もふもふは魔王城から逃げられない

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独り立ち

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リスは檻の中で一人考えていた。
いつまでここにいようか。
リスは今までの経緯を思い出す。

独り立ちしなさい、と家から放り出され、お腹を空かせて歩いていたら、甘い匂いがしてきた。匂いに釣られてふらふらと魔王城に入り、檻に入り飼われることになったのだ。

このまま、飼われるのは楽ではある。
でも、親の意図とは異なる。親は独り立ちして、家庭を持ちなさい、幸せになりなさい、と送り出してくれたのだから、そうならないとおかしい。

魔王に、行って、出してもらおう。とりあえず、檻からは出してもらえるようになったし、会いに行こう。

リスは広い城の中を魔王に会いに歩き始めた。城の中には魔王のほかに使用人がたくさんいるはずだったのだが、全く会わない。今は忙しい時間帯なんだろう。自分にそう言い聞かせ、先をいそぐ。

魔王の部屋は知らなかったが、何となく匂いがするようで、その匂いのする方向へ歩いて行った。

匂いの先は、騒がしかった。
魔王は窓の近くにいて、下を楽しそうな顔をして見ていた。
「面白いものが見れるぞ。」
窓の下に何かあるらしい。
近くに寄ると、魔王城にいる使用人達が全ているかのような沢山の人が、ピアちゃんと見たことの無い男を取り囲んでいた。

誰?

聞く前に魔王がピアちゃんに号令をかける。
「ピア、行け!」
待ってました、とばかり一目散に男に体当たりする。男は真っ青な顔になって、逃げまわっている。

周りから笑いが漏れる。
リスは、以前の記憶が呼び起こされ、気持ち悪くなって、目を逸らした。

「お前から来るなんて、珍しいな。」
魔王は長い髪をいつもみたいにまとめてなくて、随分印象がかわるな、とリスは思った。

「あの、魔王城から出たいのだけど。」
「ダメだ、危ない。」
「危なくても、今のままではダメなの。独り立ちしなくちゃいけないの。」
すごーく、変な顔をした魔王は、リスの顔をじっと見た。
「お前の言う独り立ちが、どう言うことかわからないが、魔王城の中には沢山の木があるから、そこに巣を作れば、独り立ちになるんじゃないか?
お前が出て行ってしまったら、俺とはもう会えなくなる。寂しいだろ?」

リスはない頭で考える。
そう言われてみれば、魔王城の外は危ないらしいし、城の中なら魔王に会えるし、お菓子は食べられるし、巣は作れるし、いい事づくしなのでは?

さすが、魔王。頭いいな。

「うん。それで良い。木はこっちで選んでいい?」
魔王はほっとした顔で、笑った。
「うん。どれでもいいぞ。決まったら教えてくれ。お菓子を持って行こう。」




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