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新しい家族

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ジェームズが仕事を終えて帰ってきたのは、子供達がベッドに入ろうとした頃だった。
「まだ起きてたのか。」
「もう、寝るところ。」
ルーカスが、目を擦り睡魔と闘っているリリーを連れて、部屋を出ようとする。
「リリーをうちの子にしようと思う。」
ジェームズは満面の笑みを息子に向けた。

「本当に?リリーが妹になるの?」
「あぁ、さっき国に話をしてきたからな。」
ルーカスはジェームズに飛びついて、感謝を伝えた。

リリーはすでに夢の中だったので、ちゃんと聞いていなかったが、ルーカスとエマの喜びようは、相当だったらしい。

「リリーが妹…可愛い妹…」
「詳しい話は明日な。」
「わかった。ありがとう!」
ルーカスははやる気持ちを抑え、ワクワクしながら眠りについた。

次の日の朝ごはんの時にそれは、リリーに伝えられた。
「これからは、僕らをお父さん、お母さん、ルーカスはお兄ちゃんと呼んでくれる?」リリーは大きくうなずき、
「ありがとう。お父さん、お母さん」と呼んだ。
ほっとした顔をジェームズはしていたが、急に真剣な顔になって、
「これでいつでもリリーを守ってやれる。」と呟いた。

リリーが、ルーカスに顔を向けると、僕は?僕は?、という顔をしていたので、ちゃんと、「お兄ちゃんもありがとう。」と言う。

ルーカスは泣きそうになりながら、「絶対にリリーを一人にさせないからな。」
と言った。

エマはエマで、リリーの服やら鞄やら靴やら、用意する物が沢山あって、忙しい、と言いつつ、楽しそうにしていた。


ジェームズは仕事の前に、正式な手続きをしてくると言ってどこかへ出かけて行った。

リリーはその背中を見送りながら、嬉しくて、夢みたいだと思った。

こんな温かいお家でこの先ずっと暮らせたらいいな、とは思っていた。それがまさか、こんなにはやく叶うなんて。


エマとジェームズはリリーが来た日の夜、今後の話をしていたのだが、その一つに、教育を受けさせたい、と言うことがあった。

ルーカスとジェームズがいない間に、
エマが基礎的な教養を確認したのだが、やはりと言うべきか、字を書くことすら出来なかった。

今すぐ、学校に行って、授業を聞くのは難しいと判断し、簡単な基礎は、家でエマが教えることになった。
ルーカスも、お兄さんぶりたいようで、協力的だ。

また、身体の発育については、よく食べよく眠る、を実践していたら、子供だからすぐ成長するだろう、と思われた。
特にリリーは好き嫌いなく、何でもしっかり食べるので、大きくなるだろう。

リリーが何でも食べるので、負けたくないと思うのか、ルーカスも好き嫌いをしなくなった。スムーズにはいかないが、難しい顔をしながら、食べている。

ジェームズは仕事の帰りに、お土産を買ってくるようになった。色とりどりのお菓子やフルーツは見るのも楽しく、リリーは笑顔になった。

リリーの笑顔に家族全員が癒されていた。特にルーカスは、常にリリーの側におり、彼女を大切に扱っていた。
宝物を慈しむような様子に、エマは頼もしさを感じていた。



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