私は聖女なんかじゃありません

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王子 裏側

生き餌

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聖女を追いかけるイーサンにプレゼントがある。特別な仕掛けのあるとっておきだ。

身一つで、成り上がろうとする女は嫌いじゃない。生意気な女も、大胆な女も好きだ。でも、身の程を弁えない卑しい女は嫌いだ。普段淑女に囲まれていると、たまには、毛並が違う女に興味が湧くことがある。

男爵令嬢と言う貴族としては最底辺でありながら、私に迫ってくる姿勢は良かった。あの品のない体の使い方も、上位の者に対する不敬も、まあ、許せるが、やりすぎたのは良くなかった。

あの貧相な体は一度で飽きたし、男爵令嬢でありながらのあの不遜な態度。王子との仲を言いふらす。高位貴族の令嬢を脅すなど、やりたい放題だった。何故か私が助けるなどと本気で考えているようだが、よくわからない。


ちょっと面倒になってきたので、彼女に大切なお願いをする。ギリギリまで渋ってはいたが、帰ったら結婚してやる、と言うと気分が良くなったようだ。
単純で、助かった。


一つの袋を渡して、中は見ないように、言い聞かせ、肌身離さず持つようにさせた。令嬢は魔力が強い方だった。


袋の中には卵がある。魔獣の卵だ。
近くにいる者の魔力を餌にして、大きくなる。
卵のうちにどれだけ魔力を吸い取るかで、孵った後の強さが決まる。

大きさは、3メートルぐらいか。

森の中で、令嬢の魔力を吸い取り孵化した魔獣は、イーサンの実戦の良い相手となるだろう。

勿論、倒してくれてもいいし、令嬢は餌にしてもらって構わない。

ついでに混乱に乗じて、聖女が手に入らないだろうか。それは狙いすぎか?
まあ、そこまでは無理でも仕方がない。

男爵令嬢が、魔獣に襲われる状況でも、もし生きて帰ることができたなら、本気で結婚しても良いかもしれない。生命力が素晴らしい証拠だ。


そうなったら、私は遂に、壊し甲斐のある玩具を手に入れることができる。

私の念願が叶う。
聖女と一緒に、たくさん可愛がり、存分に壊してやろう。

「いつも一緒にいたいわ。」
そうだね。私もだよ。

記憶の中で彼女が言っていた言葉。
あの時は返事をしなかったけれど、今は私もそう思うよ。







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