天使達の憂鬱

樹林

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大天使2号は頭を抱える

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「ガブリエル、君は何を知っている」

会議室の扉を開けた瞬間に飛んで来た声に思わず扉を閉める。

これはバレたかな·····恩寵は審判の度にチェックしてたんだけどラジエル辺りが見れば一目瞭然だよね。

「ガブリエル、そこで何をしている?」

「やあミカエル·····何か聞いたかい?」
 
「ああ、ウリエルがアリエルに飲み込ませた恩寵が偽物だった事なら聞いているが?お前がそれに関わっているであろう事もな」

「とうとうバレたんだね·····仕方ないなぁ」

ミカエルと共に会議室に入ると、ラファエルが冷たい目で僕を見ていて背筋に嫌な汗が流れるのを感じながら席に着く。

「で?」

「これについてはあまり話せないんだ·····父との約束でね」

「父がガブリエルに直接話したのか?」

「そういう事。言っていいのはウリエルが追ったのはラミエルだという事とその後だけかな」

「彼女は堕天したではないか」

「彼女は幻視によって被害を食い止めていた所に味方の攻撃が頭に当たって下界に落ち、人間の赤子に変異したんだよ。記憶を全て失った状態でね·····いいかい?幻視を使ったままでだよ?彼女の力は皆も知っている筈だからこれで分かるよね」

「そういう事か」

「それならすぐに連れ戻せば良かったんじゃないのか?」

「既に人の子になってしまった後でね·····だからウリエルが側に行くと言い始め、父がそれを許したから僕が送った。彼女の弟として地盤を作れるようにね」

「なぜ俺に言わなかった」

「というか私が行きたかったよ」

「そういうと思ってね·····君達はラミエルを可愛がりすぎだし」

「当たり前だろう。ラミエルはアリエルと違い、俺達にも物怖じせずに話をしたからな」

「そうだね。私達にやっほーなんて手を振るのはラミエル位だったよ」

だから言えないんだよ?

メッセンジャーとして人間に幻視を見せたり、魂の管理者として善き魂を導くラミエルを見て、君達は「アレはもうやめさせろ。ラミエルが汚れたらどうする!」って父に苦情を入れようとしてたしさぁ。
明るく朗らかで誰とでも気安く話すラミエルが堕天したと聞いた時の天使達の衝撃ったらもう·····天界から光が消えたようだったよ。

堕天の理由が人間に欲情したからだと言う噂はウリエルが流したんだけど、何故か時代を遡った所で人間に伝わって、しかも「人間の女性に欲情した」になっててラミエルは下界では男。

天使には性別はないから全員男にされたのはそれより前かな?

決めつけは良くないと思うよ。

都合の良い所だけ切り取って、天使は人間に仕えるものだと言い出したのもいるけどありえないし。

どうでもいいから放置してるだけって事に気づけばいいのに。

あ、話が脱線したね。

「僕が話せるのはここまで!ウリエルの消息なんかは僕も知らないから父に聞いてね」

「ラミエルの居場所は」

「そうだ、それを聞かないと!守らないといけないからね」

「彼女自身の恩寵に加えて、本物のウリエルの恩寵もあるから大丈夫だよ」

「居場所を教えろと言っている」

「それも父に聞いて。教えてくれるかは知らないけどね」

無理矢理話を終わらせて自分の部屋へ行き、引き出しから鏡を出して覗くと友人と楽しげに笑うラミエルの·····彩未の姿があった。

「ああ、15歳になってるね。前の6年を無事に過ごす事ができて良かったよ。今回は少し不穏な空気を感じるけど、これはなんだろう」

彩未という名は未来を彩る存在として僕が授けた。

その名がある限り、君を守る事ができる。
君はどちらにせよ18歳から成長できないから、ウリエルの地上の運行を司る力を使って6年毎にリセットさせてると君に教える事はできないけど、君の為だから許して欲しい。

ウリエルがいない今、僕が直接君を守りに行くしかないね。

人間の体を借りるとしようか。

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