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22.アレクシア入寮する
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「何か困った事があれば生徒会長を頼ればいい、僕を慕ってくれていた後輩だからアレクシアの事を頼んでおいたんだ。宰相の次男で頭の切れる奴だから頼りになるぞ」
「ありがとうございます、ウィル兄様」
「アレク姉様…、週末にはちゃんと帰って来て下さいね。帰って来ないとお迎えに行きます……っ、から……っ、ゔゔ……、ぐすっ」
「必ず帰って来るからそんなに泣かないで? 同じ王都にいるんだから会おうと思えばいつでも会える距離じゃない。行く前にはエミールの笑顔を見てから行きたいわ」
まるで永遠の別れかの様に涙を流すエミールを宥めながら、アレクシアは額に口付けた。
その様子を少し呆れた眼差しで見ていたオーギュストが口を開く。
「アレクシア、そろそろ行かないと今日中に荷物の片付けが終わらなくなってしまうよ? ほら、エミールも泣き止んで笑顔で見送ってくれないか?」
「うぐ……っ、む、無理ですぅ……、ぐす……っ」
「やれやれ、私やウィル兄様の時はここまで寂しがったりしなかったのになぁ……」
「あはは……、私が少々甘やかし過ぎてしまったようね……。仕方ないわ、もう行きましょう。ウィル兄様、エミール、行ってきます」
「少々か? ……行ってきます」
「ああ、気をつけて行くんだぞ」
「ひぐっ、いっ、行ってらっしゃい……」
涙を拭いてエミールは無理やり笑顔を作ろうとするが、どう見てもただの変顔にしか見えなかった。
(あかん! ここで笑たらエミールの心の傷になる! ここまでしんみりさせといて吹き出しそうになる程破壊力のある変顔するとは……エミールやるやん!)
馬車に乗り込みながら笑いを堪える為に、口元を手で押さえてギュッと目を瞑る姿は周りから見たら泣くのを堪えているようにしか見えず、見送りに来ていた使用人達の涙を誘った。
「お嬢様……お見事ですわ、見ていると悲しんでいるようにしか見えません」
「「は?」」
学園でのお世話係として付いて来た子爵令嬢メイドのニコルが感心したように呟くと、一緒に馬車に乗っていたオーギュストとオーギュストのお世話係である執事のポールが同時に間抜けな声を出した。
「お嬢様は泣いているのでは無く笑いを堪えておいでです」
「だ……、だって、くくっ、エミールの頑張って作った笑顔が……っ、ぷふっ、もうダメ……っ、あはははは!」
ずっと一緒に過ごしていたメイド達やエミールはアレクシアの性格を正しく理解していたが、ここ数年は殆ど会わなかったオーギュストや、関わる事が殆ど無かったポールは先程まで淑女然としていたアレクシアが大口を開けて笑うとは思っていなかった。
あれだけ別れを惜しんで泣いていた弟に対して笑っているアレクシアに、オーギュストはじとりと半眼になって視線を向けた。
今まで誰にでも分け隔て無く、心優しい妹だと思っていたが裏切られたように感じてしまったのだ。
「アレクシア……、あんなに泣いていたエミールが可哀想じゃないのか?」
「くくくっ、……ふぅ。可哀想で可愛いのよ? でも……さっきの変顔は……っ、くふっ、オーギュ兄様が言うから思い出し…っ、ふふっ」
「オーギュスト様、お嬢様がエミール様を可愛がっているのは事実ですが、それ以上に面白いものが大好きなだけなのです」
再び笑いだして説明出来なくなったアレクシアを見かねてニコルが説明した。
一頻り笑って落ち着いたアレクシアが、ポカンとして見ているオーギュストとポールに向き直る。
「どの令嬢も本音と建前を使い分けるように、私も外では淑女らしくしようと努力しているだけよ? それにあの場で笑ってしまったらエミールが傷付くと思って我慢したから問題無いでしょう?」
「それでも……、人の顔を見て笑うのは……」
見た目にコンプレックスのあるオーギュストは痛みを堪えるように端正な顔を歪ませた。
「ふっ、オーギュ兄様? では私の顔を見て笑わずにいられるかしら? 転んで大泣きしていたエミールが思わず吹き出したのよ?」
「まさか、アレクシアの美しい顔を見て笑うだなんて……」
「流石に肉親でないポールには見せられないから向こうを向いててね?」
「は、はいっ」
言われてポールが窓の方を向いたのを確認したアレクシアは、渾身の変顔をオーギュストに披露した。
「ぶはっ、あははははは! ダメだよ、せっかくの綺麗な顔を! ははははは……っ、く……っ、はぁはぁ」
「ふふふ、意外と単純な変顔の方が威力が大きかったりするのよね。ポール、もうこっち向いて良くてよ」
ポールが車内に視線を戻すと腹を抱えて大爆笑するオーギュストと、お腹を抱えながらも必死に笑いを堪えてプルプル震えるニコルが目に入った。
思わずどんな顔をしたのかとアレクシアを凝視してしまうと、にっこりと美しい笑顔を向けられ思わず頬を染める。
ポールはパスカルと同期の現在27歳で結婚もしているが、段々女性らしい丸みを帯びて来たアレクシアを久々に間近で見て美しさを再確認させられた。
アレクシアの新たな面を発見したオーギュストは、今までの隙間を埋めるかのようにたくさん話をした。
時々ポールやニコルも会話に参加しつつ、学園への道中はあっと言う間に時間が過ぎた。
「学園に到着致しました」
馬車が馬車止めに到着して御者が声を掛けると、オーギュストが馬車を降りるアレクシアに手を差し出してエスコートしてくれた。
ここまで護衛してくれたパスカル達にお礼を言って別れ、オーギュストの後をついて行って寮へと向かう。
「もう荷物は部屋に届けられているけど、荷解きに時間が掛かるだろうから食事の時間を忘れないようにね。男女で棟は別だけどあっちに並んで建っているから朝や帰りに会おうと思えば毎日でも会えるよ」
「では毎朝一緒に登校したいわ」
「はは、わかっ」「なんだよ、オーギュスト、お前もう戻って来たのか?」
寮が見えて来た頃、不意に明らかに嘲りを含んだ声が聞こえて来た。
「ありがとうございます、ウィル兄様」
「アレク姉様…、週末にはちゃんと帰って来て下さいね。帰って来ないとお迎えに行きます……っ、から……っ、ゔゔ……、ぐすっ」
「必ず帰って来るからそんなに泣かないで? 同じ王都にいるんだから会おうと思えばいつでも会える距離じゃない。行く前にはエミールの笑顔を見てから行きたいわ」
まるで永遠の別れかの様に涙を流すエミールを宥めながら、アレクシアは額に口付けた。
その様子を少し呆れた眼差しで見ていたオーギュストが口を開く。
「アレクシア、そろそろ行かないと今日中に荷物の片付けが終わらなくなってしまうよ? ほら、エミールも泣き止んで笑顔で見送ってくれないか?」
「うぐ……っ、む、無理ですぅ……、ぐす……っ」
「やれやれ、私やウィル兄様の時はここまで寂しがったりしなかったのになぁ……」
「あはは……、私が少々甘やかし過ぎてしまったようね……。仕方ないわ、もう行きましょう。ウィル兄様、エミール、行ってきます」
「少々か? ……行ってきます」
「ああ、気をつけて行くんだぞ」
「ひぐっ、いっ、行ってらっしゃい……」
涙を拭いてエミールは無理やり笑顔を作ろうとするが、どう見てもただの変顔にしか見えなかった。
(あかん! ここで笑たらエミールの心の傷になる! ここまでしんみりさせといて吹き出しそうになる程破壊力のある変顔するとは……エミールやるやん!)
馬車に乗り込みながら笑いを堪える為に、口元を手で押さえてギュッと目を瞑る姿は周りから見たら泣くのを堪えているようにしか見えず、見送りに来ていた使用人達の涙を誘った。
「お嬢様……お見事ですわ、見ていると悲しんでいるようにしか見えません」
「「は?」」
学園でのお世話係として付いて来た子爵令嬢メイドのニコルが感心したように呟くと、一緒に馬車に乗っていたオーギュストとオーギュストのお世話係である執事のポールが同時に間抜けな声を出した。
「お嬢様は泣いているのでは無く笑いを堪えておいでです」
「だ……、だって、くくっ、エミールの頑張って作った笑顔が……っ、ぷふっ、もうダメ……っ、あはははは!」
ずっと一緒に過ごしていたメイド達やエミールはアレクシアの性格を正しく理解していたが、ここ数年は殆ど会わなかったオーギュストや、関わる事が殆ど無かったポールは先程まで淑女然としていたアレクシアが大口を開けて笑うとは思っていなかった。
あれだけ別れを惜しんで泣いていた弟に対して笑っているアレクシアに、オーギュストはじとりと半眼になって視線を向けた。
今まで誰にでも分け隔て無く、心優しい妹だと思っていたが裏切られたように感じてしまったのだ。
「アレクシア……、あんなに泣いていたエミールが可哀想じゃないのか?」
「くくくっ、……ふぅ。可哀想で可愛いのよ? でも……さっきの変顔は……っ、くふっ、オーギュ兄様が言うから思い出し…っ、ふふっ」
「オーギュスト様、お嬢様がエミール様を可愛がっているのは事実ですが、それ以上に面白いものが大好きなだけなのです」
再び笑いだして説明出来なくなったアレクシアを見かねてニコルが説明した。
一頻り笑って落ち着いたアレクシアが、ポカンとして見ているオーギュストとポールに向き直る。
「どの令嬢も本音と建前を使い分けるように、私も外では淑女らしくしようと努力しているだけよ? それにあの場で笑ってしまったらエミールが傷付くと思って我慢したから問題無いでしょう?」
「それでも……、人の顔を見て笑うのは……」
見た目にコンプレックスのあるオーギュストは痛みを堪えるように端正な顔を歪ませた。
「ふっ、オーギュ兄様? では私の顔を見て笑わずにいられるかしら? 転んで大泣きしていたエミールが思わず吹き出したのよ?」
「まさか、アレクシアの美しい顔を見て笑うだなんて……」
「流石に肉親でないポールには見せられないから向こうを向いててね?」
「は、はいっ」
言われてポールが窓の方を向いたのを確認したアレクシアは、渾身の変顔をオーギュストに披露した。
「ぶはっ、あははははは! ダメだよ、せっかくの綺麗な顔を! ははははは……っ、く……っ、はぁはぁ」
「ふふふ、意外と単純な変顔の方が威力が大きかったりするのよね。ポール、もうこっち向いて良くてよ」
ポールが車内に視線を戻すと腹を抱えて大爆笑するオーギュストと、お腹を抱えながらも必死に笑いを堪えてプルプル震えるニコルが目に入った。
思わずどんな顔をしたのかとアレクシアを凝視してしまうと、にっこりと美しい笑顔を向けられ思わず頬を染める。
ポールはパスカルと同期の現在27歳で結婚もしているが、段々女性らしい丸みを帯びて来たアレクシアを久々に間近で見て美しさを再確認させられた。
アレクシアの新たな面を発見したオーギュストは、今までの隙間を埋めるかのようにたくさん話をした。
時々ポールやニコルも会話に参加しつつ、学園への道中はあっと言う間に時間が過ぎた。
「学園に到着致しました」
馬車が馬車止めに到着して御者が声を掛けると、オーギュストが馬車を降りるアレクシアに手を差し出してエスコートしてくれた。
ここまで護衛してくれたパスカル達にお礼を言って別れ、オーギュストの後をついて行って寮へと向かう。
「もう荷物は部屋に届けられているけど、荷解きに時間が掛かるだろうから食事の時間を忘れないようにね。男女で棟は別だけどあっちに並んで建っているから朝や帰りに会おうと思えば毎日でも会えるよ」
「では毎朝一緒に登校したいわ」
「はは、わかっ」「なんだよ、オーギュスト、お前もう戻って来たのか?」
寮が見えて来た頃、不意に明らかに嘲りを含んだ声が聞こえて来た。
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