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エドワードの声が、喉の奥で詰まったような音を立てました。
「つまりあなたは王家の許可を得ずに、自らの都合で婚約を破棄し……」
私は声の調子をこんなに和らげているのに、エドワードと来たら震えてしまっているようなありさま。
「さらに王国公認の場である夜会を利用して、陛下のご判断を待たぬまま勝手に婚約を発表なさったというわけですね?」
エドワードに寄り添っていたはずの、マルグリットの唇が震えます。
よくよく見れば、先ほどよりも二人の距離は空いているようにも見えました。
マルグリットが、じわじわとエドワードから距離をとっているのです。
「そ、そんなつもりじゃ……!私は、ただ、エドワード様の……!」
そういった、可愛らしいと形容されるような涙声が通用するのは……あなたの横にいた方だけみたいですね。
通用したところで、今は何の助けもいただけないようですけれど。
「……ご心配なく、マルグリットさん。あなたの無知を非難するつもりはございません」
暗に愚かしい、と告げてしまったけれど……彼女はそれに反応する余裕もないようでした。
「罪は、知っていて行った者にこそ問われるものです。ですから……エドワード様、この場合はあなたですよね?」
「何を……」
「けれど、陛下はとても慈悲深きお方……だからこそあなたの行為に対して、過不足なくお伝えしなければなりません」
「おい、余計なことを……っ」
「本当のことを、何一つ漏らさず伝えるのが余計なこと。ですか?」
ぴ、とエドワードの口元を扇で閉じた扇で示してやると、やはり彼は言葉を失ってしまわれたよう。
マルグリットはこの場にいるだけの礼儀も教養も、何もかも学んでは来ていないのでしょう。
先ほどから顔を白くしているばかり……
「……先んじて、私が弁明の機会をお与えいたします」
「べ、弁明……?」
「ええ。陛下に報告を上げる前に……あなたの言葉を、そのまま記録しておきますから」
エドワード……あなたがこの度のことを影で済ませるだけだったとしたら。ここまですべてを壇上でお話することもなかったのでしょうに。
「つまりあなたは王家の許可を得ずに、自らの都合で婚約を破棄し……」
私は声の調子をこんなに和らげているのに、エドワードと来たら震えてしまっているようなありさま。
「さらに王国公認の場である夜会を利用して、陛下のご判断を待たぬまま勝手に婚約を発表なさったというわけですね?」
エドワードに寄り添っていたはずの、マルグリットの唇が震えます。
よくよく見れば、先ほどよりも二人の距離は空いているようにも見えました。
マルグリットが、じわじわとエドワードから距離をとっているのです。
「そ、そんなつもりじゃ……!私は、ただ、エドワード様の……!」
そういった、可愛らしいと形容されるような涙声が通用するのは……あなたの横にいた方だけみたいですね。
通用したところで、今は何の助けもいただけないようですけれど。
「……ご心配なく、マルグリットさん。あなたの無知を非難するつもりはございません」
暗に愚かしい、と告げてしまったけれど……彼女はそれに反応する余裕もないようでした。
「罪は、知っていて行った者にこそ問われるものです。ですから……エドワード様、この場合はあなたですよね?」
「何を……」
「けれど、陛下はとても慈悲深きお方……だからこそあなたの行為に対して、過不足なくお伝えしなければなりません」
「おい、余計なことを……っ」
「本当のことを、何一つ漏らさず伝えるのが余計なこと。ですか?」
ぴ、とエドワードの口元を扇で閉じた扇で示してやると、やはり彼は言葉を失ってしまわれたよう。
マルグリットはこの場にいるだけの礼儀も教養も、何もかも学んでは来ていないのでしょう。
先ほどから顔を白くしているばかり……
「……先んじて、私が弁明の機会をお与えいたします」
「べ、弁明……?」
「ええ。陛下に報告を上げる前に……あなたの言葉を、そのまま記録しておきますから」
エドワード……あなたがこの度のことを影で済ませるだけだったとしたら。ここまですべてを壇上でお話することもなかったのでしょうに。
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