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昼下がりの中庭にて。
ミナ嬢は騎士団長の息子であるカイン様の隣に座り、あろうことか彼にサンドイッチを自分の手から食べさせていたのだ。そしてその反対側には宰相の息子であるレイ様がおり、ミナが口元につけたパン屑を指で拭ってやっている。
周囲の生徒たちはどう反応したものかと呆れ半分軽蔑半分で見ているようだったが、当の本人たちは誰の視線も気にならないというように好きにふるまっていた。
「……皆様、少々羽目を外しすぎではありませんか」
「うっ……」
「ヴィクトリア嬢……」
私が近付いたところで、その姿は目に入っていないようだったが……声をかけると男性二人はバツが悪そうに体を離した。
……が、ミナ嬢はきょとんとした顔で私を見上げるだけ。
「あれれー、ヴィクトリア様こんにちはー。どうかしたんですかぁ?」
にやにやとした笑顔は、だらしないとも呼べるものだったけれど。
「ミナ嬢……学園内における異性同志の過度な接触は禁じられています。それに、カイン様にもレイ様にも婚約者がいらっしゃるのですよ」
私が淡々と告げると、ミナ嬢は頬を膨らませた。
「えー、堅いこと言わないでくださいよぉ。私たちはただの友達ですってば。ねー?」
彼女は同意を求めるように左右の男性を見つめる。すると先ほどまで気まずそうにしていた彼らも、ミナ嬢に甘えられた途端にでれっとした表情で頷いた。
「そ、そうだぞヴィクトリア嬢。彼女は平民の文化で育ったから学園の決まりごとはあまり知らないのだろう。ちょっとスキンシップが多いだけだ」
「そうだとも……それに友愛の情を示すのに婚約者の有無など関係ないだろう。君は少し古臭いんじゃないか?」
……話を聞いた私の眉間には皺が寄ってしまったと思う。
その言い分はそっくりそのまま、ジェラルド殿下からも聞いたことがあるからだ。
呆れてものが言えなかった。こんな行為が友愛で済まされてしまうなら、不貞などこの世に存在しないだろう。彼らもまたミナ嬢の甘い毒に侵され、正常な判断力を失っているのだ。
「郷に入っては郷に従え、という言葉がございます。ここは王立学園です。あなたの振る舞いが彼らのパートナーをどれほど傷つけているか、少しでもお考えになってください」
私が更に言葉を重ねて訴えると、ミナ嬢の表情からふっと笑みが消えた。彼女は立ち上がって私に相対すると、男性陣には見えない角度で冷たい、人を馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
「……ねーぇ?ヴィクトリア様」
彼女は声を潜め、私にしか聞こえない音量で囁いた。
「それってぇ、ただの嫉妬じゃないですか?」
ミナ嬢は騎士団長の息子であるカイン様の隣に座り、あろうことか彼にサンドイッチを自分の手から食べさせていたのだ。そしてその反対側には宰相の息子であるレイ様がおり、ミナが口元につけたパン屑を指で拭ってやっている。
周囲の生徒たちはどう反応したものかと呆れ半分軽蔑半分で見ているようだったが、当の本人たちは誰の視線も気にならないというように好きにふるまっていた。
「……皆様、少々羽目を外しすぎではありませんか」
「うっ……」
「ヴィクトリア嬢……」
私が近付いたところで、その姿は目に入っていないようだったが……声をかけると男性二人はバツが悪そうに体を離した。
……が、ミナ嬢はきょとんとした顔で私を見上げるだけ。
「あれれー、ヴィクトリア様こんにちはー。どうかしたんですかぁ?」
にやにやとした笑顔は、だらしないとも呼べるものだったけれど。
「ミナ嬢……学園内における異性同志の過度な接触は禁じられています。それに、カイン様にもレイ様にも婚約者がいらっしゃるのですよ」
私が淡々と告げると、ミナ嬢は頬を膨らませた。
「えー、堅いこと言わないでくださいよぉ。私たちはただの友達ですってば。ねー?」
彼女は同意を求めるように左右の男性を見つめる。すると先ほどまで気まずそうにしていた彼らも、ミナ嬢に甘えられた途端にでれっとした表情で頷いた。
「そ、そうだぞヴィクトリア嬢。彼女は平民の文化で育ったから学園の決まりごとはあまり知らないのだろう。ちょっとスキンシップが多いだけだ」
「そうだとも……それに友愛の情を示すのに婚約者の有無など関係ないだろう。君は少し古臭いんじゃないか?」
……話を聞いた私の眉間には皺が寄ってしまったと思う。
その言い分はそっくりそのまま、ジェラルド殿下からも聞いたことがあるからだ。
呆れてものが言えなかった。こんな行為が友愛で済まされてしまうなら、不貞などこの世に存在しないだろう。彼らもまたミナ嬢の甘い毒に侵され、正常な判断力を失っているのだ。
「郷に入っては郷に従え、という言葉がございます。ここは王立学園です。あなたの振る舞いが彼らのパートナーをどれほど傷つけているか、少しでもお考えになってください」
私が更に言葉を重ねて訴えると、ミナ嬢の表情からふっと笑みが消えた。彼女は立ち上がって私に相対すると、男性陣には見えない角度で冷たい、人を馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
「……ねーぇ?ヴィクトリア様」
彼女は声を潜め、私にしか聞こえない音量で囁いた。
「それってぇ、ただの嫉妬じゃないですか?」
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