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6 彼の興奮ポイントが謎すぎる
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鼻をくすぐるいい香りに目を覚ますと、リズベットの身体はベッドに横たえられていた。服も元通り着せられていて、肩まできっちりと毛布が掛けられている。
身体を起こすと、ちょうど寝室のドアが開いてキースが笑顔で顔を出した。
「おはよう、リズ」
「えぇと、おはようござい……ます」
「敬語はなしって言っただろ」
こつんと軽く額をぶつけるようにして顔をのぞき込み、キースが笑う。そのまま柔らかく唇を重ねられて、リズベットは思わずうっとりと目を閉じた。
「お腹空いただろ、ご飯作ったから食べよう」
「キースさ……キースが、作ってくれたの?」
「店でもフードの調理担当してたしね、結構腕に自信はあるよ。ただ食材が尽きかけてたから、あとで買い物に行かなくちゃ」
食糧庫にはほとんど缶詰しかなかったとくすくすと笑いながら、キースが手を差し出してくれる。
仕事から疲れて帰ってきて自炊する気力もなくて、ここ最近はほとんど料理をしていなかった。そもそも料理下手でもあるから、出来合いのものを買って食べることの方が多いのだ。
自分の女子力のなさに情けなくなりつつダイニングに向かうと、テーブルの上にはおいしそうな料理が並んでいた。缶詰からこんなにも何品も作れるなんてと驚きつつ、リズベットはキースに椅子を引いてもらって座った。
「これからのことなんだけどさ」
食事をしながらキースが切り出す。思わず手を止めて顔を上げると、彼はにっこりと笑った。
「一緒に暮らさない?」
「本当、に?」
「うん。俺もうリズを手放す気ないし、家事全般得意だって言っただろ。俺にリズの世話をさせてよ」
激務のせいで毎日疲れた顔をしていたリズベットを心配していたのだと、キースは真面目な口調で語る。
「でも私、キースに何も返せるようなものがないし……」
リズベットは、フォークを置いてうつむいた。
コーヒー店にも、キース目当ての客がたくさんいたことは知っている。優しくてかっこよくて、仕事もできるこの人が、何故リズベットを選んでくれるのか、いまいち自信を持てない。
「リズは、いつも笑顔でいてくれるだけで充分だよ。毎朝リズの笑顔に、俺がどれだけ癒されてたことか。他のやつらもリズを狙ってたから、もうあの店に行くのは禁止な。コーヒーならリズのために俺が淹れるから。一生」
さらりとそんなことを言って、キースはリズベットの手を握った。
「ひとつだけリズにお願いできるなら、俺をこのまま部屋に閉じ込めてよ。好きな子に監禁されるって思うと、すげぇ興奮するんだよね」
「そうしたら、キースをずっと独り占めできるね」
思わずつぶやくと、キースは嬉しそうに笑った。
「俺の全てを、リズに捧げるよ。あぁそうだ、コーヒー店は辞めるけど、収入はあるから何も心配しなくていいよ。ここの家賃も、生活費だって払うから。というか、リズも仕事を辞めればいい。あんなに疲れた顔してまで働く必要、ないだろ」
「いや、さすがに無職になるのはちょっと……」
変わりばえのしない仕事にうんざりして、転職を考えたことはあるけれど、さすがに今すぐ辞める選択肢はない。
慌てて首を振ったリズベットを見て、キースは少し残念そうに眉を下げた。
「まぁ、急に言っても決められないか。そのあたりはまた、おいおいな」
そう言うと、キースは握りしめた手を引き寄せ、唇に押し当てた。
「食事が終わったらさ、一緒にお風呂に入ろうか。リズ、肩凝りが酷いって言ってただろ。マッサージしてあげる」
「い、一緒に……?」
「もうリズの身体は全部見てるから、今更恥ずかしがらなくてもいいだろ」
笑みを含んだ表情で言われて、リズベットは真っ赤になる。彼の顔の上に秘部を押しつけるだなんて、とんでもないことをしてしまった。今更だけど、キースの顔が見られない。
「もうお湯張ってるから、いつでも入れるよ。ちょっとぬるめにしておいたから、長湯してものぼせないと思う。たくさんマッサージしてあげるし、隅々まで洗ってあげるからね」
にっこり笑ったキースが顔をのぞき込んでくるから、リズベットは熱を持った頬を押さえながら小さくうなずいた。
身体を起こすと、ちょうど寝室のドアが開いてキースが笑顔で顔を出した。
「おはよう、リズ」
「えぇと、おはようござい……ます」
「敬語はなしって言っただろ」
こつんと軽く額をぶつけるようにして顔をのぞき込み、キースが笑う。そのまま柔らかく唇を重ねられて、リズベットは思わずうっとりと目を閉じた。
「お腹空いただろ、ご飯作ったから食べよう」
「キースさ……キースが、作ってくれたの?」
「店でもフードの調理担当してたしね、結構腕に自信はあるよ。ただ食材が尽きかけてたから、あとで買い物に行かなくちゃ」
食糧庫にはほとんど缶詰しかなかったとくすくすと笑いながら、キースが手を差し出してくれる。
仕事から疲れて帰ってきて自炊する気力もなくて、ここ最近はほとんど料理をしていなかった。そもそも料理下手でもあるから、出来合いのものを買って食べることの方が多いのだ。
自分の女子力のなさに情けなくなりつつダイニングに向かうと、テーブルの上にはおいしそうな料理が並んでいた。缶詰からこんなにも何品も作れるなんてと驚きつつ、リズベットはキースに椅子を引いてもらって座った。
「これからのことなんだけどさ」
食事をしながらキースが切り出す。思わず手を止めて顔を上げると、彼はにっこりと笑った。
「一緒に暮らさない?」
「本当、に?」
「うん。俺もうリズを手放す気ないし、家事全般得意だって言っただろ。俺にリズの世話をさせてよ」
激務のせいで毎日疲れた顔をしていたリズベットを心配していたのだと、キースは真面目な口調で語る。
「でも私、キースに何も返せるようなものがないし……」
リズベットは、フォークを置いてうつむいた。
コーヒー店にも、キース目当ての客がたくさんいたことは知っている。優しくてかっこよくて、仕事もできるこの人が、何故リズベットを選んでくれるのか、いまいち自信を持てない。
「リズは、いつも笑顔でいてくれるだけで充分だよ。毎朝リズの笑顔に、俺がどれだけ癒されてたことか。他のやつらもリズを狙ってたから、もうあの店に行くのは禁止な。コーヒーならリズのために俺が淹れるから。一生」
さらりとそんなことを言って、キースはリズベットの手を握った。
「ひとつだけリズにお願いできるなら、俺をこのまま部屋に閉じ込めてよ。好きな子に監禁されるって思うと、すげぇ興奮するんだよね」
「そうしたら、キースをずっと独り占めできるね」
思わずつぶやくと、キースは嬉しそうに笑った。
「俺の全てを、リズに捧げるよ。あぁそうだ、コーヒー店は辞めるけど、収入はあるから何も心配しなくていいよ。ここの家賃も、生活費だって払うから。というか、リズも仕事を辞めればいい。あんなに疲れた顔してまで働く必要、ないだろ」
「いや、さすがに無職になるのはちょっと……」
変わりばえのしない仕事にうんざりして、転職を考えたことはあるけれど、さすがに今すぐ辞める選択肢はない。
慌てて首を振ったリズベットを見て、キースは少し残念そうに眉を下げた。
「まぁ、急に言っても決められないか。そのあたりはまた、おいおいな」
そう言うと、キースは握りしめた手を引き寄せ、唇に押し当てた。
「食事が終わったらさ、一緒にお風呂に入ろうか。リズ、肩凝りが酷いって言ってただろ。マッサージしてあげる」
「い、一緒に……?」
「もうリズの身体は全部見てるから、今更恥ずかしがらなくてもいいだろ」
笑みを含んだ表情で言われて、リズベットは真っ赤になる。彼の顔の上に秘部を押しつけるだなんて、とんでもないことをしてしまった。今更だけど、キースの顔が見られない。
「もうお湯張ってるから、いつでも入れるよ。ちょっとぬるめにしておいたから、長湯してものぼせないと思う。たくさんマッサージしてあげるし、隅々まで洗ってあげるからね」
にっこり笑ったキースが顔をのぞき込んでくるから、リズベットは熱を持った頬を押さえながら小さくうなずいた。
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