見てるだけはもう終わり!~創造主は地上に降りる~

樹林

文字の大きさ
29 / 63
第二章

28

しおりを挟む
私はこちらの制服に着替え、蒼は来斗が着ていた制服をお借りしたわ。

「ふう・・・落ち着いたわ」

「桜純、婚約者の話だけど本当に好きだったのか?」

「そうね。とても大切にしてもらっていたし、一緒にいると楽しかったし落ち着けたわ。私はそんな彼を信じる事ができなかったけど・・・」

「婚約者が目覚めたらどうするんだ?」

「その事は後で考えるわ。今は暗黒を止めないと」

「そうだな、悪かった」

蒼が何を言いたいのかは分かるけれど、今はその事を考えたくないの。集中しないと危険だしね。

私達はサロンに集まり、パパ・蒼・お義母様で学園に向かう事にした。

「蒼、お前は残った方がいいと思うぞ。邪魔になる可能性が高い」

「僕は防御に秀でているそうなので、桜純から精神攻撃防御を教えてもらいましたから大丈夫です」

「邪魔だけはするなよ?向こうには最古の闇がいるんだからな」

「もちろんです」

最高神にも臆する事のない蒼の心臓は、きっとプラチナ辺りでできていると思うわ。おじい様やおばあ様は今にもひれ伏しそうだもの。

「じゃあ行くぞ。桜純は蒼を連れて行け」

「ええ。では、パパ、お義母様。あちらで会いましょう」

私達は学園の屋上へと飛んだ。

私はこう見えて万能だから、全員に不可視と強力な防御をかけて下へと降りて行った。
この時間は授業中で、各クラスでは普段通りに授業を行われている。
先生も見知った友人達もいつも通りで、違うのは私と創星の席らしき場所が空席である事と、1人の女子学生の存在。

入学式で見た彼女は、黒い髪に赤い瞳と真っ白な肌の色を持っていた。
明らかにこの世界の人間とは違う彼女を見て、どこから来たのかと聞きたくなった位よ。
この大陸にはない肌だから、母親が別の大陸から来た可能性は高いけど、目立ちすぎて買い物も難しい筈よね・・・。私もそうだけど、肌の色も変えているから平気。
力があればこれくらいできる筈だけど、彼女は名前も肌の色も別の国から来ましたと言っているようなもので、私は強い違和感を感じたの。

『ねぇ、彼女はどうしてこの国の人間に合わせていないのかしら』

『強力な魅了以外の力が見当たらないから、変えられないのかもしれないな』

『そういう事なのね』

エステルさんは隣の席に座る攻略対象でもある私の友人、椎葉武尊と内緒話をしているけど、先生は叱る様子もない。

私はエステルさんから魅了を奪う事にした。
作る事も与える事もできる私は、壊す事も奪う事も簡単にできてしまうの。


彼女から能力を奪った瞬間、それは起こったの。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】

藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。 そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。 記憶を抱えたまま、幼い頃に――。 どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、 結末は変わらない。 何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。 それでも私は今日も微笑む。 過去を知るのは、私だけ。 もう一度、大切な人たちと過ごすために。 もう一度、恋をするために。 「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」 十一度目の人生。 これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

処理中です...