婚約者がすぐにママになろうとしてくる

サミュエル 7歳 ローラ 12歳

ライバル(ローラの独り言 2)

面倒な奴が来た。そういえば、陛下のお誕生日もうすぐだったわね。隣国の王子オリバーは、久しぶりに見たサミュたんが大きくなっていてびっくりしていた。赤ちゃんの時しか会ってないもの、仕方ないわ。でも、あの変態王子に、ずっと弟の可愛さについて、力説され、隣国で陛下に弟を所望したことから、奴はサミュたんに絡んでくることは間違いない。

側妃に王子が生まれた時は周りの静止を振り切り、見に行って大喜びし、驚かれたそう。将来的にどうなの、それ。兄として可愛がりたいそうだけど、まだ幼くて怯えられているらしい。

だから、サミュたんぐらいの子は狙われやすいんだわ。

サミュたんに挨拶された時の、あの顔！あ、ダメだ。これは、スイッチ入っちゃった。あの嬉しそうなニヤけ顔といったら。

不安になって、お膝に乗ってくれないか、聞いたら、断られた……恥ずかしいんだって。恥ずかしがらなくても良いのに。でも、最近恥ずかしがるサミュたんも、可愛くて至福を感じるからこれはこれで良いのか。

斜め後ろから見た時の、サミュたんのほっぺたの膨れ具合とか、見られなくなるのは嫌だけど、サミュたんの成長過程を見られるのは嬉しい。

オリバーを見て、不安そうなサミュたんは、私がオリバーをかっこいいと思うかを気にしているみたい。オリバーだけでなく、歳の差を気にしているみたい。

いや全く。全然好きではないことをアピールすると、ほっとしたみたい。可愛い。

サミュたんは初めて会うのかもしれないが、私はオリバーの残念なところも、腹の立つところも、どうしようもないところも知りすぎていて、今更何とも思わない。寧ろ、面倒だし、早く帰ってくれないかな、ぐらい。

私としては、奴がしゃしゃり出てこないように、私達のラブラブっぷりをアピールして、早くおかえりいただこうと思う。

因みに、エミリー嬢には、ちゃんとレディに対応するようにしていた。ちょっと待って。私にもそんなことしてもらった記憶がないんですけど。

まあ、正直、向こうだって、私の残念なところを知ってしまってるのよね。そりゃ、ならんわ。

それでも、残念だとは思わないのよね。サミュたんさえ、いれば良いのだもの。私のライバルって、厄介な年上の男性ばかりなのよね。いつかは、可愛い女の子が参戦してくるのかしら。想像すると、少しワクワクする。悪いけど、サミュたんの隣は死守させてもらうわ。少なくとも、私を倒す気概のないご令嬢には、渡す気はないのよ。

だから、それまで、サミュたんのほっぺは私のものだ！誰にも渡さない！！