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第二章

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「主さん、どこから行くんや?」

「天司家に行きましょう。当主が苦しい息の中で主様を呼び続けています」

「分かったわ。蒼は私に捕まって、転移するわ」

蒼が頷いてわたしを抱きしめる・・・これは捕まるというより捕まっているのでは?私の肩に乗る白銀がヒューヒューうるさいし。

「と、とりあえず飛ぶわね」

私が転移したのはおじい様のお部屋。
そこには青い顔をしたおばあ様とお義母様もいた。

「桜純!あなた、桜純が戻りました!」

おばあ様がおじい様に声をかけると、少し目を開いて微笑んだの。

これは寿命ではない・・・誰がこんな事をしたのよ!

おじい様に近寄り、黒いモヤを全て祓うとおじい様の顔色が良くなって来たわ。

「これは悪質な呪いですね。お義父様達はどこに?」

「全員、学園にいるわ・・・エステルという女の子が有力者の家を回って、その家の男性達は全てあの子の虜になってしまったの。お父様だけが抵抗して、そのせいでこんな事に・・・桜純、本当にありがとう」

涙を流して私を抱きしめるお義母様はかなり痩せていて、私は自分の意思を優先した事を後悔したわ。
でも、あの経験がなければ蒼は今ここにいないと言い聞かせたの。

「桜純・・・おかえり」

「おじい様、ごめんなさい。私・・・私は」

「いいんだ。愛していた婚約者の創星をあの女に奪われたのだから仕方ないだろう」

「おじい様・・・」

おじい様に駆け寄り、その手を両手で握りしめて話す深刻な場面だけど、私は背後から漂う蒼の怒りのオーラが怖すぎて冷や汗が背中を流れてるのよ。

「そちらの少年はどなた?桜純の大切な人かしら?」

おばあ様が少し怯えながら、おじい様に他にも人がいる事を伝えてくれたから蒼の怒りはおさまったわ。
おばあ様、ナイスです!

蒼は足を前に踏み出して、おじい様からも見える位置に移動してからお辞儀をしたの。
「桜純と一緒に異世界から来ました鷹司蒼生といいます。桜純さんにはお世話になっています」

「あ、あのね。私がお世話になってる日本の神様のお孫さんで半神なのよ。クラスメイトで仲良いの」

おじい様達は感極まった様子で蒼と私を見て、うんうんと頷いた。別にお付き合いしているとかではないのよ?

「蒼生君、桜純を支えてくれてありがとう。この子はとても辛い思いをしてね。だが、桜純。お前に伝えなければならない事があるんだよ」

「何かしら?」

「お前の婚約者の創星君は、家に帰ると元に戻ってね。君との婚約破棄、君が異世界に行ってしまった事そして自分の行動に絶望してしまったんだ。君が異世界に行って1ヶ月後に全てを遮断して眠ってしまったんだ。あの女の呪縛から解放され、桜純を再び手にするまでは起きないと言ってね」

その言葉は、私の創星への気持ちを蘇させるものだったわ。
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