74 / 86
第九章: サバンナ・ハバンナ
第六話
しおりを挟む
サバンナ、ミナミさん、タミさんを家に入れ、良いと言うまで出ないようにと頼んだ。
「ノア、敵は何人だ?」
「今のところ確認出来るのは一人だ」
サウス軍が一人で行動するとは珍しいな。よっぽど強いか、変人かのどっちかだな。
「いや、待て」
ノアの様子がおかしい。いつもの冷静さは無く、見たことのないような物を見たような表情をしている。
「増えている‥‥‥」
「何が?」
目を見開き、ノアは口を動かした。
「敵が増えている」
「どういうことだよ。結局何人なんだ。二人か?」
素早くこっちを向き、ノアは首を横に振った。
「十、百、今も増え続けている」
嘘だろ。そんなの仮にビーストだとしても、相当な量の魂とエレメントが必要になるぞ。いや、サウス軍幹部ならあり得るか。
「カンナ、アナ、ヴァン!今すぐ住民を皆んな避難させるんだ!家から一歩も出ないように言うんだ!」
「待つんだ!今からでは間に合わない。私が全員の頭に直接伝える。皆んなは敵襲に備えておけ!」
あのノアが冷静さを失っている。それだけ今回の敵は脅威だということなのか。
だが、引っかかることが少しある。大量のビーストを創るのなら、アニマンデスで見たエマの蚊型ビーストのような小型ビーストじゃないと、いくらエレメントの量が多くても創るのは難しいだろう。
だったら何かの能力なのか?ビーストを創る能力を持つビースト、だったらあり得るかもしれない。でも、もしそれが事実だとしたら、太刀打ち出来るのか‥‥‥?
「アナ、ヴァン。お前たちは広範囲な攻撃の準備をしといてくれ。カンナとアーロンは俺と一緒にビーストを創った本人を倒しに行くぞ」
アナとヴァンが広範囲な攻撃をしてビーストから村を守っている中、俺たちは創作者を倒す。それでビーストたちが消えるかは分からないが、これが一番いい方法だろう。
白濁の剣を握りしめ、戦闘態勢に入ると、遠くの空から影がぽつぽつと見えた。最初に見えたのはほんの僅かだったが、その後ろからは大群が来ていた。
遠くからは見えなかったが、近くになるにつれ、その姿が露わになった。ビーストだが人型。しかも、気味が悪く、人型というよりかは人形という方が相応しい感じだった。
「これは流石に多過ぎだな」
驚きや恐怖という感情を通り過ぎ、俺は呆れていた。ここまで来ると呆れるしかないだろ。
ビーストの大群は、村とある程度距離を保ち進行を止めた。その中から、一つの影が地上へ降りて来た。
黒いローブを被った者は地に足をつくと、フード部分を取り、顔を見せた。
フードの下にあったのは、青年の顔だった。少年の幼さは少し残っているが、どちらかと言うと青年に近い顔立ちだ。
「神の子を引き取りに来ました。引き渡して下さい」
一瞬ヨハンみたな平和的な奴かと期待したが、そういうタイプではないみたいだ。
「断ったら、この村を破壊します」
この状況は困ったな。取引をしようにも、相手はビーストを百体以上連れてるんだ。下手な交渉をすると、全員消されちまう。それにコイツのエレメント、やけに静かだ。村を破壊するのがハッタリじゃないことが分かる。
俺らの全戦力をかき集めても、この大群には勝てっこないし、賭けになるがいつものをやるしかないか。
「少しの間、時間を稼げるか?」
俺は皆んなに聞いた。
「うん、任せといて!」
「出来るよ」
まず最初に、アナとヴァンが了承してくれた。
「いつものだね?頼んだよ、ハジメ君」
いつもの定番みたいに言うなよ、アーロン。
「大丈夫よ。でも、無理はしないでよね」
俺に怒っているカンナも、少しのツンデレを見せつつも賛成してくれた。
そうと決まれば、一丁やるか。
こんなこともあろうかと、ズボンのチャックを少し下ろしておいて正解だったぜ。
今回はアカツチ村ということもあって、モグラ型ビーストを創ってみた。土を掘って敵の足元まで行かせ、攻撃といった寸法だ。
これまでの経験上、俺が能力を使ってる間は現実の時間は止まっている。そうでないとゴンゾウやコンスタンティンと戦った時、俺は殺されていてもおかしくなかった。
ってことは、俺の能力さえ発動出来れば、少しの時間稼ぎにはなる。それに、コイツの過去が分かるなら、それも使えるかもしれない。
エレメントで作ったモグラに魂を注入し、俺はモグラビーストを創った。そして土に潜らせ、アナたちの攻撃に気を取られていた敵に、モグラの攻撃は見事に当たった。
ジジジジジ‥‥‥
目の前にはアパートが密集した、団地のような建物があった。
この中からアイツを探さないといけないのか?相当骨が折れる作業になりそうだな。
どうするべきか少し考えていると、建物の一つから男の子が出て来た。ランドセルを背負い、手には紙飛行機を持っていた。
「カイト!弁当忘れてるわよ!」
母親か?家のベランダから少年に向かって叫んでいる。それにしても紙飛行機は持ってるのに弁当箱を忘れるとか、とんだドジっ子だな。
うん?カイトとかいう少年、あの敵と似てるな。もしかして、この子がアイツなのか。
「飛ばしてー」
「何言ってんの、取りに来なさい!」
アハハと言いながら弁当を受け取りに戻ってる姿は、普通の小学生そのものだ。戻って来たカイトの左手には弁当、右手には相変わらず紙飛行機を持っていた。
こんなに普通な、幸せそうな家庭なのにサウス軍にいるのか。
この時の俺には、これからカイトに起こる壮絶な出来事を知る由もなかった。
「ノア、敵は何人だ?」
「今のところ確認出来るのは一人だ」
サウス軍が一人で行動するとは珍しいな。よっぽど強いか、変人かのどっちかだな。
「いや、待て」
ノアの様子がおかしい。いつもの冷静さは無く、見たことのないような物を見たような表情をしている。
「増えている‥‥‥」
「何が?」
目を見開き、ノアは口を動かした。
「敵が増えている」
「どういうことだよ。結局何人なんだ。二人か?」
素早くこっちを向き、ノアは首を横に振った。
「十、百、今も増え続けている」
嘘だろ。そんなの仮にビーストだとしても、相当な量の魂とエレメントが必要になるぞ。いや、サウス軍幹部ならあり得るか。
「カンナ、アナ、ヴァン!今すぐ住民を皆んな避難させるんだ!家から一歩も出ないように言うんだ!」
「待つんだ!今からでは間に合わない。私が全員の頭に直接伝える。皆んなは敵襲に備えておけ!」
あのノアが冷静さを失っている。それだけ今回の敵は脅威だということなのか。
だが、引っかかることが少しある。大量のビーストを創るのなら、アニマンデスで見たエマの蚊型ビーストのような小型ビーストじゃないと、いくらエレメントの量が多くても創るのは難しいだろう。
だったら何かの能力なのか?ビーストを創る能力を持つビースト、だったらあり得るかもしれない。でも、もしそれが事実だとしたら、太刀打ち出来るのか‥‥‥?
「アナ、ヴァン。お前たちは広範囲な攻撃の準備をしといてくれ。カンナとアーロンは俺と一緒にビーストを創った本人を倒しに行くぞ」
アナとヴァンが広範囲な攻撃をしてビーストから村を守っている中、俺たちは創作者を倒す。それでビーストたちが消えるかは分からないが、これが一番いい方法だろう。
白濁の剣を握りしめ、戦闘態勢に入ると、遠くの空から影がぽつぽつと見えた。最初に見えたのはほんの僅かだったが、その後ろからは大群が来ていた。
遠くからは見えなかったが、近くになるにつれ、その姿が露わになった。ビーストだが人型。しかも、気味が悪く、人型というよりかは人形という方が相応しい感じだった。
「これは流石に多過ぎだな」
驚きや恐怖という感情を通り過ぎ、俺は呆れていた。ここまで来ると呆れるしかないだろ。
ビーストの大群は、村とある程度距離を保ち進行を止めた。その中から、一つの影が地上へ降りて来た。
黒いローブを被った者は地に足をつくと、フード部分を取り、顔を見せた。
フードの下にあったのは、青年の顔だった。少年の幼さは少し残っているが、どちらかと言うと青年に近い顔立ちだ。
「神の子を引き取りに来ました。引き渡して下さい」
一瞬ヨハンみたな平和的な奴かと期待したが、そういうタイプではないみたいだ。
「断ったら、この村を破壊します」
この状況は困ったな。取引をしようにも、相手はビーストを百体以上連れてるんだ。下手な交渉をすると、全員消されちまう。それにコイツのエレメント、やけに静かだ。村を破壊するのがハッタリじゃないことが分かる。
俺らの全戦力をかき集めても、この大群には勝てっこないし、賭けになるがいつものをやるしかないか。
「少しの間、時間を稼げるか?」
俺は皆んなに聞いた。
「うん、任せといて!」
「出来るよ」
まず最初に、アナとヴァンが了承してくれた。
「いつものだね?頼んだよ、ハジメ君」
いつもの定番みたいに言うなよ、アーロン。
「大丈夫よ。でも、無理はしないでよね」
俺に怒っているカンナも、少しのツンデレを見せつつも賛成してくれた。
そうと決まれば、一丁やるか。
こんなこともあろうかと、ズボンのチャックを少し下ろしておいて正解だったぜ。
今回はアカツチ村ということもあって、モグラ型ビーストを創ってみた。土を掘って敵の足元まで行かせ、攻撃といった寸法だ。
これまでの経験上、俺が能力を使ってる間は現実の時間は止まっている。そうでないとゴンゾウやコンスタンティンと戦った時、俺は殺されていてもおかしくなかった。
ってことは、俺の能力さえ発動出来れば、少しの時間稼ぎにはなる。それに、コイツの過去が分かるなら、それも使えるかもしれない。
エレメントで作ったモグラに魂を注入し、俺はモグラビーストを創った。そして土に潜らせ、アナたちの攻撃に気を取られていた敵に、モグラの攻撃は見事に当たった。
ジジジジジ‥‥‥
目の前にはアパートが密集した、団地のような建物があった。
この中からアイツを探さないといけないのか?相当骨が折れる作業になりそうだな。
どうするべきか少し考えていると、建物の一つから男の子が出て来た。ランドセルを背負い、手には紙飛行機を持っていた。
「カイト!弁当忘れてるわよ!」
母親か?家のベランダから少年に向かって叫んでいる。それにしても紙飛行機は持ってるのに弁当箱を忘れるとか、とんだドジっ子だな。
うん?カイトとかいう少年、あの敵と似てるな。もしかして、この子がアイツなのか。
「飛ばしてー」
「何言ってんの、取りに来なさい!」
アハハと言いながら弁当を受け取りに戻ってる姿は、普通の小学生そのものだ。戻って来たカイトの左手には弁当、右手には相変わらず紙飛行機を持っていた。
こんなに普通な、幸せそうな家庭なのにサウス軍にいるのか。
この時の俺には、これからカイトに起こる壮絶な出来事を知る由もなかった。
0
あなたにおすすめの小説
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる