見てるだけはもう終わり!~創造主は地上に降りる~

樹林

文字の大きさ
32 / 63
第二章

31

しおりを挟む
私達の視線に気付いたエステルさんは「助けて」と言いながら床を這って逃げようとしたけれど、私が許す筈がないでしょう?

「エステルさん、神罰って知ってますか?」

「な、何よ。神なんかいないわよ」

「あら、あなたが呼び寄せたのは何だと思ってるの?」

「悪魔でしょ!あたしはこの学園に集めた奴らを生贄にしてもっとモテるのよ!邪魔しないでよねヴッ、ぐぐぐぁああ」

悪魔と呼ばれた暗黒は怒り、エステルさんを釣りあけたの。

「誰が悪魔だと?私は魔物ではないわ!」

「ご、ごめうぅぅぅぐるじい・・・」

首を掴まれたエステルさんは体中から液体を流しながら苦しんでいる。直接手を下させる事は避けたいから、私は暗黒を止めたの。

「暗黒、やめなさい。その者には私が神罰を与えるわ」

「くっ・・・私を操るな!創るだけ創って放置したくせに!」

「暗黒、お前は間違ってる。桜純は報知していないぞ。俺にもお前にも桜純の眷属がついていたんだ」

「どういう事よ」

私は手を広げて白銀と黒銀を呼び寄せた。
2人を見た暗黒は、黒銀を指さして笑い始めたの。

「こいつを私に?黒いもの同士いいわね」

「ちげーよ!お前についとったんは俺や!主さんが相反するからこそ癒せる言うて、あんたらがしんどい時に癒せ言われとったんや!」

「そうです。強すぎる光も濃すぎる闇も疲れると仰って、あなた方の調整を私達に命じたのです」

「せやけどな、あんたがは俺を拒んだんや。全部の光は消えてまえ言うて、俺の癒しまで闇に変えくさったんや!」

そのせいで白銀は消えかけ、私は人として産まれる事を決意したの。
でも、ずっと孤独だった私は人の世界と人に魅了されて自分の気持ちを優先して、暗黒をここまでにしてしまったから、その責任はとらなければならないわね。

「暗黒、あなたに新しい名前をあげましょう。その身に黒を背負いながらも美しく羽ばたく蝶の名を。そしてあなたは蝶となり、この世の素晴らしさを見てまわりなさい。悲しい記憶は消して新しいあなたとして陽の光の中を飛びなさい。揚羽」

その瞬間、揚羽は蝶となり私の周囲を舞うように飛んで、割れた窓から出て行った。

「お前、そういう事もできるのか。戦いを見ないといけないと思ってた俺の葛藤を返せよ!蒼にもかっこいい事言っちまっただろうが!」

「あら、物理的に戦うとは言ってないわよ?私は誰にも負けないけれど、唯一自分の心には負けるの。揚羽を消す事ができるかどうかは、私が自分の心に勝つことが大切だったの。揚羽の孤独を私も知っているから。だから、揚羽には彼女を眷属としてつけましょう」

チラリとエステルさんを見ると、ビクッと体を跳ねさせて嫌がったわ。
でもね、これがあなたへの神罰だから諦めて。

「さあ、あなたはジャノメチョウとなり揚羽に寄り添い、守り続けなさい。この約束は永遠に違える事はできませんし、逆らう事もできないわ。揚羽の為に何度でも死に、蘇りなさい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】

藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。 そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。 記憶を抱えたまま、幼い頃に――。 どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、 結末は変わらない。 何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。 それでも私は今日も微笑む。 過去を知るのは、私だけ。 もう一度、大切な人たちと過ごすために。 もう一度、恋をするために。 「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」 十一度目の人生。 これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

処理中です...