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五人目の証言 侍女頭 イリス
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調査担当は結局貴方になったのね。と言うことは今頃アーサーは荒れているわね。
気にしなくて良いわ。お嬢様のことになると見境がなくなるのはいつものことなんだから。まあ、それは貴方も思い当たるでしょう?
それで、当日の見たことを言えば良いの?私で何人目?まだ少ないの?アーサーに聞けば嬉々として答えるでしょう。まだ良いの。わかったわ。
それで、何から話しましょうか。王子殿下が現れたところから?最初から?最初からだと、王妃様主催と言いながら、王妃様は何もせず、お嬢様が何から何までさせられた、と言うことも言わなければいけなくなるけれどいいの?
そうきいたのね。次期王妃の人脈作り、ねぇ。お嬢様が今回だけ手伝っているとしたら、その言い訳も通じるわね。けれど、貴方も知っているでしょう。あの、王妃の性根を。今回の件で、第一王子殿下のことを非難する人は多くても、それを作り出した元凶を非難する人が少ないのは、私達アーレン公爵家に携わる者からしたら、納得いかないわね。
あれは突然変異ではなくて、サラブレッドよ。親の背中を見過ぎて、ああなったの。王族どもは、お嬢様のことを便利な、奴隷だとでも思っているのね。あの平民女もそう。子爵家に引き取られたとは言え、養子縁組もされていないただの平民だと言うのに。身分を弁えず。
パーニー子爵家とハリス男爵家のご令嬢は、それとは別ですよ。あの御二方だけは、お嬢様が単に呼びたかったようですよ。話をしたかったとか。本当ならもう少し席を近くにしたかったようですが、タリー伯爵家の、シリル様が、お嬢様の近くが良いと。ええ、あのお嬢様の大ファンの方です。あの方なら何かあった時に、お嬢様の盾となってくださるので、安心ですからね。最後の護衛として、近くに配置したのです。他所のお嬢様を護衛なんて、失礼ですが。あの方なら喜びそうよね。
お嬢様には、申し訳ないけれど、ようやくと言う感じね。ようやく、あの横暴な王家から逃れられるのね。第一王子殿下から逃げられたとしても、あの高慢ちきな第二王子殿下、性根の腐った王妃、色ボケ爺の国王陛下、勘違いのすぎる王弟など。言葉にすると、酷いものね。
何、何か言いたそうね。ああ、不敬ではないかって、そんなこと気にしてるの?今更そんなことで騒がないわよ。ただでさえ、今それどころじゃないって言うのに。アーレン公爵家をこれ以上怒らせて何もいいことはないでしょう。
隣国にもそろそろ報告は届いているでしょうから、エリオット様が帰られたら、それこそ王家は、苦境に立たされることになるわね。
あの人達が、あの方に敵うとでもお思い?
本当にね。そろそろご自分の能力が凡庸だと気づいても良い頃よ。未だに能力以上のことをして、それが自分達の成果だとでも考えているのだから、ある意味では、とても幸せな人達よ。
話を戻しましょう。かの平民が着ていた流行遅れの赤いドレスは、盗品よ。リリア様のクローゼットから盗まれたもので、王妃からの贈り物なの。趣味がちがうのは、王妃から無理矢理押し付けられたものだから。それを、お嬢様は、誰でもよく見えるクローゼットに入れておいた。そうしたら、不届き者に盗まれてしまった。
赤いドレスと、宝石が盗まれたことは、王妃もご存知で、それを第一王子と平民女が身につけていたら、どうなるかわかるわね。本来なら、二人が婚約者のリリア様のお部屋から盗んだドレスも宝石も返して、二人は罪に問われるべきよ。
けれど、王妃はしなかった。隠そうとしたのよ。お嬢様に口止めをして、赤いドレスは、王妃が寄付したということにしたの。
あの赤いドレスはね、私の世代では有名なドレスなのよ。あのドレスが、と言うわけではないけれど、王妃がまだ娘だった頃、あの破廉恥なドレスで、国王を誑かしたのよ。
国王陛下は、昔から有名な色狂いですからね。王妃の色仕掛けは効果テキメンだったはずよ。
お嬢様は、ああいったハッキリした色よりも、柔らかい色が似合うから、正直要らなかったと思うわ。
王妃の侍女の働きは、主人に似て、衣装持ちの割に、お手入れがあまり得意でなかったみたいね。
紅茶をかけられた、と喚いてらしたけれど、あの染みは紅茶の染みではないわ。一度着たきり、そのまま放置していたのだもの。高級なドレスになればなるほど、劣化も早いわよ。
どうして、王妃が一度袖を通したドレスをお嬢様にあげたのか?
さあ、嫌がらせじゃない?あの方、言うに事かいてお嬢様に倹約を謳ったんですよ。全く浪費の元凶が誰だと思っているのだか。
国民が汗水垂らして働き納めた税を湯水の如く使っているのは、紛れもない王族であり、贅の限りを尽くしている王妃は、その中でも群を抜いています。
お嬢様が王妃を嗜めるならともかく、逆と言うのは何と浅ましく、愚かなことでしょう。
考えれば考えるほど、頭が痛くなってくるわね。貴方今後、王族にも話を聞くのよね?王妃には気をつけるのよ。王妃は貴方みたいな若い男が好きなのよ。本当に歳を考えたらいいのに。
客観的に自分を見られる人だったら、こんな酷いことにはなっていないのだから、仕方ないけれど。
気にしなくて良いわ。お嬢様のことになると見境がなくなるのはいつものことなんだから。まあ、それは貴方も思い当たるでしょう?
それで、当日の見たことを言えば良いの?私で何人目?まだ少ないの?アーサーに聞けば嬉々として答えるでしょう。まだ良いの。わかったわ。
それで、何から話しましょうか。王子殿下が現れたところから?最初から?最初からだと、王妃様主催と言いながら、王妃様は何もせず、お嬢様が何から何までさせられた、と言うことも言わなければいけなくなるけれどいいの?
そうきいたのね。次期王妃の人脈作り、ねぇ。お嬢様が今回だけ手伝っているとしたら、その言い訳も通じるわね。けれど、貴方も知っているでしょう。あの、王妃の性根を。今回の件で、第一王子殿下のことを非難する人は多くても、それを作り出した元凶を非難する人が少ないのは、私達アーレン公爵家に携わる者からしたら、納得いかないわね。
あれは突然変異ではなくて、サラブレッドよ。親の背中を見過ぎて、ああなったの。王族どもは、お嬢様のことを便利な、奴隷だとでも思っているのね。あの平民女もそう。子爵家に引き取られたとは言え、養子縁組もされていないただの平民だと言うのに。身分を弁えず。
パーニー子爵家とハリス男爵家のご令嬢は、それとは別ですよ。あの御二方だけは、お嬢様が単に呼びたかったようですよ。話をしたかったとか。本当ならもう少し席を近くにしたかったようですが、タリー伯爵家の、シリル様が、お嬢様の近くが良いと。ええ、あのお嬢様の大ファンの方です。あの方なら何かあった時に、お嬢様の盾となってくださるので、安心ですからね。最後の護衛として、近くに配置したのです。他所のお嬢様を護衛なんて、失礼ですが。あの方なら喜びそうよね。
お嬢様には、申し訳ないけれど、ようやくと言う感じね。ようやく、あの横暴な王家から逃れられるのね。第一王子殿下から逃げられたとしても、あの高慢ちきな第二王子殿下、性根の腐った王妃、色ボケ爺の国王陛下、勘違いのすぎる王弟など。言葉にすると、酷いものね。
何、何か言いたそうね。ああ、不敬ではないかって、そんなこと気にしてるの?今更そんなことで騒がないわよ。ただでさえ、今それどころじゃないって言うのに。アーレン公爵家をこれ以上怒らせて何もいいことはないでしょう。
隣国にもそろそろ報告は届いているでしょうから、エリオット様が帰られたら、それこそ王家は、苦境に立たされることになるわね。
あの人達が、あの方に敵うとでもお思い?
本当にね。そろそろご自分の能力が凡庸だと気づいても良い頃よ。未だに能力以上のことをして、それが自分達の成果だとでも考えているのだから、ある意味では、とても幸せな人達よ。
話を戻しましょう。かの平民が着ていた流行遅れの赤いドレスは、盗品よ。リリア様のクローゼットから盗まれたもので、王妃からの贈り物なの。趣味がちがうのは、王妃から無理矢理押し付けられたものだから。それを、お嬢様は、誰でもよく見えるクローゼットに入れておいた。そうしたら、不届き者に盗まれてしまった。
赤いドレスと、宝石が盗まれたことは、王妃もご存知で、それを第一王子と平民女が身につけていたら、どうなるかわかるわね。本来なら、二人が婚約者のリリア様のお部屋から盗んだドレスも宝石も返して、二人は罪に問われるべきよ。
けれど、王妃はしなかった。隠そうとしたのよ。お嬢様に口止めをして、赤いドレスは、王妃が寄付したということにしたの。
あの赤いドレスはね、私の世代では有名なドレスなのよ。あのドレスが、と言うわけではないけれど、王妃がまだ娘だった頃、あの破廉恥なドレスで、国王を誑かしたのよ。
国王陛下は、昔から有名な色狂いですからね。王妃の色仕掛けは効果テキメンだったはずよ。
お嬢様は、ああいったハッキリした色よりも、柔らかい色が似合うから、正直要らなかったと思うわ。
王妃の侍女の働きは、主人に似て、衣装持ちの割に、お手入れがあまり得意でなかったみたいね。
紅茶をかけられた、と喚いてらしたけれど、あの染みは紅茶の染みではないわ。一度着たきり、そのまま放置していたのだもの。高級なドレスになればなるほど、劣化も早いわよ。
どうして、王妃が一度袖を通したドレスをお嬢様にあげたのか?
さあ、嫌がらせじゃない?あの方、言うに事かいてお嬢様に倹約を謳ったんですよ。全く浪費の元凶が誰だと思っているのだか。
国民が汗水垂らして働き納めた税を湯水の如く使っているのは、紛れもない王族であり、贅の限りを尽くしている王妃は、その中でも群を抜いています。
お嬢様が王妃を嗜めるならともかく、逆と言うのは何と浅ましく、愚かなことでしょう。
考えれば考えるほど、頭が痛くなってくるわね。貴方今後、王族にも話を聞くのよね?王妃には気をつけるのよ。王妃は貴方みたいな若い男が好きなのよ。本当に歳を考えたらいいのに。
客観的に自分を見られる人だったら、こんな酷いことにはなっていないのだから、仕方ないけれど。
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