私は聖女なんかじゃありません

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王子 裏側

聖女の行先

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嫌な予感がして、いつもより早く会いに行くと、予想通り聖女とあの男がいなくて、どうにか乗合馬車の前で追いついた。

無知は罪だと言うが、私自身も平民について勉強が足りなかったようだ。私が馬車で送ると言うと、なんと断ってきたのだ。やはり平民は面白い。これが貴族であったなら、これは提案ではなく、命令だと気付いただろう。

平民ごときに断る権利などないと気付いただろうに。



あいつらがどこにいくか、追わなければいけないのに、クソッ、こんな時に陛下からの呼び出しなんて、ついていない。

聖女はよほどあの男にご執心と見える。いつかあいつの目の前で、聖女を抱いてやらんと、わからないようだな。

御者に王城へ引き返すように、指示し、二人を見送る。

ハラワタが煮え繰り返りそうだが、強者は常に謙虚であるべきだ。今は泳がせてやる。陛下の用事が終われば、聖女は私のものだ。

陛下にも困ったものだ。そろそろ第一王子を諦めても良い頃合だろうに。未だに前王妃に想いが残っているらしい。王族でありながら、あんなに弱い毒に倒れた不甲斐ない王妃に何を思うことがあると言うのか。現王妃である母の方が、大切ではないか。あの人は息子の為ではなく、陛下の為だけに生きているのに。何が不満だと言うのだ。



念のため、乗合馬車の行先を調べておこう。少し厄介だな。聖教会に逃げ込まれたら、私のものにするのが、遅くなるかもしれない。あいつらは聖女を監禁して閉じ込めてしまうだろう。聖女で儲けるなど、隣国の野蛮人と考えることが同じだ。


聖教会に捕まるようなら逃してやらなければならない。何人か、見張らせて、必要ならば逃せと命じる。

無礼にも逃げた聖女に対して何て私は慈悲深いのだろう。

聖教会より先に聖女を手に入れられなければ、また政治に素人が首を突っ込んでくる。外野は引っ込んでいてもらいたい。聖女が聖魔法を使えるなら、聖魔法で聖教会を潰すことはできるのだろうか。

腐敗がないと、難しいかな。まあ、いくらでも捏造はできるし、腐敗の事実なんてなくても良いのだが。







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