……なんだか違うなって思っちゃったんです。……きっと、セレスティーヌ様が大事にしているから、素敵なものに見えたのかも!」

メアリィ様は、まるで道端に落ちている紙くずでも見るような目でライアン様を一瞥しました。

「なんだかつまらなくなっちゃって……」

退屈そうに、そう呟いた彼女自身……自分がなぜ冷めたのか分かっていない様子でした。

(ただただ、私から奪い取りたかったということ……?)

「あんなに欲しかったのが嘘みたいです。今となっては、どうしてあんなに必死だったのかしら……ねえ、ライアン様」

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