【完結】美醜逆転!? ぽっちゃり令嬢のビボー録

酒本 アズサ

文字の大きさ
26 / 59

26.入学式

しおりを挟む
「おはよう、アレクシア、リリアン嬢、レティシア嬢」


「おはようございます、オーギュ兄様」


「「おはようございます、オーギュスト様」」


 翌朝、オーギュストと約束をした男子寮と女子寮の合流地点へと向かいながら、マクシミリアンがいるのではと密かに期待していたアレクシアは、オーギュストが1人で待っているのを見て内心ガッカリしつつも笑顔で挨拶した。


(友達って言うても毎日一緒に登校しとるとは限らんしな、でも入学式会場ならマクシミリアン様もおるやろ! カメラあったらオーギュ兄様に頼んで写真ゲットするのになぁ。スマホがあったら間違いなく)


「リリアン嬢、セザールは生徒会の役員として準備しなければならないから、先に行くと言っていたよ」


「元々一緒に行く約束はしていませんでしたから、問題ありませんわ」


 セザールとオーギュストの仲はアレクシアによる意識改革のお陰で見た目よりも能力重視になった事により、好んで近づいては来ないが、オーギュストの実力を認めてお互いを呼び捨てにするまでになっている。
 ほんの少しだがポテチのお陰かレティシアやクリストフ同様、顔の輪郭がふっくらとしてきた事も手伝っているのかもしれない。


 敷地内とはいえ、寮から入学式会場の講堂までは5分以上歩く。
 その道中4人はずっと好奇の目に晒されていた、羨望と値踏みと嫉妬と興味、そしてオーギュストとレティシアに向けられる蔑みと『あの程度の容姿で』美少女2人と共にいる事に対しての嫉妬だ。


「あ、セザールお兄様」


 講堂の入り口に机と椅子があり、セザールと数人の学生が新入生にプリントを渡していた。
 リリアンが呼んだ事によって4人に気付いたセザールがプリントを3枚持って近付いて来る。


「おはよう、アレクシアはまた綺麗になったようだな」


「おはようございます、セザール様。セザール様はまた背が高くなられたようですね」


 アレクシアの背が低い事もあり、セザールとは軽く頭ひとつ分は身長差があった。
 マクシミリアンは背が高いという印象だが、セザールは横幅もある分侯爵令嬢のベアトリスよりも圧迫感がある。


「はは、まだまだ伸びている最中さ。それより入学おめでとう、今日の予定表だ」


「ありがとうございます」


 アレクシアは差し出されたプリントを受け取り、セザールはリリアンとレティシアにも渡すと、おめでとうと声を掛けた。


「もうっ、お兄様ったら妹より先にアレクに声を掛けるなんて、順番を間違っているのではなくて?」


 リリアンが頬を膨らませて唇を尖らせ、不服を主張する。


「ははは、そう怒るな、リリアンは怒った顔も可愛いが笑った顔の方がもっと可愛いぞ」


 イケメンの自覚があるからかサラリと気障な言葉がポロポロとセザールの口から溢れ、その度に周りの女生徒達から黄色い声が上がっていた。


「それじゃあ私は生徒会の仕事がまだあるからここで。オーギュスト、席までのエスコートを頼んだぞ」


「ああ、わかってる。じゃあ行こうか」


「ええ、セザール様、お仕事頑張って下さいね」


「お兄様、また後で」


「失礼致します」


 ニコニコと4人を見送るセザールは、あのラビュタン家のお茶会で見せた傲慢ごうまんさがすっかり無くなっていた。
 ウイリアムが卒業した現在、既にセザールの人気は王族と肩を並べている。


 最高学年には王太子のジェルマンが居り、すぐ下の学年にセザールと第2王子のテオドールが居る。
 王族は公務がある為、生徒会には所属しないが特別枠で運営には携わっているので従兄弟同士で共に居ると女生徒達の視線を釘付けにしてしまう。


 地位、能力、人格に定評のある紳士であり、俺様気質だがリーダーシップがあると捉える事も出来る見目良いテオドール、傲慢なところも多少あるが容姿に拘らず実力を認める事の出来る学園でイケメン3人衆の1人セザール。


 ちなみに生徒会長もイケメン3人衆の1人で、もう1人は2年生に居る。
 テオドールはイケメン認定はされているが、残念ながらセザールと並んでしまうと明らかに見劣りしてしまうのだ。


 アレクシア達はオーギュストに案内された新入生の席で、周りと会話しながらそんな話を聞く事が出来た。
 やはり人気男子生徒の話は姉が居る令嬢が詳しいので、その令嬢は他の令嬢からも質問攻めにされていた。


 入学式では学園長の挨拶や担任の紹介、生徒会長の挨拶もあり、生徒会長はお茶会で見た事のある愛嬌のあるぽっちゃりさんだった。
 アレクシアはそんな事よりさり気なく視線を巡らせてマクシミリアンを探したが、残念ながら見つける事は出来なかった。


 が、神はアレクシアを見捨てなかったようで、入学式とホームルームが終わり寮に戻る途中でマクシミリアンを見掛けた。
 声を掛け様とした時に振り向いたのでニコリと微笑んだ瞬間、何と会釈をして脱兎の如く姿を消してしまったのだった。


「く……っ、メタルなスライムか!」


 アレクシアの口惜しそうな小さな呟きは春の風にさらわれて誰にも聞かれる事は無かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

【完結】男の美醜が逆転した世界で私は貴方に恋をした

梅干しおにぎり
恋愛
私の感覚は間違っていなかった。貴方の格好良さは私にしか分からない。 過去の作品の加筆修正版です。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

天使は女神を恋願う

紅子
恋愛
美醜が逆転した世界に召喚された私は、この不憫な傾国級の美青年を幸せにしてみせる!この世界でどれだけ醜いと言われていても、私にとっては麗しき天使様。手放してなるものか! 女神様の導きにより、心に深い傷を持つ男女が出会い、イチャイチャしながらお互いに心を暖めていく、という、どう頑張っても砂糖が量産されるお話し。 R15は、念のため。設定ゆるゆる、ご都合主義の自己満足な世界のため、合わない方は、読むのをお止めくださいm(__)m 20話完結済み 毎日00:00に更新予定

異世界転移したと思ったら、実は乙女ゲームの住人でした

冬野月子
恋愛
自分によく似た攻略対象がいるからと、親友に勧められて始めた乙女ゲームの世界に転移してしまった雫。 けれど実は、自分はそのゲームの世界の住人で攻略対象の妹「ロゼ」だったことを思い出した。 その世界でロゼは他の攻略対象、そしてヒロインと出会うが、そのヒロインは……。 ※小説家になろうにも投稿しています

転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。 結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。 転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。 しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……! 「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」 農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。 「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」 ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

処理中です...