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王子 裏側
遭遇
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聖教会には黒い噂がある。聖教会の敵を秘密裏に始末する一派があると言う。噂であって、実体としてはあるかないかわからない。伝説のようなものだ。司祭様は内部からそれを調べているものの、全貌までは見えてこないと言う。恐らく関わっている者達が、司祭様の名を騙っているのは間違いない。司祭様曰く、今回の聖女の件にもきっと関与してくると思うので、くれぐれも気をつけるように、とのことだった。
どこの組織も血生臭い話が好きだな。
イーサンは貴族出身で、騎士で勿論魔力持ちで、探索系の魔法が使えるため、追っ手として優秀だと思っていた。
不審な者がいれば、すぐにわかる。
だから、今、後ろに突如現れた少年の気配を全く感知できなかったことに驚いている。
ほんわかした雰囲気の可愛らしい少年が、魔獣も出る森の奥に、いるわけがない。
何者だ…?
これが、聖教会の追っ手か?
それとも…
少年はおそらく7、8歳。服装、振る舞いから見て、平民。
イーサンは冷や汗が湧き出るのを感じる。何故か、百戦錬磨の騎士であるイーサンが、本能的に恐怖を感じてしまう。
聖教会の追っ手なのか?
こんな小さな子が?
「貴方はだれですか?どうしてそんなに緊張しているの?」
舌ったらずの高い声で、優しく聞いてくる。
答えようとしたとき、ひやりと顎に刃物を突きつけられているような感覚に陥った。物凄く大きな殺意に包まれる。
どこからでたのか低い声で、問いかけてくる。
「あなたは、司祭様の敵ですか?」
「いや、司祭様の敵ではない。」
余計なことは言わず、真実だけを口にすると、刃物を当てられた感覚だけ残り、すっと、彼から殺意が消えた。
にぱっと、こどもらしい笑顔で、
「じゃあ、いいや。」と笑った。
気がつくと、彼の姿は消えていた。
咄嗟のことに白昼夢でも見たのかと思えば、下顎に、刃物をつきつけたときの跡が残っており、少し切れていて、拭うと血がついた。
第二王子の刺客といい勝負だな。
イーサンは三つ巴の闘いが始まったなら真っ先に殺されるのは、自分だと観念した。
名前を聞いておけば良かった。
悪魔に名があるとしたら、彼と同じだろうと思ったからだ。
こどもに怯えている場合ではなかった。
彼女を助けるのに、命をかける必要があると、理解したのだから。
姿が見えなくても、どこかにはいるのだろう。さっきと同じく、探知は出来なかったが、まだ、こちらを殺す気は無さそうだと、そのうち、存在を忘れた。
覚えていたところで、防ぎようもないのだし。仕方がない。
イーサンはイーサンの追っ手らしい微弱な気配と、さっきから徐々に追いついてくる気配を探知していた。
彼女の元にアレがいてくれるなら大丈夫だと、安堵した。
どこの組織も血生臭い話が好きだな。
イーサンは貴族出身で、騎士で勿論魔力持ちで、探索系の魔法が使えるため、追っ手として優秀だと思っていた。
不審な者がいれば、すぐにわかる。
だから、今、後ろに突如現れた少年の気配を全く感知できなかったことに驚いている。
ほんわかした雰囲気の可愛らしい少年が、魔獣も出る森の奥に、いるわけがない。
何者だ…?
これが、聖教会の追っ手か?
それとも…
少年はおそらく7、8歳。服装、振る舞いから見て、平民。
イーサンは冷や汗が湧き出るのを感じる。何故か、百戦錬磨の騎士であるイーサンが、本能的に恐怖を感じてしまう。
聖教会の追っ手なのか?
こんな小さな子が?
「貴方はだれですか?どうしてそんなに緊張しているの?」
舌ったらずの高い声で、優しく聞いてくる。
答えようとしたとき、ひやりと顎に刃物を突きつけられているような感覚に陥った。物凄く大きな殺意に包まれる。
どこからでたのか低い声で、問いかけてくる。
「あなたは、司祭様の敵ですか?」
「いや、司祭様の敵ではない。」
余計なことは言わず、真実だけを口にすると、刃物を当てられた感覚だけ残り、すっと、彼から殺意が消えた。
にぱっと、こどもらしい笑顔で、
「じゃあ、いいや。」と笑った。
気がつくと、彼の姿は消えていた。
咄嗟のことに白昼夢でも見たのかと思えば、下顎に、刃物をつきつけたときの跡が残っており、少し切れていて、拭うと血がついた。
第二王子の刺客といい勝負だな。
イーサンは三つ巴の闘いが始まったなら真っ先に殺されるのは、自分だと観念した。
名前を聞いておけば良かった。
悪魔に名があるとしたら、彼と同じだろうと思ったからだ。
こどもに怯えている場合ではなかった。
彼女を助けるのに、命をかける必要があると、理解したのだから。
姿が見えなくても、どこかにはいるのだろう。さっきと同じく、探知は出来なかったが、まだ、こちらを殺す気は無さそうだと、そのうち、存在を忘れた。
覚えていたところで、防ぎようもないのだし。仕方がない。
イーサンはイーサンの追っ手らしい微弱な気配と、さっきから徐々に追いついてくる気配を探知していた。
彼女の元にアレがいてくれるなら大丈夫だと、安堵した。
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