私は聖女なんかじゃありません

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王子 裏側

暗殺未遂

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第一王子の影は、またネズミが入り込むのを捉えていた。

「しつこいなぁ。」
第二王子は、そこまで王太子になりたいのか。あの性格では、すぐにこの国は厳しい状態になるだろう。だからこそ、第一王子に期待するのだが。

第一王子は今自国にいない。このことは、王子だけでなく、王にも報告していない。王は呑気に、自国のどこかに隠れているのだろう、とか考えているのだろう。第二王子は間違いなく、王の息子だ。性格が似過ぎだ。だからこそ、王は躊躇うのだろう。彼に国を任せたら危ないと。王は自分の愚かさを自覚していないほど、愚かではない。そこだけは、評価できる。

唯一そこだけは、第二王子と違うところだ。

第一王子は、前王妃に似て臆病で、思慮深く、人たらし。出会った人の庇護欲を唆る。今頃リサ聖女も骨抜きにされているのだろう。

第一王子であるジークに婚約者はいない。全て第二王子に奪われたからだ。
第二王子は王と同じく、精神操作系の魔法が得意だ。第一王子は体質として、魔法が効かないが、毒は効く。しかも治癒魔法も効かないから、最初から摂取しない、しか生きる道はない。

暗殺から身を守るには、身体を強化するか、頭を使うしかない。第一王子の周りを固めるのは、精神操作系の魔法に耐性があるものが多いが、中には弱いものもいるので、魔法や、魔道具で、どうにか凌いでいる。

聖女リサを、第二王子にぶつけたら、面白いだろうな、とは思うけれど、第一王子が、リサを危険に合わせるわけはないから無理だろう。意外といい勝負になりそうなのだが。

女に目がない王子に、人の悪意まで浄化する聖女。悪意しかない王子は消えてなくなるかもしれない。

人を使えるか使えないか、駒にできるかできないかで、判断する男は、それが自分にも当てはまることだと気づかない。

国内で、正常な考えの持ち主なら、しっている。第二王子は、とっくの昔に不要の烙印を押されていると言うのに。

ついでに言うと今の王もいらない。
国内に興味を持たず、ただふんぞりかえるためだけに玉座に座り続ける置物なんて。邪魔でしょう。

それにしても本気で殺すつもりあるのか?疑うほどに弱いゴミどもを送り込んでくるのには、一体どんな意味があるのか。

単に駒不足なら、良いけれど。



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