婚約者がすぐにママになろうとしてくる

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サミュエル 13歳 ローラ 18歳

未だ身長は伸びない

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婚約時の兄上と同じ年齢になっても、私は全くチビのままだ。未だに、ローラを見上げる日々が続いている。一時、声変わりを疑われたが、まだ徐々に、と言った様子で声は低くはなっていない。兄は貴族子女の通う学園において、優秀な成績を修め完璧な王太子のまま、卒業した。

いや、本当に大変だったようだ。ローラが何かと牽制してくれたようだが、ちょうど年齢が三年離れているエイミー嬢がいないので、これ幸いとハニー事案が出るわ、出るわ。

媚薬の類は体質上全く効かないが、貴族の令嬢が非力などとはとんでもない。様々な策を練り、どうにかして王太子を手に入れようと強くアピールされ続けた結果、兄上はより一層、エイミー嬢を大切にする様になった。

エイミー嬢の実家の伯爵家は、一時期、自然災害により大きな被害を受けたが、領地の復興に尽力し、その立場を確固たるものにしている。それに伴い、たかが伯爵家とは言われなくなってきた。だからこその焦りがあるのか、侯爵家、ローラの公爵家以外の公爵家は、必死だ。

ローラはと言うと、女性よりは男性の方が、王家を敵にするヤバさを知っていると言うのか、ローラを好きでも黙って見守ってくれる人が多く、男からの横槍はなかった。女性からの横槍も、年齢差が効いたのか、あまりなくて、ヘイトが全て兄上達に向けられたかと思うと、申し訳ない。

ローラが言うには、「サミュエル様には信用があるのです。婚約時のことも然り、それ以降もちゃんと態度で示されているので。」だそうだ。

「デイヴィス殿下は、その辺りが、恥ずかしいからとあまり人前では態度に出さなかったので、エイミー嬢が舐められるのですよ。本当に迷惑な……何かと、探りを入れられて困るのですわ。」


「え。兄上、人前ではしないの?」
あれだけ、二人でイチャイチャしてるのに?

「そうなんですよ。ヘタレでしょう?」
「手を繋ぐだけでもいいのにね。」
「そうなの。でも恥ずかしいみたい。それで狙われてたら意味がないでしょうに。」

私とローラは、二人の時は他に誰がいようと手を繋ぐ。もう癖というか、習慣というか。手を繋いでいないと、寂しくて仕方ない。

チビのままとは言っても、手を繋いでも、以前の様に子守だとは言われない様になった。少しは成長しているのかな。

あの時のオリバーは、本当に感じ悪かったけれど、最近は第二の兄上みたいに頼りになる存在だ。

オリバーも、好きな子と上手く話せないみたいで、最初に感じたカッコ良さは、幻だと知った。

気がつけば、ローラは成人してしまった。ローラと同じ歳なら既に結婚もできるのに、私が成人するまで、あと五年も待って貰わなくてはならない。

「私は大好きな方と結婚できるのですから、誰よりも幸せですわ。皆が皆、好きな方と添い遂げられるわけではありませんし。

私は時期は遅くとも、さ、最愛の方と…結婚できるので…」

急に言葉が辿々しくなったローラを不思議に思って、振り返ると、周りに意外にも人がたくさんいた。どうも、最近、周りが見えなくなるな。反省。

周りの微笑ましい顔に、恥ずかしさが時間差で訪れる。確かに、兄上じゃないけれど、これはハードル高いな。
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