もふもふは魔王城から逃げられない

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勇者

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勇者は焦っていた。魔王が魔王城に篭っているためにクエストが進まないのだ。
毎年この時期になると、魔王が何処からか現れ、勇者と戦い、その勝敗に寄ってクエストが進んでいくのだが、今年はまだ進んでいない。

魔王が外に出てこないのだ。
ここ何年か魔王が勝ち続けているだけに、今年こそは、と期待も大きく、
冒険者としても経験値の多い自分が勇者として、選出された。

だが、肝心の魔王が現れない。
噂によると、ペットに夢中で、城から出たがらない、とのこと。

そんな理由?

俺だって、実家に残した猫ちゃんと遊びたいのに!

とりあえず、王様がうるさいから、魔王城に旅立つ。魔王は、話せばわかるタイプだといいな。

森を奥に進んでいくと、魔王城が見えてくるはずなのに、進んでも進んでも見えてこない。また迷わせてる?自身は方向音痴ではないと思うも、森に入ると必ず同じところをぐるぐる回る羽目になることから、魔王が幻惑魔法か何かで、城を察知できないようにしているのだろう。

今日はあきらめよう、とした時、軽い悲鳴みたいな高い声が聞こえた。
こんな森に誰がいるのか。

恐る恐る声のする方へ歩みを進める。
罠かもしれない。

だが、勇者は漸くたどり着いた。
顔を上げると魔王城があった。

やったー!
やっとたどり着いたぞ!

たどり着いたものの、もう相当疲れてるし出直そう、と思いつつさっきの悲鳴の主を探す。

女の子が巨大な猫に追いかけられていた。女の子は少し小さくて、可愛らしい。獣人だろうか。

猫は追いつきそうになれば減速し、女の子が止まりそうになれば追いかけ、女の子を悲壮な顔にしていた。

たしかに、猫ちゃんと遊びたいとは言ったけど。でかすぎるし、何よりあれは猫なのか?勇者なら助けるべきだし、助けたい気持ちはあるのだが。

勇者は葛藤の末、見なかったことにした。

今の自分の体力では持つまい。
また明日ここに来て、もしあの子がまだ生きてたら助けてあげよう。

それまでしばし待たれよ!

そう言い訳をして、勇者は帰って行った。

魔王がその様子を見ているとも知らずに。

その後、3日ほどしてから勇者は魔王城へ向かった。今度は迷わずに来ることができ、安堵したのも束の間、魔王に面会を求めたものの断られ、変わりに出てきたピアちゃんの前になす術もなく、倒れたのだった。

ピアちゃんの安眠は勇者のおかげだった。

勇者はリスの救助を断念せざるを得なかった。



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