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古い夢
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リリーは、ずっと夢を見なかった。
新しい家族と一緒に過ごしてからはずっと。
目を閉じるのが、怖くなくなった。
目を開けると、そこにルーカスがいるから。ルーカスのモフモフのしっぽは、リリーの身体に優しく寄り添い、毛布の様な役割を果たしていた。
窓から見える空はまだ暗い。
リリーはまだ起きる時間ではないらしい。さっきまでいたもふもふに身を任せ、眠りについた。
そして、その後、夢を見た。
リリーは夢の中で、混乱していた。
今夢の中にいるとは思うものの、
これは現実にあった話だ、と理解している。
目の前に、ルーカスとは違う種類の狼がいて、リリーにここを動かないで、と言う。リリーは、その隣にいるエマとは違う獣人に、お母さん、と呼ぶ。
お母さんと呼んだ獣人は、大丈夫と言う。
ここで、リリーは目を覚ました。
心配そうなルーカスの顔がリリーを見つめていた。
「うなされてた。そんなに怖かったか?」
リリーは心配された理由がわかった。
夢を見ながら泣いていたからだ。
悲しい夢でも、怖い夢でもなかったが、胸が締め付けられるような、息苦しさがあった。
リリーはなおも心配そうなルーカスの頭をポンポンして、大丈夫だと伝えた。
同じ頃、ジェームズも不思議な夢をみていた。
自分達とは違う種類の狼が、じっとこちらをみている。
1匹の狼が、小さな子供を咥えていて、こちらに渡す。
この子をどうかお願いします、といい、すぐにいなくなってしまった。
あの狼は…
朝、ジェームズは、リリーの夢の話をきいて、自分が見たのは、リリーの母親かもしれない、と思った。
リリーにここを動かないで、と言った「ここ」とは、この家であり、この家族のことだと理解した。
夢で見た狼は、最近絶滅した狼ではなかったか。リリーが10才だとすれば、少なくとも10年前は生存していた、と言うことになる。
まさか、リリーをさらった奴らは、絶滅危惧種と知らなかったのか。もしくはそうなるように仕向けたのか。
でも、わかったことがある。
この家はリリーを守ってやれる。
リリーが、育つ環境を自分たちが作ってやれるのだ。
ジェームズは夢のことをリリーに言わなかった。そのかわり、リリーを必ず守ることをさっきの狼に届くように、心の中で、報告した。
朝、リリーがうなされる声で飛び起きたルーカスは、起こした方が良いのかオロオロしていた。
「リリー?」返事はない。
「…ん…お母さん…」
今お母さんと会っているのだから、起こしちゃいけない、と我慢した。
髪を撫でる。
目を覚ましたリリーは、泣いていた。
リリーが泣くと、ルーカスの胸は苦しくなる。リリーはなぜ泣いたかわからない、と言っていた。
けれど、リリーの表情はわかりやすく、落ち込んでいた。
気の利いた言葉さえでてこない。
だから、ルーカスは自慢のもふもふした尻尾で、リリーを包み込んだ。
新しい家族と一緒に過ごしてからはずっと。
目を閉じるのが、怖くなくなった。
目を開けると、そこにルーカスがいるから。ルーカスのモフモフのしっぽは、リリーの身体に優しく寄り添い、毛布の様な役割を果たしていた。
窓から見える空はまだ暗い。
リリーはまだ起きる時間ではないらしい。さっきまでいたもふもふに身を任せ、眠りについた。
そして、その後、夢を見た。
リリーは夢の中で、混乱していた。
今夢の中にいるとは思うものの、
これは現実にあった話だ、と理解している。
目の前に、ルーカスとは違う種類の狼がいて、リリーにここを動かないで、と言う。リリーは、その隣にいるエマとは違う獣人に、お母さん、と呼ぶ。
お母さんと呼んだ獣人は、大丈夫と言う。
ここで、リリーは目を覚ました。
心配そうなルーカスの顔がリリーを見つめていた。
「うなされてた。そんなに怖かったか?」
リリーは心配された理由がわかった。
夢を見ながら泣いていたからだ。
悲しい夢でも、怖い夢でもなかったが、胸が締め付けられるような、息苦しさがあった。
リリーはなおも心配そうなルーカスの頭をポンポンして、大丈夫だと伝えた。
同じ頃、ジェームズも不思議な夢をみていた。
自分達とは違う種類の狼が、じっとこちらをみている。
1匹の狼が、小さな子供を咥えていて、こちらに渡す。
この子をどうかお願いします、といい、すぐにいなくなってしまった。
あの狼は…
朝、ジェームズは、リリーの夢の話をきいて、自分が見たのは、リリーの母親かもしれない、と思った。
リリーにここを動かないで、と言った「ここ」とは、この家であり、この家族のことだと理解した。
夢で見た狼は、最近絶滅した狼ではなかったか。リリーが10才だとすれば、少なくとも10年前は生存していた、と言うことになる。
まさか、リリーをさらった奴らは、絶滅危惧種と知らなかったのか。もしくはそうなるように仕向けたのか。
でも、わかったことがある。
この家はリリーを守ってやれる。
リリーが、育つ環境を自分たちが作ってやれるのだ。
ジェームズは夢のことをリリーに言わなかった。そのかわり、リリーを必ず守ることをさっきの狼に届くように、心の中で、報告した。
朝、リリーがうなされる声で飛び起きたルーカスは、起こした方が良いのかオロオロしていた。
「リリー?」返事はない。
「…ん…お母さん…」
今お母さんと会っているのだから、起こしちゃいけない、と我慢した。
髪を撫でる。
目を覚ましたリリーは、泣いていた。
リリーが泣くと、ルーカスの胸は苦しくなる。リリーはなぜ泣いたかわからない、と言っていた。
けれど、リリーの表情はわかりやすく、落ち込んでいた。
気の利いた言葉さえでてこない。
だから、ルーカスは自慢のもふもふした尻尾で、リリーを包み込んだ。
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