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第一章

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「アリスティア・コーラルバイン。その方はあの方だよな?」

「精霊王のルドです。よろしくお願いします」

「だよなぁ。やっぱりお前は規格外だよ・・・」

ルドに普通の精霊サイズになってもらい、どよめきの中を通って自分の場所へと戻るとお父様達が寄って来てルドをマジマジと見つめてから私を人目につかない場所に連れて行き、2人も契約精霊を呼び出したの。

『おお、ウンディーネとシルフではないか。久しいな』

『精霊王様!』

『お久しぶりですわ!』

キラキラと色んなものを出して喜び合う精霊達に、私達もほっこりしながら見ていたの。

その時、またどよめきが聞こえてきた。

「私は向こうに戻るから、ルドはもう少し再会を懐かしんでいてね」

そう言って戻ると、リオンがサラマンダーと契約している最中で、リオンがこちらに戻る時にサラマンダーから『主様の役に立つ為に来た。この者も気に入ったしな』と言われたわ。

次のショーン殿下はフェンリル・・・彼とは仲良しなの。モフモフとかモフモフとかが気に入って来てもらった事もあるし、通信で話す事もある唯一の存在よ。
あ、フェニックスとも話をしていたわ。
生命の精霊だから、色々相談されたのよね。

『主、そなたが話をしてくれないからこちらから出向いたぞ。契約者も気に入った!婿にするならこやつがいいぞ。俺とも一緒にいられるしな』

『おい、フェンリル。ワシが我慢した言葉をお前が言うのか』

『早い者勝ちだ!』

『結びは主様が決める事。早い者勝ちなどではないわ』

『こんなところで喧嘩しないでちょうだい・・・』

『『すまん』』

2匹にメッ!としていると、両脇からクスクスと笑い声が聞こえて来て、聖獣達の契約者の事を思い出した。

しまったわ、精霊や聖獣と話せる事がバレたかしら。

「アリスは聖獣にもすぐに懐かれるんだな」

「契約者じゃないのに、話している事が分かっているようだね」

バレたわけではないと分かり、ホッと胸を撫で下ろして2人に微笑んだ。

「とても可愛らしいからつい・・・」

『あなた達、主様は禁止ね。私の事はアリスティアと呼んでちょうだい』

『分かった』

『御意』

何とか召喚の時間を乗り切り、再会を堪能したルドも機嫌よく戻って来て私達は教室へと戻った。

お父様とローレンス兄様は教室までついてこようとしたけれど、いつもの口調で話したら諦めたわ。

どうしてこんなに過保護なのかしら。

前回はあんなに酷い目にあったのに、今回は最初から愛されていて少し照れくさくなる。

もし、あの時パパが呼び寄せてくれなかったら、私は人間を嫌いになっていたかもしれないわね。

そうなれば、私はどうしていたのかしら・・・そんな事を考えていたせいで授業に身が入らなかったわ。

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